- Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062630160
作品紹介・あらすじ
深夜の交差点で衝突事故が発生。信号を無視したのはどちらの車か。死んだドライバーの妹が同乗していたが、少女は目が不自由だった。しかし、彼女は交通警察官も経験したことがないような驚くべき方法で兄の正当性を証明した。日常起こりうる交通事故がもたらす人々の運命の急転を活写した連作ミステリー。
感想・レビュー・書評
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東野圭吾氏の交通事故をテーマにした短編集。
表題の『天使の耳』は、交通事故で運転手が死亡し、同乗者(妹)は生き残ったものの、視覚障害者であった。
果たして、信号無視をしたのは、トラックか、乗用車か?
視覚障害者である彼女は、驚くべき方法で、正当性を証明しようとした...
・天使の耳
・分離帯
・危険な若葉
・通りゃんせ
・捨てないで
・鏡の中で
どれも味わい深い作品です。 -
どんな殺人事件を扱った話よりも、交通事故の話が一番怖いのかもしれない。
という訳で久々に読了したのは交通課に勤めている人達が主役の短編集。交通課というのは話にはよく聞くけれど推理小説でここまで大々的に扱われるのは珍しいのでは?と思う。
交通課なのだから当然話の根底にあるのは交通事故であり、それによって人生が変わってしまう人達が描かれているのだけれど……まぁ一口に交通事故と言ってもこれだけ色んなパターンがあるのか!と思わされてしまう。
もうね、色々と怖いです。交通事故も怖いけど人間も怖い。いややっぱり人間の方が怖いかもしれない。自分の保身の為に平気で嘘をつき、法律を都合のいいように解釈する。恐ろしいよ本当に。
この作品が出たのは少し前みたいだったので今はこの話が書かれた当時よりも法律が整備されたりしている部分はあるんだろうけど、それでもこれを読んでいると毎日当たり前のように使っている便利な乗り物が運転のやり方ひとつで人を殺せる凶器になるし人生が変わってしまうと言うことをまざまざと見せつけられる。
そしてなんとも言えない終わりの後味の悪さがこう、自分の生きている世界と繋がっているなぁと思わせてくれる。
この話の中の被害者や加害者に私が明日ならない保証なんてどこにもない。
今ドラマ化されているらしいけれど、この話本当に教習所とか免許の更新の時とかに流すべきでは?とずっと思いながら読んでました。
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なんか物足りない。。短編集だからかな。。1話1話楽しいというか考えさせられるような内容だったんだけど。。短いからかなんか物足りなかった。
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東野圭吾の隠れた名作。所轄の交通課の警察官が主人公の短編集。
普段から運転をするぼくとしてもどこか胸が痛む作品が多いが、交通事故は被害者も加害者も人生が一変してしまうものなんだな、と残された遺族の心の傷に対して法律はどこまで守ってくれるのか。
横断歩道ではないところから突然人が飛び出してきて、咄嗟の対応で避け、電柱にぶつかったとして運転手が亡くなるとする。ルールを違反したのは歩行者だとしてもそこに罪は問われない。法律の融通の効かなさを悔やむ、遺族たち。
今はドライブレコーダーの普及から、ある程度、運転手の身を守るものも増えてはきているが、他人事に思えず、考えさせられる作品でした。
30年前の作品でしたが、文学は色褪せないんだなあ、としみじみと感じることもできました。みなさんも東野圭吾さんの隠れた名作に触れてみてくださいね。 -
毎度のことながら、東野圭吾。
なぜにこんなにもたくさんの話を思いつくのだろう。
『交通警察の夜』改題とある通り、
交通事故を中心にして構成された短編集。
6つの話が読める。
どれもおもしろいけれど、
1番を決めるとしたら、天使の耳かなあ。
東野圭吾さんらしい、細やかな設定が
楽しい。
分離帯とか、人の感情の動きや思考をうまく表現する
のも、ははあとうなってしまう。
山崎洋子さんの解説もまたいい。
そして、この本のよさを上手に語っている。
そう書けばいいのか。 -
東野流〝交通安全啓発〟ミステリー6編。路駐、煽り、ポイ捨て等々…日常茶飯事的なマナー違反が人生を狂わせる怖さがひしひしと。ドラレコも監視カメラもない時代の苦労も偲ばれ、隔世の感。表題作で問題解決のカギとなるのがバブル期のヒット曲「リフレインが叫んでる」というのも時代を感じさせる。
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交通事故ミステリー。
(そんな言い方があるのか分からないけど)笑
交通事故を題材にした作品を他に
知らなかったので、
なんか斬新だなと思った。
本当に著者は色々な話が書けるよねぇ。 -
星2ですが、面白くなかった訳ではありません。とても読みやすく、続きの気になる短編ばかりでした。
ただ、最後の『鏡の中で』の結末だけは、創作と分かっていても自分の中で消化出来ませんでした。 -
天使の耳
目の見えない子が事故の無実の証明をする
分離帯
停まっていた車が急に運転。それによる事故
危険な若葉
いわゆる「あおり運転」
通りゃんせ
路上駐車がなければ、助かったかもしれない命
捨てないで
車から空き缶を捨てた→後方の車、目に当たって失明
鏡の中で
事故を起こしたコーチ。本当に彼が運転してたのか?
どの話も交通事故をテーマにしていたよー。
今ならドライブレコーダーがあって、どっちに過失があるか
わかるようになってきたけど、
そうでない時代の話。
それをここまで膨らませられるなんて、
改めて東野圭吾さんって、スゴいですー!!