吸血の家 (講談社文庫 に 22-4)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (599ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062646260

感想・レビュー・書評

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  • 最初の殺人の犯人と方法はすぐに気がつき、また親子関係にも思い至った。第二の犯行については正直納得いかない思いがあった。第三の事件のトリックは楽しめた。

    犯人があまりにかわいそうな話だった。私は第一の事件は事故なのではと思っていた。そのため第二の殺人は過去の事件の犯人を知る脅迫者を、本当の母である絃子が殺害した事件ではないかと読んでいた。
    また冬子の扱いも思わせぶりだったが、(蘭子を助けはしたが)結局何もなかったことが残念。特に誰でもよかったのなら事件の予告をしたのは冬子でもよかったのでは。

    物語には不満があるので★★★、でもトリックを楽しんだので結果的に★★★★。

  • あー濃厚だった。足跡のない殺人が、ふたつもでてきて、違う方法という贅沢さ。倫理的にどうこうはおいといて、過去の殺人のトリックには愕然とした。
    注釈がいちいちめんどいという人もいるだろうが、この注釈こそ二階堂蘭子シリーズの醍醐味。今回は、母親の謎はわかったのだが、犯人だと思った人物が直後に殺されてしまい、翻弄された。
    密室、犯行時間のミスリード、意外な人間関係、足跡のない殺人、意外な犯人。

  • 再読。蘭子シリーズ2作目。
    旧家、三姉妹、怨霊、そして惨劇。
    こういう設定は個人的に大変好みなので、雰囲気だけでも楽しめる。
    色々と突っ込みどころもある作品ではあるのですが、足跡なき殺人のトリックはとても鮮やかで、お見事ですの一言ですね。
    ところで注釈が多いのは再読なので勿論分かってはいたのだけれど、注釈こんなに面白かったっけ?(色んな意味で)

  • これはすごいな。
    この本に載ってる推理小説、全部読みたい。
    推理小説は、わたしの読書の原点で、ちょっと読みすぎて満腹になっていたから避けていたけど、やっぱり面白い。
    トリックは全然わからなかった。
    犯人も、もちろん。
    犯人がわかってから、ようやく最初の事件の足跡の謎がわかったくらいで。
    よくできた話だな。
    本の厚さなんてまるで感じないくらい、一気読み。

  • どうやったの?と首を傾げたくなる密室だけではなく、
    何故密室にする必要があったのかにまでちゃんと答えてくれる作品。
    (まあちょっとこじつけっぽいところもあるけど)

    血吸い姫の伝承といい相変わらずちょっと怖いテイストが面白かった。
    欲を言えば作中にもっと怖さを出せたら良かったかな。

  • 2+ 

    作為を盛り込み過ぎて焦点がぼやけてしまった印象。と言うよりも、必然であれ偶然であれ、なんでもかんでも理由付けする必要はない。ただでさえこなれていないストーリーテリングが一層冗長になり、読んでいてもどかしさを感じてしまう。それに拍車をかけるのが注釈のわずらわしさ。特に前半の注釈には無駄なものが多い。数の多さは一種の煙幕なのかもしれないが、だとしたら効果は薄かった。中盤では注釈の数は押さえられているが、終盤にかけてまた一気に増え出す。しかし、そのほとんどは“○○頁参照”、つまり“伏線はここにちゃんと書いてありましたよ”という説明。これはいらない。そこまでちゃんと読んできたのだからそんなことはわかる。国名シリーズの形だけ踏襲しても、作者の自己満足を満たす以外に作品のクオリティアップに繋がる効果はほとんどなく、むしろマイナスだったのではないかと感じる。

    最後の犯人からの手紙も全くの蛇足だった。直前まで探偵が推理した真相を丸々繰り返してどうする。答え合わせ?バカバカしい。それに体裁こそ手紙であるが、内容は作者のプロット・メモである。“この作品はこういうつもりで書きました”という作者の説明(言い訳)でしかない。文体も犯人の書き方・言い方と言うよりは、作者(本編の記述者とも違う)の地の文のようなニュアンスを感じる。“ああこれは犯人が書いたんだな”と思えなければ完全にシラケてしまうではないか。最後の最後にこんなものは必要ない。

    同様のことは中村警部が過去の事件を回想する場面にも言える。警部の語りであるべき文体に、ちょいちょい地の文と地続きの表現が入り交じる不自然さ。例えば、事件の経緯を説明する警部が、「その時雪が降っていた」と言えば済むところを「どんよりとした鉛色の空を、無数の白い結晶が静かに舞っていた」なんて言うだろうか。キャラクターにはキャラクター自身の言葉で語らせて欲しいものだ。あとがきには、“過去の事件も、回想形式ではなく、三人称による現在時制で描いた方が良かったかもしれません”とある。 わかっているのなら、文庫化に際して細かく手を加えたのだから、ここも直せば良かったのに。(あとがきのこの文の直前に“真ん中の密室は必要ない”とあるが、これにも同意したい。わかっているのなら削れば良かったのに。)

    と、文句しか書いてないが、それでも『地獄の奇術師』よりは面白かった。

  • 二階堂蘭子シリーズ、第2弾。
    被害者と発見者の足跡しかない雪が積もった場所の死体、二重の密室など、本格ミステリー的設定のオンパレード。
    一つ目の足跡の謎は、なかなかだと思った。
    本格好きなら楽しめると思う。
    警察が大学生の蘭子に頼りっきりなのが、ちょっとアリエナイ設定だけど。探偵と警察は反目しあうのが常ですが、本作はその点では異色。

  • 二階堂蘭子シリーズ二作目。

    二作読んで感じるのは、二階堂さんの作品は
    私にとっては読むと結構疲れる。
    あんまりそんな風に感じることないんだけど
    文体が苦手なのかな?
    内容は好きなんですけどね。

    本作の最初の事件は推理できた。
    二人目はさっぱりだったけど、三人目のトリックはぼんやり。
    推理小説が好きなのに謎解きが苦手な私も楽しめました。

  • 過去の殺人の部分が大変好きです

  • 蘭子シリーズ第一弾。
    堅実な本格ミステリです。雰囲気がかなり良かった。

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著者プロフィール

1959年7月19日、東京都生まれ。中央大学理工学部卒業。在学中は「手塚治虫ファンクラブ」会長を務める。1990年に第一回鮎川哲也賞で「吸血の家」が佳作入選。92年に書下ろし長編『地獄の奇術師』を講談社より上梓し、作家デビューを果たす。江戸川乱歩やJ・D・カー、横溝正史の作品を現代に再現したような作風は推理界の注目を大いに集め、全四部作の大長編『人狼城の恐怖』(1996〜99年。講談社ノベルス)では「1999年版本格ミステリ・ベスト10」第一位を獲得。アンソロジー編纂や新進作家の育成にも力を注ぎ、2000年代は合作ミステリの企画も多数行った。SFの分野にも精通し、『宇宙捜査艦《ギガンテス》』(2002年。徳間デュアル文庫)や『アイアン・レディ』(2015年。原書房)などの著書がある。近年は手塚治虫研究者として傑作選編纂や評伝「僕らが愛した手塚治虫」シリーズの刊行に力を入れている。

「2022年 『【完全版】悪霊の館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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