華胥の幽夢 十二国記 (講談社X文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062555739

感想・レビュー・書評

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  • 心に残るキーワードがいくつか見つかった短編集。十二国記ファンならわくわくして読めるはず。順に読んでいないので、違った楽しみ方ができている気がします。
    悩める幼い麒麟に仕事とお役目の違いについて語る廉王。組織のマネジメントや家庭の育児についても言えるアドバイスが秀逸。
    陽子と楽俊のメッセージのやりとりから見える、友情と尊敬と、お互いの背伸び。
    国が傾く時の人間の悲劇。
    既刊を全て読み終えたら、もう一度目を通したいと思えた一冊でした。次、読まなくちゃ。

  • 戴国王驍宗の命で漣国へ赴いた泰麒を待っていたのは。芳国王仲韃への大逆の張本人月渓に慶国王陽子から届けられた親書とは。才国の宝重華胥華朶に託された理想の王国への憧憬の行方は。そして、陽子、楽俊、十二国はいま―。あなたの心をふるわせ胸を熱くする十二国記珠玉の短編集。
    「BOOK」データベース より

    いろんな教訓がつまっている一冊.

  • 本編登場人物のその後やそれ以前を描いた短編集。 主要な人物達のエピソードも収録されていてとても好きな短編集です。 この巻で出てくる言葉「責難は成事にあらず」。 これっていろんな場面でいえるんじゃないでしょうか。 十二国記は多くのことを教えてくれます。

  • 短編集。慶と雁、奏、漣と戴、芳、才のお話。
    メインストーリーのその後の補完となる話が多い。

    ・冬栄
    泰麒が漣に行く。廉王との絡みの中で泰麒は、自分に課せられた使命を浮き彫りにしていく。廉王は驍宗が泰麒に求めていることをズバリと的中させている。
    戴はいい国になっていくだろうなぁ(遠い目

    ・乗月
    話を読んでタイトルのセンスの良さを痛感。
    悪政を敷く峯王を亡き者にし、全権を掌握したかに見えた月溪だが、王座につくことはなく一州侯に戻ろうとする。

    月溪を含め臣下は皆、峯王の事が好きだったのが意外だった。
    敬愛するが故に、悪政を敷く行いに失望する。しかも、峯王は人格者であった。決して民を蔑ろにしていたわけではない所為で、余計に月溪達は辛かった。

    最後のシーン、月溪が祥瓊からの謝罪の手紙への返信にこれからの覚悟が見え隠れしているのが良い。

    ・書簡
    陽子と楽俊のアフターストーリー。
    ここは語る事がないほどシンプルに書簡の往復が一回あるだけ。
    印象に残る事が少ないくらい、シンプルなやり取りだか、裏側の実情まで悟れる2人の関係はまさに親友。

    ・華胥
    本作のタイトルだけにかなり面白かった。
    砥尚達はとても優秀な人物であったが、本質を見誤ったせいで、20余年という短さで王朝は滅びつつある。
    これは2011年の民主党政権交代を彷彿させる(と言うか予言しているレベル)
    "責難は盛事にあらず"この言葉とその意味を知れたことが有難い。
    真意を知った朱夏達は今度こそ良い王朝を作れると願いたい。

    ・帰山
    実在する王朝で600年と言う圧倒的な長さで存在する奏国。
    放蕩息子の利広は旧友?の風漢とたまたま出会い、情報を交換する。

    景王陽子が望む、国レベルでの相互連携を実は秘密裏に実行していた奏。
    多分、意識的にネットワークを構築していると言うよりかは結果的にそうなったってのが正しそう。
    さすが600年国を治めていると他の国とは余裕度のレベルが違う。
    多分、難民を保護する施設を全国展開出来ているのはここだけじゃないか?

    長い歴史の国が滅ぶ原因の一つに利広は、飽きてしまうことを指摘している(実際、延王は自身が滅ぶとしたら、それは滅ぼそうと決めた時だと宣言していたので割と間違ってない)
    利広自身ももしかしたら飽きてきているかも知れないが、家族が変わらないかぎり、大丈夫だろう。

  • 「責難は成事にあらず」
    今の政治家に言ってやりたい。

  • それぞれ懐かしい人たちが出てきて、読んでて楽しかった。「華胥の夢」で批判するのは簡単だが答えがわからないのなら批判する権利はない?的なところがあって、すごく感動した。確かに自分もしてしまっているような気がする。最後の章で、利公が慶は楽しみだと言っていて、安心した…。奏の人たちは協力しあってるからこそあの国ができていて、雁は延王や延麒が部下たちを信用してるからこそあの国ができているのだと思う。どの国もそれぞれのやり方を自分たちで見つけて国をつくっている=個性も協調性も大事なのかなぁと思った。

  • (もう何度も読んでいるのだけれど、新潮社から再刊されるので十二国記シリーズを再読しているところ。)
    しかし、これを読んでしまえば、
    十二国の続きが(Yomyomに掲載されている短編しか)ない。
    泰麒の、泰王の、ひいては戴国の行方は?
    己の身の丈を知っている陽子は、慶国をどういうふうな国にしていくだろう?
    気になることは多すぎて、悶々とすること必至。

    そう思うと、なかなか手が伸びないのです……

  • ★十二国記 第7弾(短編集)★
    <br>
    <br>「夢をみせてあげよう」・・・。
    <br>采王(さいおう)砥尚(ししょう)の言葉を信じ、
    <br>華胥華朶(かしょかだ)の枝を抱く麒麟・采麟(さいりん)
    <br>しかし、間違ったことをしてはいないはずなのに、荒廃と困窮を止められない・・・
    <br>
    <br>「暖かいところへ行ってみたくはないか?」・・・
    <br>泰王(たいおう)驍宗(ぎょうそう)の命で
    <br>漣国(れんこく)へ赴いた泰麒(たいき)が見たものは・・・
    <br>
    <br>峯王(ほうおう)仲韃(ちゅうたつ)の大逆を煽動した月渓(げっけい)は、
    圧政に苦しむ民を平和に導いてくれるのだろうか・・・
    <br>
    <br>陽子が初めて心を通わせた半獣・楽俊(らくしゅん)は今・・・
    <br>
    <br>泰麒びいきの私としては、行方知れずになる前の泰麒と驍宗の事が描かれているので、あどけない泰麒の姿に涙・涙なのであります。

  • 今までの話の零れ話を短編でまとめた一冊。

    楽俊と陽子の青鳥を介したお手紙の話も良かったし、芳国のその後の話も良かった。
    延王と利広のお互いハッキリと言わないまま、なんとなくお互いの正体を察しつつ、同じような場所で出会う話も良かった。黄昏の岸でたしか延王は奏に協力を申し出るために向かったはずだけれど、このとき、ようやく利広と本来の身分で顔を合わせたのだろうか?と気になる部分は現時点ではわからないまま。

    十二国記シリーズ、やっぱり楽しい。

  • 十二国記のサイドストーリーの短編集。
    ・冬栄
    泰麒と驍宗のほほえましいストーリーで、泰麒が愛され大事にされてて嬉しい。
    でも、最後の短編の宗の王子と延王が柳視察に行ったストーリーで、戴が荒れている、と今後のネタバレをした。魔性の子を読んでいるから、そのまま泰麒が問題なく国を守るかといえば絶対違うと知っているけど、そうなっちゃうのか…と悲しくなる。
    そしてその戴がどうしてそうなっちゃうのか、とてもとても気になる。

    ・乗月
    峯王を討った月渓の苦悩と後悔、葛藤のお話。
    元公主が慶で頑張っているようだから、その父が本当の悪人ではなく、とても敬愛されていたことが知れて嬉しい。
    月渓と慶王陽子のまっすぐな思いやりを感じ、正しさを一貫しつつもわかりづらい優しさが恭王らしくて良い。恭王の登極の巻は大して好きじゃなかったけど、健全に国を治めているのを知れるのは嬉しい。

    ・書簡
    雁にいるネズミの楽俊と慶王陽子の手紙のやりとり。
    お互い苦楽があり、励みになる良い関係。

    ・華胥
    かなしい。才麟みたいに優しくとても可愛い子が、才国が傾きどんどん病んでいく。才王も立派な人のはずなのに、うまくいかなくて。国は報われるエンドかもだけど、才麟を思うととても切ない。

    ・帰山
    宗王の息子と雁王が柳が傾いていると視察に行って偶然遭遇する話。何十年も前から2人が繋がっているのが面白い。そして宗は唯一安心してストーリーを読める国。家族会議のやりとりが好き。

著者プロフィール

大分県出身。講談社X文庫ティーンズハートでデビュー。代表作に『悪霊シリーズ』 『十二国記シリーズ』『東亰異問』『屍鬼』など。重厚な世界観、繊細な人物描写、 怒濤の展開のホラー・ミステリー作品で、幅広いファンを持つ。

「2013年 『悪夢の棲む家 ゴーストハント(1)特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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