窓 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062646413

感想・レビュー・書評

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  • 『鍵』の続編、聴覚障害のある麻里子は高校生3年生になっていた‥家族や知人、友人との関わりの中で健聴者はみな敵と考えている同じ障害のある直久が、毒入りジュース事件事件の関係者であることを知り会いに行き‥あらたな事件が起きる‥。前作の『鍵』よりも読みやすかったが、後半の盛りあがりにちょっと欠けるかな‥ミステリー要素は前作同様感じられなかったです。

  • 「鍵」の続編。前作を読んだ時も感じたが、登場人物が皆魅力的。今回は殺人という陰惨な事件と、麻理子の淡い恋心の話がなんとも上手く絡んでいて、さすが乃南アサだなあと感心した。満足!

  • 乃南さんの作品は凍える牙以来、読みました。厳密に言うと「読み切る」事が出来ませんでした。そもそも本書は続編らしく、とはいえ丁寧に順序立てして記述もある事から窓から読んでも楽しめる内容かと推測します。
    図書館で借りたこともあり期限迄に読まないといけない制約があり、3人視点で進む物語は個人的に噛み合わず。
    恐縮ですがシンプルに違う事をしていた方が有益だと感じざるを得ない内容でした。
    心情の表現は素晴らしいと思いますし、もう少し時間が経って余裕が出た頃にもう1度トライしたいと考えてます。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    私は、どこへ行けばいいんだろう。高校三年生の麻里子は、進学や友人関係など変わりゆく周囲にとまどう。そんな彼女のまわりで起きた毒入りジュース事件。事件に関わる少年が自分と同じ聴覚障害を持つと知り麻里子は…。思春期の少女の微妙な心模様と家族の愛情を描いた、『鍵』に続く傑作青春ミステリー。

  • 鍵の続編。
    複雑な兄の葛藤が全面にでた前編をふまえてか、今回は主人公麻理子の心模様が丁寧に描かれる。
    ミステリー部分は闇を抱えた人の悲しさなんだろうけれどちっとも響いてこなかったかな。てっきり兄が巻き込まれたかと手に汗握ってしまった場面も。。。

    麻理子が自問自答しつつも
    切なさを受け入れる。
    自分に置き換えてみたけれどもうピュアな気持ちはどこかに置き忘れてきちゃったのかな。

  • 日常にあるサスペンス的な感じでその時はすらすら読めたが、あまり心に残らなかった…
    乃南さんの作品は大好きなのですが。。

  • 前作に『鍵』という作品があるとは知らずに読み始めました。夏目漱石の『それから』を読んだ後で、「家族」の変容を少し理解できた気がします。あとがきを読んで、特にそう感じました。

  • 「鍵」の続編。
    聴覚障害の女子高生の麻里子とその周りの人たちが、また事件に巻き込まれる。
    事件とは別に、麻里子の悩む心も丁寧に描かれていて、成長していく姿にも温かい気持ちになれました。
    ★は4に近い3です。

  • 「鍵」の続編、聾唖の末妹と兄の友人が主人公のような形。犯人は暗示しているが、被害者が誰なのか?軽いタッチの赤川次郎ばりの本でした。

  • 耳の不自由な高校3年生の麻里子は疎外感を感じている。
    耳が聞こえない。
    私だけが。
    私の思いなんてどうせ誰も分からない。
    その思いが以前よりも友人や他の人たちとの距離を広げてしまう。

    そんな時、ある事件が発生する。
    ホテルで行われた同窓会に毒入りのジュースが持ち込まれた。
    容疑者として警察に連行されたのは、その毒入りジュースを若い男から受け取ったという耳の不自由な少年。
    警察の事情聴取でろくに喋らない彼は容疑者として疑われているという・・・。
    麻里子は自分と同じ境遇で歳も近いその少年に興味をもち、兄の友人で新聞記者の有作に彼に会わせて欲しいと頼み込む。
    実際に彼と会って、会話を交わして、麻里子は彼の中に自分以上の周囲への怒りを感じる。

    一方、ケーキ屋の一人息子、恩は自分の今うまくいかない境遇は全て周りの人間のせいだと思っている。
    実はホテルに毒入りジュースを持ち込んだのは彼だった。
    かつての同級生たちを殺すために。
    彼はスポーツクラブに通っていて、そこでたまたま出会った麻里子をナンパする。
    しかし、それを邪魔されて、その人物を次のターゲットに選ぶ。

    私だけが他の誰とも違う。
    誰も私の気持ちを分かってくれない。
    その思いが麻里子の心の窓を閉ざしてしまった。
    同じく何度もつらい目にあった耳の聞こえない少年も。
    彼らと犯人は少し似ている。
    麻里子も物語の後半でその事に気づく。
    だけど決定的に違うのは、犯人には何の身体的ハンデもない事と自分の中の怒りを他者への攻撃に変えていること。

    人はあまりに悲しい事、つらい事があって人を信じられなくなると心を閉ざしてしまう。
    人の心を閉ざすのも人間なら、その心をノックして開くきっかけを作るのも人間の心なのだと思う。
    その人を本当に思う気持ち。
    主人公の麻里子にはそんな人たちが周囲にいて、いつしか彼女の心の窓は開いていく。
    その心はもうひとつの閉ざされた窓を開くきっかけにもなった。
    風を感じる物語だった。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』『いちばん長い夜に』『新釈 にっぽん昔話』『それは秘密の』『六月の雪』など多数。

「2022年 『チーム・オベリベリ (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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