- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062578400
作品紹介・あらすじ
1964年の東京オリンピックに先立って開通した首都高速道路。制約の多い都市部に建設するため、首都高速には常に最先端の道路技術が投入されてきた。そこから日本や世界に広まった技術も少なくない。つまり、首都高速道路は日本の道路技術のショーウィンドウであり、首都高速を知ることは日本の道路技術を知ることにつながるのである。
本書では、2020年に再び開かれる東京オリンピックに向けて、新たな段階に立った首都高速について、建設・運営・保守の舞台裏を余すところなく解説する。とくに2015年春に全線開業予定の中央環状線については、首都高速道路会社の全面協力を得て山手トンネルの未開通部分も含めて取材。詳細に解説した。
川や海の上にどう建設したのか、渋滞はどう測定しているのか、保守・点検はどう行われているのか、といった基本的なポイントから、箱崎JCTはなぜ複雑になったのか、山手トンネルはなぜ上り下りが多いのか、といった建設の経緯をたどる「裏話」まで、これまで知られていなかった情報も満載している。
都心環状線から、羽田線、横羽線、湾岸線、深川線を経て中央環状線へ。建設史の流れに沿って、実走スタイルで首都高速の技術をガイド。読んで楽しい科学のドライブへ、さあ出発!
感想・レビュー・書評
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首都高・ジャンクション好きには堪らない!
知らない用語やかつての街並みや地下の様子を知ることができて、少し近づけた気がする(何に笑)。
首都高はロマンでいっぱい!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
自分の興味のある分野ではないせいか若干難しく感じましたが、首都高速及び周辺知識に対しての理解がかなり深まりました。 -
首都高ファン、またはジャンクション等そういった物がフワっと好きな方もこれを読めばより好きになる一冊かと。都民の方なら今まで街の景観だった首都高速道路の見方が変わるでしょう。
首都高や道路など日々変化していくものです。こちらは2013年に発行された本なので現在と違う箇所もありますが、首都高の基本的知識は補えると思います。
首都高速道路の建設技術から渋滞判定の仕組み、歴史、トンネル、ジャンクションその他色々第8章に分かれて解説されます。
基本は文字でカラーページはないですが図面や写真等も出てきます。
首都高速やジャンクションの写真集で興味を持った方はこちらで更に知識を増強するのがお勧めです。
文中に出てくるトンネルやジャンクション等検索しながら実際の写真を見ながら読むとより楽しいかと。 -
科学というよりは、首都高速を解説、説明している本。雑学。
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首都高速を紙上で擬似ドライブしながら、その歴史や技術を学ぶ。都心環状線、東京と横浜を横羽線と湾岸線で往復、さらに中央環状線、山手トンネルと、歴史順に見てまわることで、建築技術の進歩が感じ取れる構成になっている。
複雑なネットワークを構成する首都高。ジャンクション(JCT)がどうなっているかなど、非常に興味深い内容である。首都高ナビのサイトでJCTのガイドマップを見ると、さらに理解が深まる。
- 都心環状線の京橋ジャンクションから8号線の分岐がある。0.1km しかなく、都心環状線の一部として扱われている。その先に無料の東京高速道路(KK線)とつながる。このKK線は1959年に一部開通した日本初の高速道路。今は無料。
- 川を干拓して川底を道路化する工事はKK線が世界初。これをプロトタイプとして、その工法は首都高の建設に活かされた。
- 京橋-芝浦間が1962年に首都高で最初に開通した。その後1964年のオリンピックに合わせて、羽田から会場までを結ぶ区間が開通した。
- 羽田トンネルでは日本初の沈埋函(ちんまいかん)工法が採用された。陸上で製作した箱状の構造物を水中に沈めて、トンネルを構築する。橋ではなくトンネルにしたのは、河口が滑走路の近くにあるから。
- 高機能舗装は、従来よりも表面の隙間が多いアスファルト舗装であり、車両走行中にタイヤと路面の間で生じるエアポンピング音を小さくすると同時に、水はけがよいので雨の日でも走りやすい。
- 横浜ベイブリッジ付近の海底の支持層が深く急傾斜しているため、新型の大口径掘削機を開発して海底を掘削、最大高さ75mの箱状の構造物を沈め、内側にコンクリートを詰めて橋桁の基礎を構築した。
- 鶴見つばさ橋は横浜ベイブリッジと同じ斜張橋。
- 湾岸線の空港北トンネルを除く3本の海底トンネルはすべて沈埋函工法で作られているが片側三車線の道路が2本すっぽり入る世界最大級の沈埋函である。
- 車両感知器は 5m 離して設置されたセンサーの間を通過する車両の速度を計測する。これが300m-600m間隔で設置され、渋滞を判定する。平均速度が 20km/h 以下なら渋滞(NEXCO の高速道路では 40km/h 以下)。
- 車両の流れ具合は5段階ある。40km/h 以上:自然流(白で表示)、30-40km/h:軽混雑(黄)、20-30km/h:重混雑(橙)、10-20km/h:軽渋滞(赤)、10km/h以下:重渋滞(紫)
- 表示内容は1分間隔で更新される。渋滞が増加傾向にあるか減少傾向にあるかも表示される。
- 事故は平均30回/日(1時間に1回以上)、落下物処理80件/日。
- 中央環状線には、首都高速唯一のロータリーやS字型の斜張橋、2層構造のアーチ橋、山手トンネルなど、珍しい構造物が詰まっている。
- 箱崎JCTにはロータリーが設置され、リムジンバスの方向転換ができるようになっている。
- かつしかハープ橋は綾瀬川を斜めに横断するため、S字型に曲がった曲線斜張橋で世界初。
- 五色桜大橋は2層のアーチ橋。交通振動で発電する世界初の橋。
- 飛鳥トンネルは、開削工法、HEP&JES工法、山岳工法の 3つの工法を駆使して作られた。
- 山手トンネルの全長は約18km、日本最長の道路トンネル。その9割はシールド工法で作られている。出入り口はすべてセンターランプ。切り開き工法により本線のシールドトンネルと連結路のトンネルをつなげる。
- 山手トンネルの換気所は地下にある。
- 中野坂上駅で地下鉄丸ノ内線下を通るが、山手トンネルは2mまで接近する。大江戸線と同時に整備されたので、ホームへのエスカレーターの横を首都高速が通る。
- 避難通路は2本のシールドトンネルを行き来できるように作ってある。
- 4枝交差のジャンクションの代表的な形はクローバー型だが連結路が急カーブになり、合流と分流の車両が混在する織り込み区間があり、渋滞や事故の恐れがある。タービン型は織り込み型がなく占有面積が小さいが、高架橋が多いので建設費が高くなる。三郷JCTがタービン型。
- 特殊な構造としては、ループ線とOAが一体になった加平出入り口、信号機のある平面交差点の美女木JCT、さいたまスーパーアリーナ下を通る埼玉新都心線、両国JCTの吊構造の橋梁などがある。
- 首都高速は高架橋が8割、トンネルが1割。高架橋の総距離は240km。
- 点検は巡回点検、徒歩点検、接近点検。パトロールカーが1日一回全区間、および高架橋の下の街路を走り点検する。徒歩点検は目視で異常がないか確認。接近点検は目視したりハンマーで叩いたり、5年に一回実施。
- 接近点検は高所作業車、ポールカメラ、高所用打音検査システムを使う。
- 道路の補修工事は夜間に行われることが多く、一晩で最大600人が作業することもある。 -
サイエンス
建築 -
交通量が多くて、狭いところに作らなければならなくて、すぐ近くに民家が迫る。土木技術のショーケース的な首都高の複雑さよ。運転する身にも複雑だ。お出かけ意欲を刺激するとともに夏休み研究的図書として読んでみた。
ある方向にしか行けないJCTがこんなに多いとは。土地と予算の制約で、需要量を考えながら設計している。小松川でのC2と7号線の交叉は、当初はニーズがなかろうということで素通りさせたが、C2貫通を受けてJCTを作ると。2019年完成予定。最初から作っておいてよ。。。
C1など出口と入口の片方しかないところがほとんど。確かに言われてみれば。ナビがなけりゃ知らないと使えないよな首都高。
用地買収を避けるため川沿いや幹線道路の上を利用。8割が高架橋で、1割トンネル、0.5割半地下。作るのも大変、保守も大変。
東京オリンピックが決まる前から計画されていた。道路渋滞がひどかったため。オリンピックで建設が加速されたのは確か。都市間高速より先に整備されたのは欧州とは違うパターン。
対向車線が、上下になってみたり、左右逆になってみたり(C2の大井付近)。立体的な作りを意識しながら走っても面白いか。
八重洲降り口から東京駅へはアクセスできるが、逆は不可な設計。知らなかった。
空港による高さ規制のため多摩川などはトンネルで、横浜まで行くと鶴見つばさ橋やベイブリッジができる。橋げた高さや工期に船の航行への配慮も。
防音壁の上のパンの耳は回折音を吸収するため!
左右からの車線変更が交錯する「織り込み交通」。渋滞の原因になる。江戸橋・箱崎間の4車線を中と外で振り分けるのはそれを防ぐアイデアだったのか。1998年の改良。
ボトルネックの熊野町・板橋間の拡幅工事。ラケット型橋脚のため普通には工事できない。新しい橋脚を古いのをサンドイッチするように作ってから古いのを撤去するサンドイッチ工法で工事中。2017年完成予定。
大江戸線の中野坂上駅ホームと改札階のあいだ、エスカレーターの脇を通り抜ける山手トンネル。気づかないよなあ。地下鉄とセットで整備された例はいくつか。
山手トンネルは構造といい、安全対策といい、換気といい、周辺環境への配慮といい技術の塊。けれどあまり精巧だとfragileじゃないかと維持がちょっと心配にもなる。
補修や耐震補強やパトロールや渋滞情報やオペレーションも大変。普通に考えて無料化無理じゃね? -
首都高速道路は制約の多い都市部に建設するため、最先端の道路技術が導入されてきた。建設・運営・保守の舞台裏を余すところなく解説する。
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首都高速は家族で千葉方面に行く時ぐらいは利用するが、車線が多く道路が立体的なので、普通の道路を走る時と比べていつも緊張している。そんな首都高にちょっと興味があるので借りてみたのだが、道路好きには面白い本だと思うが、ちょっと興味がある程度では半分ぐらい読んだらもういいやという感じになった。そのなかで興味深かったのは渋滞の測り方とか交通管制室の部分である。1973年という大昔から機能があったというのでローテクから発展しているのだが、そんななかでもタイムラグが10分ぐらいから1分に縮まっているとのことだった。
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この本も同じく、数ヶ月前に読んだ。「首都高速の謎」の読後のつぶやきでも書いたが、やはり首都高速をこの15年も走っていないので、現状の
首都高のウンチクを述べている本文に残念ながら共感しきていない。
早く、首都高速を走破しなければ行けない。といいながら、趣味はロードレーサーのチャリでポタリングすることなので困ったな。。。
一日チャリに乗らずに、車で走りまわるか。。。面白そうだし。。