汚名 (講談社文庫 す 1-28)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062630559

感想・レビュー・書評

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  • 家康が徳川政権を安定させていく中で小さくない働きをした人なのに、今一つ陽が当たらないのは終わりが宜しくないからか。
    この本は敢えてそこ。父・正信と共に家康の絶大な信用を得ていた絶頂期ではなく、家康没後、秀忠に煙たがられ周囲の嫉妬に晒され、それでも足掻かず没落していく人生の後半を描く。
    視点は正純に恨みを持つ堀伊賀守利重の近習・越ヶ谷謙作。架空の人物らしいが、近習の身で間者の真似事、ご苦労様。正純から距離のある謙作からの描写に終始一貫し、正純側の全く心情が描かれていないのが、かえって客観的な説得力を持つ。

    結局、将軍・秀忠が何を考えてたのかさっぱりわからないが、そこは謙作如きには守備範囲という訳か。そこ行くと、狩野御前はだいぶだいぶなお人柄…。女性は女性に厳しいからなあ(笑)。 

    釣り天井事件は殆ど言及されてません、因みに。
    あと、何気に見開き2ページだけのあとがきにある「捨て石論」が興味深い。

  • 釣り天井事件で有名な本多正純を描いた作品。本多家に恨みを持つ奥平家が本多家に間者を送り込み失脚を狙う。本多正純が主役かと思ったら正純自身は作中には殆ど出てこなくて架空の人物謙作から見た正純が上手く表現されている。清廉潔白、権力闘争に巻き込まれたら切ない物語。

  • 面白くて一気読みしてしまった。本多正純の宇都宮城釣天井事件。骨太な内容だけど、てらいやけれんのない文章と中身で、流れるように読める。うまいなあ、と思う。こういう歴史小説って好き。

  • 私が本多正純好きという贔屓目を除いても、とても面白い。

  • 070630読了。図書館の「6月生まれの作家」コーナーで見つける。杉本苑子好きなので、借りてみた。2代将軍秀忠の治世、今は亡き家康の、腹心とされた本多正純に恨みを持つ主君に仕える侍が主人公。主命を受け、本多家に小者として潜入し、台所で働きつつ正純の隙を探る。当時の歴史を良く知らないけれど「大忠は奸に似たり」というのが心に残る。それもこれも死後を思い仕掛けた家康の罠っていう思い付きが、また黒くて良かった。

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著者プロフィール

杉本苑子

大正十四(一九二五)年、東京に生まれる。昭和二十四年、文化学院文科を卒業。昭和二十七年より吉川英治に師事する。昭和三十八年、『孤愁の岸』で第四十八回直木賞を受賞。昭和五十三年『滝沢馬琴』で第十二回吉川英治文学賞、昭和六十一年『穢土荘厳』で第二十五回女流文学賞を受賞。平成十四年、菊池寛賞を受賞、文化勲章を受勲。そのほかの著書に『埋み火』『散華』『悲華水滸伝』などがある。平成二十九(二〇一七)年没。

「2021年 『竹ノ御所鞠子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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