ホラーハウス社会 (講談社+α新書)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062723565

感想・レビュー・書評

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  • 「眼に見えない犯罪者の恐怖に戦きながら、人びとは過剰なまでの厳戒体制を布こうとしている」と指摘しているが、特に未成年や精神異常者による犯罪は被害者にとっては単なるヤラレ損でしかないので、防衛したいという気持ちは理解できる。
    その一方で、治安管理はレクリエーションであり、エンターテインメントであり、新しいコミュニティのあり方だとの指摘は新鮮だった。
    悩ましいのは、その活動が、「だれも意義を唱えられない大義」を持っていることだろう。その結果、やりすぎな行為を誰も止められなくなる、”正しさの暴走”を生んでしまうような気がする。

  • 精神病質
    報道は社会的制裁

  • ホラーハウス社会は言い得て妙。そして、本書に横たわるのもやはり、世界の不寛容。

  •  「少年による凶悪犯罪は急増していない」という主張は、「教育不信と教育依存の時代」で広田 照幸氏も述べている。
     では、何が変わったのか。事件を受け容れる社会が変わったのだ。
     以前の社会は、事件に直面し犯人を責める前に、理解しようとした。その犯罪から、社会の病理を捉えようと努力した。しかし、今はその努力よりも、怪物として排除しようとしている。
    それらの動きを著者は「犯罪の作品化」と呼んでいる。

     犯罪者となった少年たちの「更正」「教育」を主目的としてきた少年法の精神、歴史的背景。そして、犯罪の作品化を持ってしても理解不可能となった酒鬼薔薇事件を契機として起きた厳罰化(少年法改正)への動き。

     一方「異常者」として、刑法上の刑罰を免れた少年たちが収容される精神病院の抱える様々な問題。

     この本の提起する問題は多岐にわたっている。

    だからどうしたらよいのか。

    これは私たち一人一人が考えなければならない問題なのかも知れない。

  • Sadismは、加虐性淫乱症(性欲)って意味だったんだ。生活療法、エンタメ。普通の生活では知りえない少年犯罪、精神病?者の事情や経緯が、偏った報道では知りえないことがわかった。

  •  酒鬼薔薇事件以来、少年犯罪が増加、凶悪化したと各メディアでは報じられていたが、犯罪白書のデータを見れば分かるとおり、1960年代に比べ、殺人を含め少年犯罪の件数は大幅に減っている。

     更に、一家4人を殺害して金を奪った上に放火した永山則夫事件、優等生として認知されていた少年による猟奇的な事件など、「凶悪」と思われる犯罪は昭和時代からあった。

     それにもかかわらず、平成に入ってから少年犯罪が増加、凶悪化したという虚偽の情報が広まった背景にあるのは何か?著者は、住民が嬉々として防犯活動、治安管理に勤しみ、秩序を乱すものを監視、隔離し、恐怖を快楽として消費するホラーハウス社会を作り上げていることを指摘している。

     非常に興味深く、内容も正鵠を射たものだと思った。最近は治安が悪くなったと言われていますが、そう断定せず、冷静に世の中を見つめていくのが大事だろう。

     人々は連日報道される凶悪犯罪に目を顰めながらも、メディアの必要以上に不安を煽るセンセーショナルな報道に怯えつつも、どこかでそれを楽しんでいる節があるのかも知れない。そういうことを考えさせられた。

  • [ 内容 ]
    凶悪犯罪は急増していない!!
    保護の対象であった少年と精神障害者はなぜ「怪物」扱いをされるようになったのか。

    [ 目次 ]
    第1章 少年を教育に囲い込む社会(少年犯罪は凶悪化しているのか 「山形マット死事件」の真実は ほか)
    第2章 「怪物」化する少年たち(「神戸連続児童殺傷事件」の戦慄 どの時代にも起きていた凶悪事件 ほか)
    第3章 精神病院から排除される病者(町に暮らしていた病者たち 私宅監置の悲惨な状況 ほか)
    第4章 犯罪精神医学の歪んだ欲望(犯罪の専門家としての精神科医 犯行動機の解読者として ほか)
    第5章 不安にとりつかれた社会(措置入院制度から医療観察法へ 判断基準は異常性にあり ほか)

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    [ 参考となる書評 ]

  • 0612

  • 凶悪犯罪は増えてなどいない。
    保護の対象であった少年と精神障害者はなぜ「怪物」扱いをされるようになったのか。

  • 再読しましょう。

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