- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062188531
作品紹介・あらすじ
震災発生直後から多くの警察官たちが被災地に派遣され、人命救助、遺体捜索、遺品管理、交通整理、被災者支援、そして検視と、多くの場面で尽力してきました。その人数は実に延べ114万人。彼ら多くは派遣を終えたあと各都道府県警に戻り、その時の活動内容や気持ち、あふれる思いを手記にして、地元の「県警便り」や「県民報」に掲載していました。
その貴重な手記の中から選りすぐった約70編を、一冊の本にしてお届けします。47都道府県警から収録したので、皆さんの地元警察官の手記も必ずあります。
亡くなられたあなたへ。大切な人を失ったあなたへ。今を生きるあなたへ。残しておきたい記憶と記録があります。
感想・レビュー・書評
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被災地に派遣された警察官と、家族の手記。
警察官はそんなことまでするんだ…と、驚くようなものもあった。
2011年3月、出かけていて、家にも帰れなかったけれど、あのとき私は暖房もあり、お水もある状況にいたんだよね……
個々の話の差はあれど、どれも、警官や自衛隊の方々の活動ぶりに感謝の言葉しかないようなすさまじさ。
沖縄県警も出動していた、本当に日本全国で、個々の人の意志と組織の力とのすごさ。でも海外からの援助を受け入れきれなかったあの当時の体制……今も変わらないのだろうな……
どの話を読んでも、書かれていることは、突き詰めれば同じなのだろうに、数で数えた途端に数字になってしまうことの逆で、どの話も読んでいるだけで、どれほどつらかったかと思わずにいられない。
前半の手記が特に迫る……
電車で読んでいたから人前なので涙こらえて目の縁ぎりぎりで耐えるものだから、しょっちゅう鼻すすってる状態で、目も鼻も止まらないからティッシュも間に合わなくて、喉も痛くなって。
家に壁があって風を遮ってくれることを思って。
寒かったあのころ、雪の中で合唱していた救助隊の方の写真を思い出して。
家族のことを思って……
香川県警の方に、70歳を越えたおばあちゃんがかけた言葉が、これは東北の人のつよさなのかと、また胸がつまる。
「泣かせてしもてごめんね。ここの人もみんな始めは下を向いたのよ。そのうち上を向いてね、涙を止めてね。涙が止まったら前を向くの。大丈夫だから」
ここで、事情により掲載できなかった話の一部を掲載されていた。これもまた切ないという言葉では足りない……
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読んでいる端からボロボロ涙がこぼれるのでなかなか読み進められなかったです。
あの震災を都内で体験して、帰宅後のテレビ映像を見て何が起こっているのかただわからず呆然としていました。
現実だと信じたくなかったけれど、この本を読んでちゃんと向き合うことが必要だと感じました。
いい人も悪い人も関係なく、災害に巻き込まれてしまえば日常は断絶されてしまう。
非力さや無常さを感じつつそれでも被災者、被災地と向き合う警察の方々の手記に心をうたれました。 -
ひさびさに震災の本を。
身近に警察官がいるからか、辛くて辛くてしょうがなかった。普通の人で、他人のために働きたいと思っていた警察官が災害支援を行うことの慣れていない感じが本当につきささる。それは市役所の人も同じだけれど、自分は笑顔で送り出せるだろうか。
覚悟をしていないと言えば嘘になるけど、よほどのことがないと死ぬとは想えない。
でも人は弱いし、殉職している警察官はダブる。
辛かっただろうに、その頃の話しは全くしない。今度聞いてみようか。話してくれるだろうか。
話してくれなくても、誇りに思っているのは変わらないよ。 -
事実が余りに重すぎて、涙が出ない。
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少しずつ、だいじに読んだ。この気持ちをどう言葉にしたらいいか分からないけれど、長く読み継がれる本であって欲しいと思う。
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東日本大震災の警察官救援記録をまとめたもの。全国の警察官が被災地に派遣され、生々しい話が書かれている。しかし、目を背ける事は出来なかった。この本に書かれている事はすごくリアルなものばかりで想像をするだけできつい。津波にのまれて泥まみれになったご遺体。遺体安置所で家族を見つけて悲しむ様子。本当に苦しい。けれど、その苦しみを感じとる事も必要なのかもしれない。震災でお亡くなりになられた皆様のご冥福を心からお祈り申し上げます。そして、被災地の復興が早く進むことを願う。
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震災の話を聞くと、そこにたくさん詰まったひとりひとりの人生の重みに、その思いにいつも心を動かされ、多くの場合たくさん泣き、そのあと自分が生きていることや自分の周りの状態に、今までよりもまっさらな感覚で向き合っていけるような心持ちになる。
誤解を恐れずにいうのなら、バックパッカーで2、3ヶ月1人旅に行って帰ってきたとき、人間として、生きていくなかで大切な日々のひとつひとつを大切だとおもう感情がわき上がってくるのに似ている。
日本にいると忙しい。色んな仕事や付き合いや、手続き、支払い、イベント。この資本主義社会でそつなく、損せず、より合理的に生きるための様々な工夫とシステムに否応なく巻き込まれて生きている。
そういうのが全部0になる。
もちろん、人も街もいなくなって、持ち物も全部なくなる、という計り知れない喪失感や絶望感は私には想像できない。想像できるとか理解できるといったら、あまりにもおこがましい。でも、「あなたへ。」のような本を読んで、過ぎ去ったたくさんの人の思いや人生にひとつひとつ心を寄せるなかで、人の痛みや喜びや、這い上がる力や這い上がれなかった気持ちや、無理矢理鼓舞した心や抑圧した悲しみや、色んなものへの想像力をのばしていくなかで、ちょっとでも誰かに寄り添える人間に、ちょっとでも誰かの役に立つ人間になりたいと心から思う。
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テレビには写らなかった、そして私が震災後半年以上たって現地入りしたときにはもう見ることのなかった震災直後、救助活動や遺体と言う命のやり取りに関わった警察官の方達の手記。行動やことばのひとつひとつがあまりにもリアリティに溢れていた。
最初の半分を読んだ時は、10代のときにこれを読んでいたら、私もきっと警察官になりたいと思っただろう、と思った。直接的に人を助け、誰かに手を差し伸べることができるという仕事は、本当に尊い。その尊い仕事の末席に、自分も加わりたいと思ったし、こうやって直接的に人の役に立つような仕事こそ自分がすべきことなんじゃないのか?なんて、震災直後からずっと感じていた今の自分への疑問を何度も反芻した。でも後半を読み進めていくと、こんな極限状態のなかで誰かのためになることを一生懸命する、ということが、すごく尊いことであると同時に、ものすごくしんどく、そして迷いやためらいや無力感を持って活動していることをひしひしと感じる。警察官への賛美や安易な憧れじゃなく、その迷いや葛藤こそを理解することが大事なんだと思った。-
2014/03/26
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震災に対する警察官の救援手記集
ちょっと感傷的すぎるかもと思いますが
こういう話は、どうしょうもなくグッときてしまう。
未来に語り継ぐために、忘れないためにこういう本も
必要だと思います。