人間関係がこじれかけたとき読む哲学の本 (講談社+アルファ文庫 F 41-1)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062568388

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  •  日常的な人間関係の悩みを「考え方」の操作を駆使することによって解決する。多くの哲学者・思想家を取り上げていることから、著者の読書量は計り知れないものがある。

     哲学についての書籍は数多いが、「研究者」によるものと「実践者」によるものとがあるのはよく言われる。前者は当然堅苦しいものが多く、後者はエッセイだけに限らず工夫を凝らしたものがあるのが特徴。本書の著者である梅香さんは後者の一人であるが、さらには学者ではなく公務員。日常生活の具体的問題に哲学や思想を適用することによって、とても実践的なメソッドを提唱している。

     取り組み難い哲学書も引用しているが、映画や小説などのワンシーンも取り上げることによって、難しい概念を消化しやすくするような工夫もなされている。また本書は梅香さんの他の著書よりもとくに個人的体験を広く公開しているように思う。それを随所に入れることによって哲学概論的な内容に綺麗な流れが感じられる。そして完全とはいえないまでも、とりあえず著者が立ち直っていく過程は多くの読者にとって参考になるだろう。

     構成も、様々な状況における心の動きや、家族関係を主とした相手による章立てというように非常にうまく整理されている。さらに、この種の本にありがちな「けむにまく」ような書き方が少なく、当然異論もあるだろうが、著者なりの「結論」を出しているのはとても印象がよい。哲学はもっと一般化して然るべきである。というのは「職業としての哲学」以外の思索が許されない世の中は健全性に欠けると思うのである。「気付き」があちらこちらで発生すると困る人達もある程度は存在するのだろうが。

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