『新約聖書』の誕生 (講談社選書メチエ)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062581639

作品紹介・あらすじ

イエス没後、『新約』成立までなぜ300年も要したか。なぜ相矛盾する四福音書が存在するのか。「異端」活動の果実を巧みに取り入れた「キリスト教主流派」が、聖なる「テキスト共同体」を創り出すまでを描く。

感想・レビュー・書評

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  • 新約聖書の成り立ちについて、非常にわかりやすく整理されており、かつ慎重に論を進めているので大変オススメの本。聖書の本文批評や、原始キリスト教の雰囲気を知りたい人には格好の入門書だろう。研究者の中でも様々な議論がある中で、より確からしい、あるいは広範に支持を得ている考えは何かを知ることができる。最初に、イエスという人が実在したらしいということを確認するのから始まっているのも好感が持てる。

    それにしてもある原始キリスト教関連の本を読んだ時、キリストの復活は疑いようのない事実だみたいなのがいきなり冒頭で出てきて仰天したことがある。ある聖職者が主著者だったが、学術的な書物を装いながらそういう非科学的な態度を取られると本当に参る。

  • キリスト教の正統的な立場からすると荒唐無稽な聖書著者に関する考察から始まり、独断なのか、研究の成果なのか、このような本が一般人に読まれて、果たして正しくキリスト教を信じている人のことを理解できるのか、意味があるのか、考えさせられました。新約聖書27巻が約400年かけて教会によって正典と認められる歴史は面白いのですが、つい眉唾ものと思わざるを得ませんでした。

  • 宗教心が一切ないつもりでも聖書について興味を持つことができるのが加藤隆の魅力。本書ではむしろ一般のクリスチャンには都合の悪い、あまり考えたくない事実が解き明かされたのではないか。特殊なケースであると思われるが、宗教を信仰ではなく趣味としている者にはとても興味深い一冊。

  • 新約聖書がどのように作られたか、その歴史を現段階の仮説という形で紹介している。

    特にその時代の状況、その上で新約聖書の聖典にならなかった資料も含めながら、どうして聖書が必要であったか、その編纂がどのようにして行われたか、ややゆっくりで、人によってはくどい方法で紹介されている。

    私にとっては、時代背景などがよくわかったので、非常によかったと思う。

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著者プロフィール

加藤 隆(かとう・たかし)
1957年生まれ。ストラスブール大学プロテスタント神学部博士課程修了。神学博士。千葉大学文学部教授。著書に、『旧約聖書の誕生』(ちくま学芸文庫)、『新約聖書はなぜギリシア語で書かれたか』(大修館書店)、『『新約聖書』の誕生』(講談社学術文庫)など。

「2021年 『キリスト教の幼年期』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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