- Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062201872
作品紹介・あらすじ
天才作曲家にして非モテの元祖・ブルックナーを偏愛するオタク3人組との出会いが、夢を諦めた文系女子の運命を変える?
ままならない人生に心ふさぐ人々へ、エールを送る異才の書下ろし快作!
小川洋子氏、穂村弘氏推薦。
図書館の非正規職員として働くゆたきは、男性マニアが集うブルックナーのコンサート会場で、「ブルックナー団」を名乗る男たちに声をかけられる。いかにもイケてないオタク風の3人組だが、その一人、タケがサイトに載せた「ブルックナー伝」を読んだゆたきは、その不器用すぎる人生と意外な面白さに引き込まれていく・・・。天才作曲家ながら「非モテの元祖」というべき奇人変人だったブルックナーの生涯は、周囲からの無理解と迫害に満ちていた。そんなブルックナーに自分たちの不遇を重ねるブルックナー団の面々とつきあううちに、ゆたきの中で諦めていた翻訳家への夢が甦ってきて……。
感想・レビュー・書評
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一見住む世界が違うような4人がブルックナーを通じて理解し合う物語。ブルックナー好きだけどオタクがいるなんて知らなかった。しかもださいなんて!でも大音量で聞きたくなるのはわかる~。確かにマイナーだけどそこがいいんだよ~。主人公”姫”が明日に希望を持って終わるラストがいい。
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決してブルックナーファンではないが、ブルックナーの交響曲を聞いてみようという気になった。
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なんだか表紙の絵がラノベみたいだし、タイトルにブルックナーと入ってなければ読まなかったと思う。初めて読む作家。
アラサーの公共図書館に勤める非正規司書の主人公と、もといじめられっ子の三人の男性ブルックナーオタクの、一応物語ということになると思うが、正直言って物語というほどのものはない。どちらかと言えば間に挟まれるブルックナー伝の方が物語らしい。小説としては出来がいいというわけじゃない。
しかし、(ユキの「ぽ」だけは気持ち悪くて許せないが)結構好きだなと思ってしまったのはサマーフィールドとかエーベルシュタインとか架空の作家の出しかたが上手い、ヴァーグナー、ヴィーンなど、ちゃんとドイツ語の発音で書いている、音楽の知識もしっかりしてる、ということだけではなく、主人公の文学の好みで人となりがわかるところが本好きの心をくすぐるからだ。
バーネットやカニグスバーグから始まって、尾崎翠、野溝七生子、安房直子、ブロンテ姉妹にオースティン。大人になってから森茉莉、幸田文、武田百合子。稲垣足穂に賢治に中勘助、ヘッセ、ヒメネス、ブラッドベリ!わかる、わかる!(フランチェスカ・リア・ブロックだけは読んだことないので、これから読んでみよう)
ブルックナーをダサいと思ったことはなかったけど、なんだか重くて壮大で、でも前衛的ではなくて、マーラーの方が魅力的に思えて、同じ大作聴くならマーラーと思っていたのだが、ブルックナーもきちんと聴きたくなった。
しかし、ここまで卑小な人間に描く必要はなかった気もする。少女に求婚し続けたのはクレイジーだとしても、オルガンと作曲の能力は当時から認められていたのではないか。 -
編纂されたものはいくつか読んでるけど、ご自身が描かれてるのはこういう感じなんだな…
ライト?な感じ…なんていうんだろうか… -
折々に挟まれるオタク達の行動や言葉遣いに対する鋭さが興味深かったですね。クラシックには疎いので専門的な部分はサッパリなのですがブルックナーの小心さと図々しさが同居した様子は巷間に流布する芸術家像とは違っていておもしろかったです。
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ブルックナー聴いてみよう!
小説読んでいると、かわいそうになってきた。
希望が持てるような
最後で良かった。 -
音楽ネタの小説ということで、前の「羊~」に続いて読んでみた。が、ノリもネタもついていけなかった・・。少々感度が鈍って来た模様。また別の作品をあたりたい。
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十九世紀の天才作曲家にして非モテの元祖であるブルックナーを偏愛するオタク三人組と図書館で働くゆたきがコンサートでの出会いから重ねる交流。全体の半分程を占める、資料を元にしたタケ作「ブルックナー伝」が文章は多少流れたものの興味深い。完全な演奏を後世に託す忍耐が格好良い。現代パートももう少し見たかった。