父親の力 母親の力―「イエ」を出て「家」に帰る (講談社+α新書)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062722841

感想・レビュー・書評

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  • 母性・父性について(とくに父性)…目からウロコだった。それがいちばん印象深かったけど、他にもいくつもハッとする箇所が。

  • なかなか微妙だったけど、結論は読んでよかった、面白かったです。

    河合隼雄さんという人の本を読んだことなかったので、一度読んでみよう。
    というだけの動機でした。
    どの本を読もうかなあ、と考えたのは、
    ①電子書籍であること。合間合間で読みやすいから。
    ②最近の本であること。物語本じゃないから、あんまり昔のものだと、ピンとこないかも。
    ③あんまり分厚くないこと。
    というわがままな条件にひっかかったのが、この本でした。

    内容は、題名の通り、家族の問題について、全国の臨床心理士さんが河合隼雄さんに質問を寄せ、そのいくつかについて答えるカタチで、河合隼雄さんが自説を述べる、という本。
    いちおう、2000年以降の本だし、上記の構成なので語り言葉風。読みやすい本でした。

    僕の印象で、微妙だったところは。
    ①全体的に、やや老人的な「とにかく昔がよかったのよ」という発言があり、多少白けました。
    ②全体的に、「とにかく欧米は日本よりGOODなのよ」という言い方が耳について。多少白けました。
    という2点だけですね。

    でありつつ、素敵に矛盾しているというか。
    昔の良くなかったこともちゃんと言及している。
    欧米礼賛については、やや無根拠すぎる節はあります。ただ、「モノゴトの考え方の根っこにキリスト教っていう宗教があるから、その分、地域社会とかの人間関係が希薄になってくる現代、最終的によりどころがあるから、楽だよね」という意見が根っこなんだな、と思いました。
    それはそれで、例外異論もいっぱいあると思うけど、一つのジジツではあるよな、と。

    で、読んで良かった、面白かったなあ、と思えたのは。
    高度成長、そして今不景気社会と、世の中が変動する中で、どうあるべきか、という、いちばん肝心なところの物の考え方、分析、その辺は、僕は好きでした。
    要は、「世の中思い通りなんか行くわけないんだから、無駄に深刻に悩みすぎ」
    というとらえ方がある一方で、
    「今日本で起こっていることは、ある意味前例のない状況。かつての教訓やモラルや習慣では乗り切れない」
    「かつての時代の、良かったところというのは分析したり認めたりできる。でも、それを再現しようとするのは、無理」
    「結局、西欧的個人主義になってくるんだけど、西欧とちがって宗教というモラルっていうか、軸はない。だから、西欧的理性に基づいて、対話というのをちゃんとしていくしかない」
    「敵に突撃しろ!と言われたときに、真っ先に突撃する、という精神よりも、"なぜ突撃しなければならないのか?"と満座の前でも声をあげることが、父性としても大事である」

    といったような内容。納得。同感。
    また、女性の社会化に伴う母性の在り方とか、いろんな家族についての問題、角度、視点が語られています。

    そういう分析はすごくすごく納得で、なるほどなあ。と。

    ただ、「じゃあどうしたら良いのか」という論になると。
    「前例をあてにせず、対話を。ひとりひとりが考えて、決定して、行くしかない」
    という総論は、僕は好き。

    で、やや具体論になると、ちょっとユートピア的というか。
    理想論すぎるというか(笑)。
    そんな印象はありました。

    でもね、なるほどなあ。と全体には思いました。最晩期の本のはずだけど、視点や考え方は、新しい古いじゃない。納得できるものだなあ。と。

    また別の本も読んでみる気になりました。
    と、言いつつ、日本のユング派の巨匠だそうなんで。じゃあユング読めよ、っていう話になるんですけど、実はフロイトすら挫折して読んでないんです。
    言い訳ですけどね・・・翻訳で読むのがなんか違和感があってね・・・。
    面白くないんだもん・・・。

  • 今起こっている問題に関する考察については、うならされる内容だった。
    懐古的な記述内容については、疑問。それほど昔がよかったのかについて、公正な目で検証できているとは思えない内容だった。
    今後に関する考察については、もう少し踏み込んでみて欲しかったな、と思う。

  • 『Q&Aこころの子育て』と似たような内容で、心理療法家からの質問に答える形になっている。これ一冊だけではちょっと説明が足りない部分があると思うので、『Q&A…』と2冊1セットのつもりで読むとぴったりだと思う。

  • いろいろ悩みがつきませんが、これに縋ろうと思った訳ではない、と思います。
    「家」について、急激な欧米化と経済発達による、生活の変化…それに見合う生き方。
    そんな、言葉の書かれた序文に惹かれて、購入。

    河合さんは、有名な方で、一度簡単な辺りから、本を読んてみたかった、というのもあります。

    内容は、他のカウンセラーの方の質問に、答えるような形式で、カウンセリングって、どんなんだろう…
    って思ってる人には、ちょうどいい入門書かも。

    まあ、親子、家庭に絞られた話題で、身近でもあり、わかりやすいです。

    難しい、専門用語がならんている訳でもないけれど、
    性格診断テストや心理テストが付いてるわけではありません、あしからず。

  • 歴史的名著
    極めて読みやすい。
    筆者の思いが素直に入ってくる。

  • なるほど、と思うこともあったけれど、腑に落ちないことも。母親は少しばかりのお金のために仕事するよりも子どもと一緒にいるほうが..、という内容の記述。我慢するのは母親だけ?女親の仕事は大して認められないものなの?昔河合隼雄さんと同じように思って、家にいましたけれど。

  • 家を守るには努力が必要なんだけど
    個人としてごく自然にふるまって居心地のいいのが当たり前、と思う人が多い気がする。

  • 親について、最近よく考えてる。

  • 母性・父性のところが面白かった。日本は父親も母性寄り、なるほど。私としては腑に落ちないところもあり、感じたことを材料に考えてみたい、心にとどめておきたいと思った。

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