阿蘭陀西鶴

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 478
感想 : 85
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062191418

作品紹介・あらすじ

「好色一代男」「世間胸算用」などの浮世草子で知られる井原西鶴は寛永19年(1642)生まれで、松尾芭蕉や近松門左衛門と同時代を生きた俳諧師でもあり浄瑠璃作者でもあった。俳諧師としては、一昼夜に多数の句を吟ずる矢数俳諧を創始し、2万3500句を休みなく発する興行を打ったこともあるが、その異端ぶりから、「阿蘭陀流」とも呼ばれた。
若くして妻を亡くし、盲目の娘と大坂に暮らしながら、全身全霊をこめて創作に打ち込んだ西鶴。人間大好き、世間に興味津々、数多の騒動を引き起こしつつ、新しいジャンルの作品を次々と発表して300年前のベストセラー作家となった阿蘭陀西鶴の姿を描く、書き下ろし長編時代小説。
芭蕉との確執、近松との交流。娘と二人の奇妙な暮らし。
創作に一切妥協なし。傍迷惑な天才作家・井原西鶴とは何者か?

感想・レビュー・書評

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  • 井原西鶴が身近に感じられた。

  • 面白かった!盲目の娘から見た父、井原西鶴。反発する娘心と親心。江戸時代の庶民の生活ぶりも生き生きと描かれている。当時の俳諧や浮世草子、人形浄瑠璃の様子もわかる。大島満寿美さんの『渦』『結』の世界と通じるものがあって楽しかった。

  • 不遇な奇才っぽくて良かったです

  • 読み終えたら「井原西鶴」「上村辰彌」って検索した。でっ、お出汁をとって和食作りたくなった。親の心子知らず 反対もあり。でもどちらもお互い生きてるうちに心のうちを少しでもわかりあえたら幸せだって思わせてくれる親子の話。しかし私は、スピンオフで辰彌の話を読んでみたいわ~

  • 井原西鶴の娘おあいから見た父親の生涯が描かれている。
    おあいは目が見えないが、台所と縫い物は健常者より上手くこなす。
    音と匂いの描写が随所に出てきて、快適な文章で物語は進む。
    近松門左衛門や松尾芭蕉も出てきて面白い。
    自由奔放な西鶴の中にも娘に対して親としての愛情が垣間見える。
    印象に残った文章
    ⒈ 人は同じ物事を目の前にしても、まるで違う景色を見る。
    ⒉ 巧みな嘘の中にこそ、真実があるんや。
    ⒊ 父はおあいが大人になるまでは死ねぬと、酒を断って願を掛けたのである。

  • 2019.12.3

  • 井原西鶴って確か歴史の授業で出てきたなぁ(-.-)くらいにしか知らなかったんだけれど、この作品を読んで西鶴と娘のおあいが大好きに!(*^^*)そして、おあいの母を尊敬し、役者の辰彌の生きざまを悲しく感じた(T-T)おあい目線からみた西鶴がとっても可愛らしい♪そしてそんな父を避けたい娘の気持ちも分かる(^^;)

  • 井原西鶴と盲目の娘のおあいの暮らしを通して西鶴という人物が見えてくる。自分勝手な男だと思ってきた父西鶴の父親としての愛情に気づいて、おあいの心の成長が読んでいてほっこりしました。

  • 親の愛情は子どもに伝わりにくい。自身もそうであったが自分が親になり、やっとそれに気付くことが出来た。随分と時間がかかったもんだ。もちろん井原西鶴は模範的な父親ではないかもしれない。男として格好つけて生きる事へ執着し、あらぬことで娘から誤解を招く。それでも娘へ愛情を注ぎ続ける西鶴。ある意味で理想の娘親の姿かもしれないな。男の弱さと身勝手さを美化するつもりはないが、これはこれで素敵な父親像だ。

  • 談林派を代表する俳諧師、そして『好色一代男』などの浮世草子の作者として有名な井原西鶴と盲目の娘・おあいとの二人の生活を"おあい"の目?から語られた小説。目が不自由ながら料理も針仕事もこなす。「危いからと、そこの石を除けてやるのは簡単や。でも、世の中には石も川も海もある。あんたが怖いと泣いても誰も助けてくれない。己が生きてる世がどんなとこかを自分で掴まえなくてはならない」おあいの母の声。歌舞伎役者・辰彌、弟・一太郎との会話。淡路への親子旅。おあいの作る冷やし飴と草団子。心に染みました。

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著者プロフィール

作家

「2023年 『朝星夜星』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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