- Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062203043
作品紹介・あらすじ
小学6年生の波楽(はら)は、私立の小学校に通う左利きの男の子。お母さんと血がつながっていない。
でも、今のお母さんは大好きだし、妹も好きだ。しかし、ある疑惑をかかえていて・・・。
波楽は、たまたま本当のお母さんの恋人に出会い、その謎をときあかそうとしたら・・・。待っていた衝撃的な事実。小学生高学年以上向き。
あさのあつこ氏推薦!
これは、少年たちの静かで美しい戦いの物語です。わたしたち大人が忘れて久しいひたむきな戦いの物語です。波楽とレンの眼差しの先にあるものに心が震えて、止まりません。
感想・レビュー・書評
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私に出来ることは気にしないことだと思ってたけど、向き合うこともできたのかな。何年経ってもわからないけど、この本を読んだ今、もし会える機会が降ってきたら、配慮ばかりして当たり障りないことばかり話すのではなく、辛そうな瞬間には声をかけられる自分でありますように。できるかわからないけどそう思う。
これからがある人たちに、こういう友達がいる人で付き合い方に悩んでる人が居たら、お薦めしたいな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
気に入る話っていうのはたいてい1行目から引き込まれる。
「駅の自動改札機は、どうして右側でしか『ピッ』とできないんだろう。」
他のレビューで「テーマが重い」とも書かれているけれど、登場人物の軽快な会話と主人公の1人ツッコミのおかげか気分は重くならず読めました。
高学年からおすすめ。
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12歳でこんなにも自分自身と真正面から向き合えている2人の強さが眩しくて羨ましくて。
波楽に対してレンが言ったある台詞が光を放っていて、思わず涙が溢れてしまった。
この先きっと辛いことがたくさんあると思うけれど、この思い出が2人の支えとなり続けるのだろう。
読み終えた後、あらためて表紙を眺め、そしてもう一度初めから読み返したくなる。
血の繋がった両親が揃っていることや性自認の一致などをほとんどの子どもがごく当たり前に享受しているものとして捉えるならば、2人が都会の、それもかなり裕福な家の子というアドバンテージも物語のもつメッセージ性において不可欠な要素であるように思える。
人それぞれに与えられたものと与えられなかったものがあって。
そこから生まれる悲しみや苦しみ、その悲しみや苦しみがあるからこそ得るものもあるのかもしれない。
受け止め方ひとつで人生が姿を変えること。
そんなことに思いを巡らせた。 -
自分ではどうしようもないことに必死に立ち向かう子どもたちの物語。
自分の望みを口にすることは決してわがままではなく、あなたを愛する人はきっと受け止めてくれるから一歩踏み出そうと読者に伝えつつ、それでも秘めなければいけない想いもあると示す。
これは読者である子どもたちへの信頼から生まれるメッセージだろう。児童書だからこそ逃げずに問題に真正面から向かい合うのだろう。これこそが児童書の矜持であり、魅力なのだと叩きのめされた。
子どもの時にこの物語に出会える人たちを羨ましく思う。
情報を少しずつ開示するミステリ的構造も素敵。 -
もやもやした自分の気持ち。
父親を思う気持ち。親友への気持ち。
傷付き悩みながら成長していく姿に感動。 -
素敵な装画だけど、内容はなかなかにヘビー。左利きで生きづらさを抱える上に、血のつながらない家族、そして生き別れの産みの母……。大人でも感じるものがあると思う。