大人問題 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.84
  • (64)
  • (64)
  • (84)
  • (5)
  • (2)
本棚登録 : 831
感想 : 87
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062731614

作品紹介・あらすじ

大人は有害である。いじめ、閉じこもり、不登校…子供問題は世間を気にし、教えたがり、試したがる大人に問題がある。子供は大人の充足のためのものではない。新人、ルーキーだ。「これから何をするんだろう」「いつ化けるかな」大人は緊張し、楽しみに見守るサポーターになろう!心がほぐれ、元気の出るユニークな子供論。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  中学1年生の娘が、40代の母親を刺し殺した事件があった。なぜか、暗澹たる気持ちになる。
    子供たちの置かれている状況が、いじめ、ひきこもり、不登校などの問題がある。子供の問題である。
    ところが、五味太郎は、大人問題が大きな問題だという。
    五味太郎が、「まじめな子どもにふまじめな大人が説教する」と指摘し、もっと「子どもから学ぶべき」という、提起をしている。たしかにそうである。
    とにかく、大人たちは、疲れきっている。どんな時でもわかったような顔をしている。他を落とし込めて優位に立ちたい人がいる。世間を気にしている。義務と服従が好きな人がいる。どうも、大人には、うんざりしているのが子供たちなのだ。

    子供に文句をつけることはできるが、大人はどうしたらいいのかわからないでいる。
    たしかに、今の子供たちを縛り付けている現状をどうかえていくのか。
    子どもを自由にのびのびと生活させるために何をするのか。
    わからないまま、今のやり方ではダメだといって、いるだけでは成り立たない。
    「子ども」という不思議な存在を、大人の立場から論ずるのではなく、子どもの立場から、論ずることが必要なのである。

    何事もほどほどに、バランスが大切。
    私たちがこれまでがんばってきたのは、誰のためだと子供に説教をする大人。
    服装の乱れは、心の乱れと訓示を垂れる大人。
    「命令をきかない子」「みんなと一緒にやらない子」などとレッテルを貼る。

    世の中はしていけないことが多くあって、していいことが少しある。
    自分のしていることがしていいのかどうか、ちょっと子供は心配だという図式なのです。
    子供を成長過程の人間であるとして、人格をきちんと認めるのが大人の作法なのです。
    子供を未来の視点から、誉めてやることが一番大切なんだね。
    子供の問題にしないで、子供のことを大人の問題にすることで、視野が広がる。

  • 面白かった。

  • 子育て中にぶち当たる問題は、もしかしたら自分が勝手に作っているのかもしれない。それを知っているのと知らないのとでは、これからの子供の向き合い方が変わってくるのかも。
    子育てで何か困難に事が起きた時には再読しようと思う。

  • 歯切れのいい言葉で語られているのに決めつけがない。すごい。

  • 武田砂鉄さんの”わたしの一冊”から。登録準が前後してしまったけど、氏の著作を読んだ流れで本作も読むことに。なるほど、多感な時代に読むにはうってつけな感じの一冊。なるほど、あの絵本の裏側にはこういった思索があった訳ですね。

  • 美しい色彩の楽しい絵本をどっさり描いている著者が、子ども抜きで子どものことをああだこうだと仕切る大人たちについて、冴えた頭と良く見える目と平易な言葉で展開する大人有害論。

    分かりやすい言葉で書かれた読みやすい本。
    私は「一生懸命」書いちゃう人だ…。

  • 絵本以外の五味太郎さんの本を初めて読みました。
    ユーモアあふれる独自の視点をお持ちの方ですね。
    大人と子供の関わり方について、今で言うツイートのような短文がいくつもまとめられた本でした。
    子育て真っ最中の自分にとっては「ああ〜やっちまってるなぁ…」というものがたくさんありました。
    子どものことを1人の独立した人間としてもっと認識しなければなりませんね。
    折を見て読み返したい本です。

  • ひとつひとつが一息で読める構成になっていてとても読みやすかった。ザックリものを言う文体は読んでいて気持ちがいい。大人の都合で子どもを巻き込む案件のいかに多いことか。(発達障害のくだりだけ“ん?”と思ったが、それも人それぞれの意見ということだろう)どこから読んでも良いので[大人に疲れた]時に読み返したい。

  • 五味太郎さんの絵本は、ちょっと抜けている、ちょっとズレている、そんなイメージです。だから、作品とこの本とのギャップに驚いてしまいました。

    大人の側にたくさんの問題があるのではないか、子どもに原因を求めているのではないか、本当に子どものことを考えているのか?たくさんの問いかけがあって、子どもの見方を変えないといけないなあと思いました。

  • おっしゃりたいことはよくわかるのですが…。

全87件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

五味太郎 1945年生まれ。工業デザイナーを経て絵本の世界へ。サンケイ児童出版文化賞、東燃ゼネラル児童文化賞、ボローニャ国際絵本原画展などで数多くの賞を受賞。絵本に『きんぎょが にげた』『かぶさん とんだ』『さんぽのしるし』『ばったくん』『みんなうんち』『からだの みなさん』『どこまで ゆくの?』『にているね』(以上、福音館書店)『まどから おくりもの』『仔牛の春』『つくえはつくえ』(以上、偕成社)『かくしたの だあれ』『たべたの だあれ』(ともに文化出版局)『さる・るるる』(絵本館)「らくがき絵本」シリーズ(ブロンズ新社)など多数。絵本論『絵本をよんでみる』(平凡社)、絵本の仕事をまとめた『五味太郎 絵本図録』(青幻舎)がある。

「2023年 『おでかけ版 ひよこは にげます』 で使われていた紹介文から引用しています。」

五味太郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×