沈黙の艦隊(10) (講談社漫画文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (482ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062604550

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  • アメリカとの友好条約締結の求めと共に、武力による戦争は終結を向かえる。政治の話などと平行して常に先頭の話がこの物語を引っ張ってきていたから、なんだか不思議な感じがする。しかし、武器による先頭ではないにしても、情報等を活用した戦いの物語であることには代わりがなく、主人公である海江田がどんな手を打ってくるかはとても興味深い。

    例によって、この作品が書かれた時代と今とではずいぶんな変化があることが感じられる。同じ情報の話をするにしても、現代のインターネットによる情報の流れは、ある意味でこの物語の設定を古いものにしてしまっているかもしれない。ただ、まったく逆に考えれば、この物語が提示する情報に対する考え方は、ぴたりと時代を先読みしていると思う。それがテレビという少々手垢のついた器に入れざるを得なかったのは、まあ仕方がないことなのだろう。

    密室の中でのサミットは、むき出して理念が語られていて興味深い。やや露骨すぎる部分もあるが、特に理想と現実のとらえ方については、いろいろと考えさせられる。これだけの国の首脳が語り合うにしては、やや子供っぽいような気がするが、そうでなければひどくわかりにくいものになってしまうのは確かだろうし。それにしても、会議を引っ張るフランス大統領の振る舞いを見ると、フランス人はちょっと作者に対して抗議したくなるんじゃないかなと思うけど。

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著者プロフィール

1948年、広島県尾道市生まれ。本名は川口開治。明治大学で漫画研究会に在籍、在学中の1968年「ヤングコミック」掲載の「夜が明けたら」で漫画家デビュー。卒業後は本格的に劇画作品を執筆、竹中労とのコンビでは本作のほか、「博徒ブーゲンビリア」などを描く。「ハード&ルーズ」で人気を得、87年「アクター」、90年「沈黙の艦隊」、2002年「ジパング」で講談社漫画賞を3回受賞、2006年には「太陽の黙示録」で小学館漫画賞と文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞を受けるなど、五十年余にわたって第一線で活躍する。他の代表作に「イーグル」「僕はビートルズ」「空母いぶき」など。

「2023年 『黒旗水滸伝 大正地獄篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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