図解・感覚器の進化―原始動物からヒトへ水中から陸上へ (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062577120

作品紹介・あらすじ

餌を探すため、繁殖相手を見つけるために、感覚器は動物にとって欠かせない器官である。しかし、その形や機能は千差万別で、そこには動物たちがくぐり抜けてきた試練の歴史が刻まれている。全身にあるミミズの原始的な視覚器から再び水中に戻ったクジラの絶妙な聴覚器まで、眼、舌、鼻、耳、皮膚…に秘められた壮大な進化の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 難しいけれど、豊富な図で説得力を充分にもたせている。クジラについての話は目から鱗。ダイナミックで読み応えもあり、余韻の残る名著、

  • 所詮ブルーバックスだと思い、自分自身、だいぶ舐めていた。

    生物の感覚器の進化に関する精緻な解説と考察。
    内容はかなり専門的であり、中々、素人には荷が重すぎる。
    何度か読み直さないと、完全なる理解は得られないだろう。

  • 動物ごとに特殊な感覚器について比較する本。環境の変化に適応するまでの過程を辿るのも読み方の一つだろう。

  • 筆者の後著『内蔵の進化』が名著すぎたせいか、同じ感動は得られず。
    そもそも外から見える感覚器は、それぞれの種族の役割に応じて大きく形を変えているが、中身としては感覚細胞で得られた微細反応が神経線維を通して脳に伝えられるという構造は変わらない。
    内蔵のときに感じた、段階的に機能とともに形状が進化していく過程感はなく、結果としてのそれぞれの種族の違いを語られているように感じてしまい"進化"の醍醐味は薄い。

    とはいえもちろん、その他の雑学本とは一線を画して面白いのは間違いない。
    視覚器一つとっても、
    ・脳からつくられる眼と、皮膚からつくられる眼
    ・かつて祖先にあった頭頂眼が退化し体内時計を司ることとなった松果体
    ・魚眼レンズ、瞬膜、退化した眼球に残る痕跡
    などなど、進化の過程で得たもの、失われたものがわかりやすく学べる。

    なぜモグラの視覚は失われ、なぜフクロウの耳は左右の位置が違うのか。
    形態の理由は研究者でなくとも想像することはできるが、
    どのように進化し、どのように退化してきたのかはわからない。
    今、見えないもの、失われたものを考えるという感覚は、おそらく人間にしか備わっていないものだろう。
    ただ、これを使うか使わないかは、それぞれの人間次第とも言える。
    普段使わない器官が衰えているならば、本書で活性化させることができるだろう。

  • 進化って凄まじいな。
    まさにダーウィンさんが言った“struggle for existence”!
    生き残るためのあがきである。

    Mahalo

  • 岩堀修明『図解・感覚器の進化――原始動物からヒトへ水中から陸上へ』


    壮観!詳細な図解で見る進化の大河ドラマ!
    原始的なミミズの視覚器は、どのように進化して脊椎動物の高度な「眼」になったのか? 「耳」のもとになった意外な器官とは何か? 一度は陸に上がり、海に戻ったクジラの感覚器の特殊な進化とは? 視覚・聴覚・味覚・嗅覚・体性感覚など、生物が世界を知る道具である「感覚器」の進化を、膨大な数の解剖を経験した著者の迫力満点の図版でたどる。
    http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062577120


    【簡易目次】
    はじめに [003-006]
    目次 [008-013]

    第1章 感覚器とは何か 015
    第2章 視覚器 023
    第3章 味覚器 077
    第4章 嗅覚器 111
    第5章 平衡・聴覚器 153
    第6章 体性感覚器 205
    第7章 クジラの感覚器 241

    あとがき(岩堀修明) [274-275]
    おもな参考文献 [276-280]
    さくいん [281-286]

  • 餌を探すため、繁殖相手を見つけるため、感覚器は動物に欠かせない。ミミズの原始的な「眼」からクジラの絶妙な「耳」まで、壮大な進化の物語!

  • 心理学に興味を持ち、色々本を読みあさっていてたどり着いた1冊。この本は生物の持つ感覚器について、(1)その仕組み、構造、(2)進化の過程という2つの観点で説明している。
    (仕組み・構造は、細かな部位の名称が多く出てきてややこしく、さらっと読み飛ばした。タイトルに"図解"とあるが、感覚器の構造を図解している。自分は文字を読む方が面白かった。)

    この本は、無脊椎動物、水棲脊椎動物、陸棲脊椎動物、そしてヒトに至る進化の過程で、生物がどのように環境に適応し、進化してきたかという形で感覚器について説明している。最後に、陸に上がったにも関わらず、再び水に戻っていったクジラをあげて総括といった感じ。水から陸へ、またその逆も、体の仕組みを大きく変えなければならない。生物の涙ぐましいほどの環境への適応の繰り返しが、これほど精巧な器官を作ったのかと考えると感動を覚える。

    一眼レフのカメラを触った時も、似たようなことを考えた。絞り、感度、シャッタースピードといった設定を少し変えるだけで出来上がる写真がまったく違ったものになる。なかなか思い通りの仕上がりにならない。人間の目はこれだけの調整を意識せずに行っている。

    『どんな感覚を感知するかは、「どんな刺激があるか」ではなく「どんな感覚器があるか」で決まる。』とある。普段私たちが感じている物事も、物理的には感覚器の発する電位変化から脳が作り出したものだ。そこからなぜ、喜怒哀楽といった感情が生まれ、環境の変化に一喜一憂するのか?そんなことを考えてしまう。

    細かな雑学も知ることができて、面白かった。
    ・現生生物の多くでは退化した「頭頂眼」。脳内の松果体として残る。三つ目がとおるの話との絡みが面白かった。
    ・味物質の相互作用、嗅覚との関連。おいしいものは、なぜおいしいと感じるのか?
    ・視覚には色の3原色、味覚には5つの基本味。それらに相当する嗅覚の「原臭」はまだ明らかになっていない。

    他にも色々。

  • 8月新着

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著者プロフィール

いわほり・のぶはる 1938年東京都生まれ。京都大学医学部卒業。1981年、長崎大学医学部教授。2003年、長崎国際大学健康管理学部教授。専攻は解剖学。著書に『図解 感覚器の進化』(ブルーバックス)、『新生理科学大系 第10巻 運動の生理学』(医学書院・共著)、『神経解剖学』(金芳堂)、『解剖生理学テキスト』(文光堂)、『栄養科学イラストレイテッド解剖生理学 人体の構造と機能』(羊土社・共著)など。翻訳書に『図説中枢神経系』『図説人体解剖学』(いずれも医学書院・共訳)などがある。

「2014年 『図解・内臓の進化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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