- Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062645973
感想・レビュー・書評
-
電車のお供②映画は以前に観た記憶が。主人公が地下鉄の階段を上がると、そこは兄の自殺する直前の風景。タイムスリップにより、反発し続ける父の過去、兄の自殺の理由、様々なことが解かれていく。そしてやはりこのラストは涙なしには読めない・・・。この本を読むと、離れて暮らす父に会いたくなる。そんな自分は明日も地下鉄に乗って出社。名作でした。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
お兄さんがつらい…
-
独特。暖かくて切ない懐かしさ。
戦後の混乱と、テンションの高さ。生き抜くための必死だけどどこか和やかな空気。
タイムスリップの話というSF要素を背景に(前面にではなく)、戦後の生々しく灯りの灯る生活と、地下鉄が運ぶ今のつまらなく閉塞感のある世界とにまたがる血と愛。 -
最初にこの本を読んだのは2003年前後だったと思います。当時、僕は二十歳前後の大学生でした。残念ながら読んだ時にどのような感想を持ったのかは記録していませんが、印象に残ったことだけは間違いありません。たしか10年前に読んだときは、主人公の真次の視点で物語を読んでいましたが、今回は父親の気持ちを考えながら読んだ部分が多かったように思います。自分の成長(あるいは老い)とともに読み続けることができる作品に出逢えたことに感謝です。
-
SFですね。少し不思議の意味での。
親の過去を話しに聞くことは出来ても、実際にその目で見ることは子には出来ない。
憎んでいた父も時代を一生懸命に生きたのだ。
兄の死を回避したと思っても、今は変わらず。そう思って過去に干渉出来ないと思っても、実は過去に干渉していた。
みちこが選んだ方法が良かったことなのか?
浅田さん、みんな幸せにしてやってくれよと思います。 -
浅田次郎さんのデビュー作。たしか映画にもなってましたよね。
日本人得意のタイムワープものですw
テーマは家族で、重要なアイテムがタイトル通り地下鉄。ただ、地下鉄が、わりととってつけた感があって、よく分かんなかったです。登場人物が、地下鉄地下鉄言っているだけで、あまり感情移入できなかったというか・・・時代が違うのかな。
あと、余韻を残すといえばいいのかもしれないけれど、最後のほうが説明少なかったです。
戦後直後へのタイムワープ話って結構多い気がするんですけど、この時代の話は、苦しいながらも未来に希望があって、わくわくします。
この作品は、むしろそういう姿を活き活きと描いていて素敵でした。 -
物語が繋がって行く感じがぞくっとする
-
ミュージカル化された時の動画を偶然観て、その曲の旋律に感動したから原作も、というだいぶゆがんだ理由。
浅田次郎は食わず嫌いだったけれど、読んでみてよかった。
父に対するわだかまりをかかえた主人公が、地下鉄でタイムスリップを繰り返し、過去をみてゆく。
戦時中、戦後のくわしい描写に、地下鉄の絶妙なあわせかた、そこにタイムスリップという現代的なお題。
不思議な雰囲気をまとった作品。
そして張り巡らされた伏線が、ハッとさせられるタイミングで回収されてゆく。
期待が高まるだけに、ラストはちょっと物足りなさもあったけれど、それでも、苦しさを抱えて読了する作品というのは、やはりのめりこんでいたということなのだろう。
主人公はこれからも生きてゆかねばならない。
周りの登場人物の描写が少し粗いのは、あくまで彼を軸に据えて描いているからなのかなとも思う。
群像劇のようにすると、誰もが必死で、誰もが苦しみながら一生懸命生き抜いてたんだ、というありきたりの話になりそうだし、これはこれでいいのかなあと。
やっぱり自己中心的なのがふつうの人間だとも思うから。
地下鉄に乗って、ぼんやりと景色を眺めてみたくなりました。 -
ラストでの、みち子の行動は理解しがたいなぁ。
もっと違う方法があったはず。
昭和初期の躍動感あふれる空気を感じさせるダイナミックな展開だったのに。最後はやるせなさだけが残ってしまったのが、残念でならない。 -
自分自身が地下鉄通勤者で、しかも銀座線利用。その銀座線はレトロスタイルの車両に最新化されつつある今、この本を読むことができたのは何か運命的なように感じた。
ファンタジーの要素もありながら、とにかく切ない。
存在が無かったことになってしまう女性があまりにも衝撃的で、のめりこんでしまいあっという間に読み終えてしまいました。浅田次郎の著作は初めて読みましたが、ほかの作品も読みたいと思わせる素晴らしい一冊でした。