殺人出産

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062190466

感想・レビュー・書評

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  • 「100年前には殺人はまったく違う意味を持っていました。だから、100年後にはどうなっているかわからないと思います」
    (育子)

    タイトルが前々から気になっていた本。
    内容はすごいブラックなんだけど何故か引きこまれる4つの短編。

    [殺人出産]…人工子宮というものがあり男性も出産できる世界。10人子供を産んだら1人殺しても良いとされる。
    [トリプル]…3人で1組の恋人関係。男2人と女1人だったり、その逆もあり。また性別関係なく同性3人の組み合わせも。
    [清潔な結婚]…性別のない結婚生活。
    [余命]…“寿命”というものがなくなり自分の好きな時に好きな死に方をする。

    こんな事はないだろう…と思うが何年後には誰かが始めて最初は周りから否定されると思うが、更に何十年後かには当たり前に受け入れられているのかもしれない。怖い。

  • 2016/5/7

    普通、正しいってなんだろう?
    2人でカップルとして付き合うこと、性器だけで行うセックス、殺人は悪であること、寿命は自然にやってくること、これはいま現在のわたしたちだけにとっての普通なのかな。
    村田沙耶香作品を読んでると普通がわからなくなる。そして今わたしの思想が正しいのか不安になる。

  • 「殺人出産」
    子供を産めば殺せる。
    余程子宝に恵まれていない限り、どれだけ想いが強かったとしても母体となる身体への負担が凄そうだよな。
    現実を受け入れることが出来たら素晴らしいと思えるだろうが、少しでも違和感を感じたら生理的に無理だろうな。

    「トリプル」
    付き合っている人。
    どちらが普通と言えない世界だったとしても、分かり合えることはないだろうし互いに理解もしずらいだろ。
    教科書にでも載ってなければ、マウスと初めて接する時に不安や困惑が二人よりも格段に大きそうな気がするよな。

    「清潔な結婚」
    性別など関係なく。
    中々理解されにくいことだからこそ、ようやく見つけたパートナーとはいえ周囲からの理解は難しいだろう。
    家の中に持ち込まないのであれば、外で自由にしたとしても絶対にバレないように行動するべきなのではないのか。

    「余命」
    どんな死を選ぶか。
    難病指定されているものも必ず治るのであればいいが、ただ寿命が延びただけだと生きてて辛くなるだろう。
    自由な場所で勝手に出来るのは気楽だが、死体の回収などは業者があり誰かが最後まで処理してくれるのだろうか。

  • 殺人出産‥10人産めば1人殺す事ができるシステム

    トリプル‥3人で付き合う 性別は決まっていない

    清潔な結婚‥恋愛なしの男女の家族としてのパートナー

    余命‥自分で死を選べる 死がやってこない



    余命 は羨ましく思えた

    殺人出産で
    セミを食べる場面があったけれど
    コオロギクッキーって今、売ってる!し
    村田沙耶香さんはやはり未来から来てる‥。

  • 「性」「生」「死」がテーマの短編集。
    価値観や倫理観はその時代に左右されるものだと改めて感じた。設定はぶっ飛んでるけど現実に起こりえないとも言えない、、昆虫食とか実際話題になったし。

    ・殺人出産
    10人産めば1人殺せる世界。殺人のものさしを善悪ではなく人口の増減と捉えているのが斬新。仮にそれが同等だとして、殺人が悪→善に変わるのが狂ってると思うのは、今の価値観の中で私が生きてるからなんだろうか。

    ・トリプル
    3人での恋愛が流行る世界。世代関係なく、自分の中の常識とまるで異なることは簡単に受け入れられないよな、と思った。特に「性」は嫌悪されがちだし。

    ・清潔な結婚
    「性」を除外した結婚。今すでに「友情結婚」という言葉も存在してるため、これだけは実際に起きている話だと思った。今後増えそう。

    ・余命
    「死」が無くなった世界。人間の根幹でもある「死」と「生」の価値でさえ逆転してしまうのが面白かった。

  • かなり、好き。衝撃的でぶっ飛んだ内容でしたが、面白すぎて一気に読み切ってしまいました。
    好き嫌いが真っ二つに分かれそうな作品ですが、近い未来こんな社会になってもおかしくはないよなぁ…と思いました。生と死について今一度考えさせられる作品でした。

  • 有り得ないけど、有り得る未来が訪れるかも。
    内容はリアルだけど、リアルじゃない。
    10人産んだら1人殺していいは、倫理を無視すれば画期的ですらあるのか…。

  • 天才的な発想…人を10人産む(男性は人工子宮をつける)と1人殺す権利が与えられるというルールが「正しい」となった世界の話(主人公の幼かったころから現在にかけてルールが整備されていった模様)。冒頭の会話でこの(読者の我々にとっては未知の)常識を導入し、展開していく巧みさや、この発想をこういう形でこういう登場人物で語るのは、天才の所業と思いました。ただ、読了後気になっているのは殺される人のことも尊ぶルールとなっているのですが、殺意を抱く相手というのはやはり「ゲス」と思った、嫌いな相手なわけで、というと殺される人というのはそういう殺意を10年以上抱かれ続けた人というわけで、あの人何をやらかしたのかしら、とヒソヒソされないかと思った(または政府の広報/施策が大層効果的に仕事をしたのか)。この世界では、殺される以外の人の死とその候補者の自殺以外の死については触れられていないので、特定の人に穏やかに安らかな死を与えたい場合に「殺す権利」を獲得しておくということもありそうなのだろうか。10年以上はかかりそうですが。

  • 近未来もの。
    4つの短編集。
    男の人も出産をするのは、賛成。
    男性も出産してみたらいいと思う。
    人工子宮を取り付けて帝王切開で産み人になる。
    人を殺してしまった悪い人は、死刑ではなく、命を生み出す刑に処される世界。
    10人産んだら1人殺せる。
    すごい発想。
    「トリプル」もすごい。
    カップルは2人きりの恋人同士だが、
    その時代に流行しているのは、3人で恋人としてお付き合いすること。
    3人で手を繋いで颯爽と歩く姿がカッコいい。
    3人で結婚すれば、家事は楽だし、2人が働いて、1人が育児に専念すれば少子化も解消されるかもしれない。
    いいと思う。
    4つとも強烈なストーリー。

  • 今ある常識が、数年後には非常識になってるのかも
    と、気持ちがザワザワしながら、よみ進めれたよー。

    殺人出産
    トリプル
    清潔な結婚
    余命
    の短編だった。
    でも、どの話もザワザワさせられる!!

    殺人出産は、10人子供を産めば、1人殺してもいい、
    という話。
    話の中で、蝉や蜻蛉を若い子たちがオシャレ感覚で
    食べていたシーンが印象的だっなぁー。
    「今」の日本だと、若い子たちは虫を食べるのに
    抵抗があるだろうけど、それがずっと続くとは限らない。
    だれか、影響力のある人が、オシャレに食べてたら、
    明日にでも、爆発的にヒットするかもしれない。
    殺人出産だけでなく、どの話も、
    起こりうる可能性があるから、ザワザワさせられたのかな…

    トリプルは、三人で付き合う話。
    清潔な結婚は、性行為を家族に求めない夫婦の話。
    余命は、自分で死ぬタイミングを決める話。
    まとめかた、簡単すぎかぁー笑

    • shintak5555さん
      未読です。
      これは読まないとイケません!
      未読です。
      これは読まないとイケません!
      2021/06/11
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著者プロフィール

村田沙耶香(むらた・さやか)
1979年千葉県生れ。玉川大学文学部卒業。2003年『授乳』で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)を受賞しデビュー。09年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、13年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島由紀夫賞、16年「コンビニ人間」で芥川賞を受賞。その他の作品に『殺人出産』、『消滅世界』、『地球星人』、『丸の内魔法少女ミラクリーナ』などがある。

「2021年 『変半身(かわりみ)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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