産まなくても、産めなくても

著者 :
  • 講談社
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感想 : 41
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  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062204750

感想・レビュー・書評

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  • 初めての作家さん。
    かなりリアルな話なので、子どもが欲しくてまだ授かっていない人には辛いかも。
    何を人生で選択するかという気持ちというか決心というかが綴られています。こんなにみんな苦労しているんだ。時間と戦っているんだというのが実感しました。
    第7話のマタニティ・コントロールは2030年頃の未来が描かれていますが、これが安心して読めるかも。

  • 不妊治療を中心とした、妊娠出産に関する短編集。

    前作も読破済。
    今作品は、不妊や人口妊娠、高齢出産などに焦点を当てている。

    結婚、出産を、所謂普通にやり過ごして来た自分には、考えされられる話が多かった。
    子供を持つことが全てではないとは思うが、それによって人生が変わるということもあるとは思う。
    難しい問題を多数含んでいると、色々考えた。

    特別養子縁組については、他の本、ドラマなどでも、最近は多数取り上げられていて、興味深い。

    いずれの場合も、子育てしやすい国、環境であることが一番なのだと思います。

  • 出産とか不妊とか養子とかについて学ぶ機会になった。まだ社会人になったばっかりだけど、結婚出産とかも考えていかないといけないんだな。人生って大変だ。考え始めるきっかけになったのとてもよいね

  • 「産む、産まない、産めない」
    も以前読んだことがあり、今回こちらを読みました。

    まぁきっかけは自分が不妊治療をバリバリやってたからなわけです。

    上記の作品を読んだときは治療中だったからカフェで号泣してしまったことを思い出しましたね。。
    なるべく不妊治療してる人のブログとかSNSは見ずに過ごしていました。小説なら、と思ったけどそのときは読んでよかったとは思わなかったかな。
    不妊治療のこと話してくれる人って結局最終的に子供できた人が多くて、なんの慰めにもならないと思ってました。最終的に子どもを諦めましたという人の話を聞きたかった。子どもがいない人生がどんなものなのかわからないし、世間の中でマイノリティになるのが怖かった。

    今は妊娠中で、結局子どもできたんじゃん、て感じなので不妊治療してる人に気軽に色んなこと言えなくなってしまったけど。だからこそこの作品の中のターコイズがめちゃくちゃ怖かった。1番気持ちわかって感情移入するけど臨月近くで亡くなっちゃうって…と思って。妊娠高血圧症候群について死亡例とか重症例調べちゃったよ。。
    不妊治療してる人同士で馴れ合うのは私は無理でした。どっちもできたり、どっちもできなかったりすればその関係は強固になるかもしれないけど、何度も何度も友達が、職場の人が、妊娠したって聞いて落ち込んで。芸能人の妊娠報告ですら落ち込んで。さらにまた友達を増やすことで落ち込むことを防ぎたかった。だから孤独だったんですよね。旦那の職場にも不妊治療してる人がいて、その人の奥さんと職業も同じで歳も近くて、ご飯も行ったりしたから本当は友達になれたけどならないようにした。こわかったから。自分自身も別に悩んでないとか気にしてないと言い聞かせてた。
    結局仕事の色々もあってメンタル崩して休職して、休職中に採卵してOHSSになって死にかけて。半年後くらいにやった移植でなんとか妊娠。もう笑えないしどっぷり不妊治療してましたね。そしてトータル100万以上かかるという。
    妊娠したときに不妊の病院で卒業のメッセージカードみたいなのを書かなきゃいけなくて。それは院内に飾ってあって私ももちろん卒業した人たちのやつ隅から隅まで読みましたけど。私が不妊治療してる人に伝えたかったのは、どんな結果でも無駄じゃないよということでしたね。この経験を通して普通って何?幸せって何?てすごく考えたし、人への配慮も学んだと思います。高い学習代だけど。

    妊娠してからはじめて不妊治療してる人のYouTubeを見たりできるようになりました。で、諦めた人のYouTubeも見たりしてます。
    私は自分が出産してもこのことはずーっと思い続けるんだろうなと思う。
    なのでこの手の本は定期的に読みそう。

    感想じゃなくてただの自分語りになってしまった。

    多様性といわれてはいるけどやっぱり子どもがいない人の生きづらさはものすごくあると思う。特にご高齢の方…。自分の祖母ですら子育てをして女は一人前なんて私に言ってくるくらいだから。

    今、不妊治療してる人には
    いつか妊娠できるからがんばれ!じゃなくて、結果はどうであれ今頑張ってることは無駄にならないし、人よりも成長できる!今のあなたで十分素敵だよ!ということを伝えたいと思います。

  • 妊娠、出産などに関わる女性の悩みや気持ちがよく伝わってくる内容であった。
    自分は男性であるが、こういうものを読む度に、自分が妊娠できない性であることが辛く悲しく思う。
    最後の話は思ってもなかったどんでん返しがあり、読後の満足感がさらに良くなった。

  • 出産時の年齢は現代では平均だと思うけど、それまで親や友人から早く産んだ方がいいとよく言われたな…と思い出した

    最後の短編が現実になればいいと思う反面、そうなってほしくもないような

  • #理解あるふりだらけの世界で今日も産むのは権利か義務か運命か

  • ターコイズとマタニティ・コントロールが好き

  • 甘糟りり子さんの妊娠・出産にまつわる7編の短編集です。

    どのお話にも引き込まれましたが、特に第5話の『エバーフレッシュ』で描かれている、卵子凍結をめぐる医療現場のあり方とそれに対峙する女性の葛藤、に気づかされることが多くありました。

    文中の一節ですが
    『…いよいよ妊娠へのタイムリミットが迫ってきた世代こそ、卵子凍結が現実味を帯びてくる。凍結される卵子も若いほうが妊娠の可能性は高いにも関わらず。社会の仕組みや世間の意識が変わっても、産む生き物としての期限は変えられない、むしろ社会や世間が変わっていけばいくほど、産む性が置き去りにされているように時子は感じた。』

    卵子凍結の年齢的リミット、そのリミットを前に悩みを抱える女性、そもそもその悩みはどこからくるのか。

    女性が何かを諦めながら生きているとすれば、それを救う手立てはあるのか。

    色々なことを考えさせられる作品でした。

  • 図書館で借りたもの。
    妊娠と出産にまつわる、女性にとって切実な話題を切り取った七つの物語。

    妊娠・出産にはいろんなタイプがあって、さらにそこからいろんな選択ができる。
    その選択に外野はとやかく言わないで!静かに見守ってほしい、と思う。
    男性が主人公の話があったのも良かった。


    「五つめの季節」
    特別養子縁組の話で泣けた。

    「マタニティ・コントロール」
    2030年の日本、人工子宮で男性が出産!
    これは面白かった!
    もしそうなったら出産が大きく変わるね。

著者プロフィール

1964年、神奈川県生まれ。玉川大学文学部英米文学科卒業。ファッション、グルメ、映画、車などの最新情報を盛り込んだエッセイや小説で注目される。2014年に刊行した『産む、産まない、産めない』は、妊娠と出産をテーマにした短編小説集として大きな話題を集めた。ほかの著書に、『みちたりた痛み』『肉体派』『中年前夜』『マラソン・ウーマン』『エストロゲン』『逢えない夜を、数えてみても』『鎌倉の家』などがある。また、読書会「ヨモウカフェ」を主催している。

「2019年 『産まなくても、産めなくても』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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