中東戦記 ポスト9.11時代への政治的ガイド (講談社選書メチエ)

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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062585101

作品紹介・あらすじ

「中東」とは何か?!実感としてわかるための、第一級の政治的ガイドブック。

感想・レビュー・書評

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  • [瞬間の後を歩いて]アメリカのみならず、世界を揺るがした2001年の9.11同時多発テロ。震源となった中東のアラブ諸国をその直後に訪れ、著者の知識と感性が交差するところを記した作品です。著者は、フランスを中心として中東研究を引っ張る存在であるジル・ケペル。訳者は、『イスラーム国の衝撃』などの著作で知られる池内恵。原題は、『Bad Moon Rising:A Chronicle of the Middle East Today』。

    9.11直後のアメリカの動きや反応は多くのメディアにより記録されているものの、一歩引いた視点から中東諸国の反応を記した作品はあまり目にしたことがなかったため、非常に勉強になりました。エジプトやレバノン、カタールなどを回っているのですが、特にエジプトの箇所が白眉かと。

    〜「西欧と米国では、メディアも論壇も知識人もアラブ人とイスラーム教徒を容赦なく悪魔のように描いている」という。「九月一一日の攻撃を口実としてアラブ系のアメリカや西欧諸国への移民に疑いをかけているのだ、市民権を持っている者にさえだ」と非難する。この被害者意識がある限り、対話の実が挙がるとは期待できそうにない。少なくとも私の見方では。〜

    中東ってやっぱり奥深い☆5つ

  • なかなか入手出来ずにいたが、図書館にあり、ようやく読むことが出来た。
    エッセイという形であるが、訳者が言うように中東の実際の空気が想像出来ない私にとって、歴史的背景、地理的感覚を補完し、時代の雰囲気を理解し、点から線へ、線から立体へ繋いでくれる良書。
    手元に置きたい本だ。

  • 当たり前なんだが、イスラームといってもそこは宗派、民族、国籍によって千差万別。そこを単純化してしまうと、アラブの民主化等がすんなり捉えられない。また西欧、先進国と言っても、旧宗主国として骨絡みの英仏と、現宗主国の米、第三者的石油輸入国のその他日本等、色合いは様々。
    エジプト革命等見ると、イラク戦争前のネオリベ的予言が当たったのか、という解説があったが、イランの現状を考えるとそれも早計だろう。
    中々、日本にいるとこういう視点は持ちにくいし、有難い本だとおもう。訳注もとても丁寧でした。

  • 中東の人々がどんなことを思い、暮らしているのか、なかなか知る術がありません。アメリカ目線のバッドニュースしかないのでは、という刷り込みをされてしまった感があります。
    この本は日本での出版こそ最近ですが、9.11前後のアラブ諸国の、いつも見聞きするものとは違った視点からの状況を伝えています。
    「戦記」「政治ガイド」と名がつくものの、中東の生活記でもあるという印象を持ちました。
    読んだら理解というより、むしろ中東はやはり遠いと思ってしまって、自分の平和ボケというか、素地のなさにガックリくる。きちんと勉強して再読したいです。

  • 西洋に対するジハードの宣言はもはや意味がない。インターネットや衛星がある。
    過去10年、アメリカの大学はほとんど中東に関する知識の蓄積をしてこなかった。戦略的優先順位が小さかった。

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著者プロフィール

Gilles KEPEL 政治・社会学者、パリ高等師範学校・パリ政治学院教授、イスラム主義・現代アラブ世界関連の著書多数。『ジハード―イスラム主義の発展と衰退』(産業図書、2006)は10カ国語以上に翻訳。

「2017年 『グローバル・ジハードのパラダイム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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