アイヌの歴史 海と宝のノマド (講談社選書メチエ)

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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062584012

作品紹介・あらすじ

宝を求め、サハリン・アムール川流域に進出する戦うアイヌ。激しい格差、サケ漁をめぐる内部対立、「日本」との交渉-社会の矛盾に悩むアイヌ。北の縄文から近世まで、常識を覆すダイナミックな「進化と変容」。

感想・レビュー・書評

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  • 「はるか南の海のかなたに愉快な本の大陸がある」で、興味を持った本です。

  • 前近代のアイヌ文化やそれに先立つ擦文文化などを担った人びとの生業や生活形態、行動範囲や集団形成のあり方など興味深い分析でいっぱいです。著者は、既存の研究やアイヌ文化を理想化させる言説などに釘を指しながら、能動的に他者と自然とに働きかけた人びととしてのアイヌや擦文人たちを描いていきます。

  • 今まで自分がアイヌに持っていた認識が大きく変えられた。アイヌの社会構造や文化に衝撃を受けた。

  • 瀬川さんの一般書デビュー作だろうか。やや硬質で、難しく感じる部分もあったが、はじめにで示されたアイヌイメージの転換(戦争と不平等)はなされたように思う。アイヌは決して縄文の生活を続けていたわけではないことを思い知ることができた。氏も言うように、
    アイヌが選びとった歴史として、単なる周縁史ではなく主体的に生きたイメージを描き直すことは重要であろう。

  • 前近代のアイヌ文化やそれに先立つ擦文文化などを担った人びとの生業や生活形態、行動範囲や集団形成のあり方など興味深い分析でいっぱいでした。

  • 興味を持った論点を拾い読み。北の狩猟採集民の社会は、国家になりそこねたのではなく、農耕を受け入れる忍耐力と組織力を欠いていたわけでもなかった。異なる道を歩んできただけ、という視点。コシャマインの戦いからの和人とアイヌの100年戦争には、アイヌと和人の対立、和人館主層の主導権争いのほかに、中国の動向もかかわっていたという研究、アムール川下流域やサハリンで朝貢貿易をおこなっていたが、明の後退で、中国製品が入らなくなり、アイヌの交易上の優位が失われた、という視点。中村和之の一連の研究、および、伝統的文化を継承しながら、貧窮と迫害のなかを生きてきた砂沢クラ「クスクップオルシペ」福武文庫は手に取りたいと思った。

  • 北海道の縄文時代と、中世以降のアイヌの直接のつながりは分かっていないが、それぞれの時代における考古学の知見が凝縮されている。千島、サハリン、カムチャツカ、北海道に渡る、アイヌの活動区域は、実は本州で考えると沖縄までの距離になるというから驚きである。
    縄文時代後期、北海道には縄文文化と、サハリンや大陸の影響を受けたオホーツク文化が両立。両者の融合について、考古学・歴史学的に明らかにする。遺伝学上のデータで、アイヌがニブヒと混血があったとされる論文がある。文化的にも両者は古代から交流されていたと考えられるし、中世になると、アイヌと、元の支配下にあったニブヒは大規模な戦争を行っていたということで、納得のいく話である。また、戦後日本に強制移住させられたサハリンアイヌについてもその謎を投げかけている。サハリンアイヌにはミイラ作りの文化があったという。本書では触れられていないが、アリュート人にもミイラ作りの文化があったはずである。それらの類似性についても知りたかった。
    また著者は、サケ・マスが十分にあったから北海道の縄文では農耕化が進まなかった、という有名な「サケ・マス論」は実は間違いであるという。縄文の遺跡には、サケ・マスが大量に出土されているような証拠はなく、まんべんなくさまざまな魚が出土するし、ヒエやアワといった半農を行っていた形跡があると言う。近世のアイヌが大量に鮭漁に携わるようになったのは、和人による搾取が原因だった。

  • 私たちが持っているアイヌに対する先入観を切り崩すような本。アイヌと和人、オホーツク人との関わり方が興味深かった。

  • 羽をまとう蝦夷 聖徳太子絵伝 安城市歴史博物館
    鳥居龍蔵 阿夷奴研究, 2, 1917 聖徳太子絵伝蝦夷降伏の絵に就いて

    交易に焦点をあてている。
    擦文文化,トビニタイ文化,青苗文化に分けている。
    人の唐子,日ノ本,渡党の3つの分類について解説をしている。
    北海道とアイヌの分析が立体的になる。

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