失踪者

著者 :
  • 講談社
3.64
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感想 : 64
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  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062202572

作品紹介・あらすじ

ありえない、そんなはずはない。
10年前、あいつは死んだはずだった――

極寒の氷雪峰に置き去りにされ、
“時”とともに氷漬けになったはずの友。
しかし、対面した遺体は明らかに歳をとっていた……


2016年、ペルーはブランカ山群。山岳カメラマンの真山道弘は単身シウラ・グランデ峰を登っていた。10年前、クレバスに置き去りにしてしまった親友・樋口友一を迎えにきたのだ。ずいぶん待たせて悪かったな――クレバスの底に降り立ち、樋口を見つけ出した真山だったが、遺体の顔を覆う氷雪を落として驚愕する。極寒のクレバスに閉じ込められた遺体は、歳を取ることなく凍りついてしまうはず。しかし、樋口の顔は明らかに10年前より老いていたのだ。なぜだ、ありえない。まさか、樋口はあの時生還していたのか?ならばなぜ連絡をよこさなかった?そしてなぜ同じ場所で命を落としている?樋口、お前は一体何をしていたんだ?

親友が過ごした、謎に包まれし“歳月”。
真相にたどり着いたとき、あなたはきっと胸を熱くする。

注目の乱歩賞作家が仕掛ける、哀しき罪と罰。
『生還者』につぐ感涙必須の山岳ミステリー!

感想・レビュー・書評

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  • 10年前雪山登山の折、一人氷河へ転落した樋口を迎えに、再び雪山登山をする山岳カメラマン・真山。
    10年ぶりに再会した樋口は、10年という歳月の差を感じさせないほどに歳を重ねた顔をしていた。
    10年前に亡くなったとばかり思っていた樋口は、奇跡的に一人で下山したのだろうか。
    無事生還したにも関わらず、誰にも連絡を寄越すことなくたった一人で何をしていたのか。
    そして何故再び同じ場所で亡くなったのか。
    幾つもの謎が真山を奮い立たせる。
    樋口との出逢いから遡り、登山の相棒の死の真相を解き明かす物語。

    初めは専門用語がたくさん出てきて戸惑った。また私の周囲にこういうタイプの人たちがいないので理解するのに時間がかかったけれど、物語の流れに乗るとスムーズに。

    互いの力量や山にかける情熱など、信頼し合った同士の二人。その絆の証として彫られた、二人にしか分からない印。まるで足跡のように遺されたその印が、物言わぬ遺体からの最後のメッセージとなって真山に真実を訴えかける。
    残された命を余すことなく使い切り、果てた男の生き様に圧倒された。
    命をかけてまでやり遂げる信念と一人で黙々と山に登る男の孤独感が、氷山のように冷たく突き刺さる物語だった。

  • 登山のあれこれを忘れないうちに山岳ミステリー第二弾を読了です。

    今作は男の友情、妬み、嫉み、逆恨み…

    誰の事も信じられない男が出会った唯一の相棒
    命を預ける相手への信頼、そして執着…
    死の間際に何を思ったのだろうか。
    ちょっぴり切ない(。-_-。)


    いよいよ冬ですね。
    遭難救助のニュースを聞くと思います。
    気軽に登山はやめましょう!
    山をなめてはいけませんよ!

    修学旅行で会津磐梯山に登らされた記憶が蘇ります
    二度と山は登らないぞ!
    高所恐怖症だし(u_u)

    山岳世界に女はいらないですね!
    まさに山男に惚れるなよ♪です( ̄▽ ̄)笑

    • みんみんさん
      めちゃくちゃ評価高いのね(°▽°)
      山岳小説の傑作だって‼︎
      山女になりそう…いやムリ\(//∇//)
      めちゃくちゃ評価高いのね(°▽°)
      山岳小説の傑作だって‼︎
      山女になりそう…いやムリ\(//∇//)
      2022/12/16
    • 土瓶さん
      独特の伝奇小説やSFやバトルものが魅力の作者さんですが、この作品では変化球一切なしの直球山岳小説で勝負されています。
      読み応えは充分でしたよ...
      独特の伝奇小説やSFやバトルものが魅力の作者さんですが、この作品では変化球一切なしの直球山岳小説で勝負されています。
      読み応えは充分でしたよ。

      ぜひ、山女に!
      まずは眼光鋭く、無精髭をボウボウに(笑)
      読書でなりきってください。
      2022/12/16
    • みんみんさん
      8000メートル峰に立ち向かうわけですね…
      ちょっと初夢枕漠登録しとこ〜_φ(・_・
      8000メートル峰に立ち向かうわけですね…
      ちょっと初夢枕漠登録しとこ〜_φ(・_・
      2022/12/16
  • 十年前クレバスに置き去りにしてしまった親友樋口の死体を迎えに行くと、その顔は歳を取っていた⁉︎樋口、生還していたのか?そして自ら失踪し数年後またここに戻って死んだ?なぜそんな事を…真山は樋口との思い出を振り返りながら彼の足取りを追っていく。

    樋口には消えなければいけない理由があった。だけどただひとり真山にだけは気づいて欲しかったのだ。本当の自分、本当の登りを。
    不器用な樋口だったけど最期は真山を信じ安らかに眠れただろう。なんだかんだ言ってもふたりのザイルはずっと繋がっていたのだから。

    生還者の時より山の描写が巧みで、山の素晴らしさ、山の怖さ、山にかける男たちの熱さが伝わってきた。

    娘さんよく聞けよ、山男にゃ惚れるなよ〜♪シリアスな小説なのに頭の中はこの歌がずっと浮かんでいた。山男ってやつは…。

  • 雪山でクレパスに落ちた親友。10年後に死体を拾い上げに来たら、彼は10年分歳を取った死体となっていた、、、というとんでもなく引き込まれる導入。雪山という極限状態での男の友情の話。ちょっと同性愛的できついと感じる部分もあったが、作者らしい引き込まれる深堀りされた人物像が描かれている。
    スター登山家のモデルは不謹慎だが亡くなってしまったあの人かしら、と思って読んでいた。なんとなく事件の背景は序盤から感づくだろうが、幾重にも重なる思いにグッとくる小説。

  • 専門用語など、登山なんて全く未知の世界なので全くわからず、登山用具など一つ一つ調べながらの読書で少し時間がかかった。
    雪山登山って命がけだからこそ、ここまでザイルパートナーとの結束が強くなるのかな。
    お互いの命を預けるだけの信用がないとパートナーとはなれないのだから‥かもしれないけど、未経験者の私には何となく異常?恋愛感情?って思うくらいの2人のお互いを想う気持ちが強くて、少し引いてしまった。
    男女であれば、これは恋愛ものと思ってしまう感。
    男同士の嫉妬とか、うーんちょっと‥理解不能。
    男性読者だったら、男同士の友情ですんなり納得するのかな?


    ストーリーは、最後まで生還後の謎が分からなくて面白かったけど、年代が3つくらいに分かれていて、あっちこっちいって今どの年?ってなる事が多くて疲れた。

  • ★3.5

    ありえない。10年前、あいつは死んだはずだったー。

    2016年、ペルー。山岳カメラマンの真山道弘はシウラ・グランデ嶺を登っていた。
    10年前、クレパスに置き去りにしてしまった親友・樋口友一を迎えに来たのだ。
    長い間待たせて悪かったなークレパスの底に降り立ち、樋口を発見した真山だったが、
    遺体の顏を覆う、氷雪を落として驚愕する。
    極寒のクレパスに閉じ込められた遺体は、歳をとることなく凍りついてしまうはず、
    しかし、樋口の顏は明らかに10年前より老いていたのだ。
    何故だ?あり得ない…まさか樋口あの時生きていたのか?
    ならば何故連絡をよこさなかった?そして同じ場所で命を落としている?
    お前は一体何をしていたんだ…?

    元相棒の謎の空白の10年間の謎解きの現在と、二人の出会いからザイルを結ぶまでの
    過去が交錯し、二人の友情と信頼の深さが深く胸に染み込んだ。
    そして、読み始めは登山用具の名称とかがわからないので、
    詳しく描かれている事が、逆に鬱陶しく感じていましたが…。
    いつの間にか二人と共に一緒に雪山に登っている様な気持ちになっていました。
    だから真山が山よりも会社を選び二人に亀裂が入った時は胸が痛かった。
    樋口が有名な登山家の山岳カメラマンとして8千メートル級の山に登っては、
    途中でリタイアしていた理由は早い段階で予想出来たのは残念でした(。•́︿•̀。)
    でも、それがあのラストに繋がるとは想像も出来なかった自分にガッカリしたけど、
    凄く驚いたし、二人の深い互いを想う気持ちに胸が熱くなりました。

  • 男のロマン…はけっこうこじれると厄介。

  • 山岳カメラマンの真山は、10年前に遭難しクレバスに置き去りにしてしまった親友の樋口を見つけるために単身で向かう。そこで見つけた樋口の遺体は、どうみても10年前より年を取っている姿だった。
    樋口はあの時死なずに済んでいたのか、そして何故生きていたのなら・・・
    真山と樋口の友情が熱く描かれている。途中でなんとなく感じる違和感が、真相へと繋がる。
    樋口の人となりを表すために書いたのかもしれないが、恋愛の部分はそれほど必要なかったような気がした。

  • 山に登る。なぜあんな苦しいことをするんだろう。
    自分との闘いか。自然との闘いか。
    10年前置き去りにした友人を迎えに行った山岳カメラマンが見た事実。いったい何がどうなっているんだ。10年間の間、クレバスに埋もれていたはずの友人になにがあったんだ。
    さまざまな可能性を思いながら読んでいく。
    圧倒的な大自然の中で、人間なんて無力でしかない。その無力な人間の、それでも命や人生や生活のさまざまを思い胸が熱くなる。
    山岳小説、ってなんでこんなに心惹かれるのだろうか。

  • 登山の最中に亡くなったはずの友人が生還していた、という事実に直面した山岳カメラマンが、真相を追うミステリー。

    前作の『生還者』同様、未知の登山気分を味わいながらすらすらと最後までたどり着く。
    最初に提示された謎にはひかれるが、あえて時間を前後させた部分はどこにどうつながるのか今ひとつわかりにくかった。
    また、主人公をはじめ孤独な友人や悪役などステレオタイプの人ばかりが登場するので、それぞれの人物にもう少し深みがあると渋い山岳小説になるのでは。

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著者プロフィール

1981年、京都府生まれ。2014年に『闇に香る噓』で第60回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。同作は「週刊文春ミステリーベスト10 2014年」国内部門2位、「このミステリーがすごい! 2015年版」国内編3位と高い評価を受ける。著書に『生還者』『難民調査官』『真実の檻』『失踪者』『告白の余白』『緑の窓口 樹木トラブル解決します』『サハラの薔薇』『法の雨』『黙過』『同姓同名』『ヴィクトリアン・ホテル』『悲願花』『白医』『刑事の慟哭』『アルテミスの涙』『絶声』『情熱の砂を踏む女』『コープス・ハント』『ロスト・スピーシーズ』などがある。

「2023年 『ガウディの遺言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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