- Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062734936
作品紹介・あらすじ
在日米軍基地で発生した未曾有の惨事。最新のシステム護衛艦"いそかぜ"は、真相をめぐる国家間の策謀にまきこまれ暴走を始める。交わるはずのない男たちの人生が交錯し、ついに守るべき国の形を見失った"楯"が、日本にもたらす恐怖とは。日本推理作家協会賞を含む三賞を受賞した長編海洋冒険小説の傑作。
感想・レビュー・書評
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上下巻ともに500ページを越える大作。
それでも一気に上巻を読み終えた。
何年か前に観た『亡国のイージス』の映画は、護衛艦《いそかぜ》内で繰り広げられる戦いのシーンが強く印象に残っている。
原作である小説『亡国のイージス』上巻を読んでわかったことは、映画は上巻後半からの展開をメインにしていたけど、実のところ小説上巻の大半は、そこに至るまでの主だった登場人物である《いそかぜ》艦長・宮津弘隆(49歳)、同艦先任伍長・仙石恒史(48歳)、同艦一等海士・如月行(21歳)らの人生、そして《いそかぜ》に乗艦してからの彼らの感情の揺れというものを、かなり丁寧に描いていたんだってこと。
そのなかには彼らが、これまでも、そしてこれからも気づくことはないだろう互いの邂逅もさりげなく語られている。そういう本当に些細な描写のなかに、彼らの人となりが表れていて、作者の登場人物たちへ向ける真摯な眼差しを強く感じることができた。
大きな展開はこれから下巻にむけてとなるけれど、何のために彼らが戦うのかという意志を汲み取るためには、かなり大切な部分に違いない。
彼らのなかでも、特に如月行の感情の揺れには胸がつまるものがある。
すべてを憎んでここに存在する自分。周囲の世界すべてを嫌えば痛みも消える。そうやって生きてくるしかなかった行。
ほんのつかの間ではあるけれど、《いそかぜ》で過ごした時間は行を戸惑わせる結果となってしまう。
死ぬのは怖くないはずなのに、この虚しさ、やりきれなさを感じるのはなぜ。胸が痛むのはなぜ。
やり遂げなければならない任務を前に、思わず感じたことのない感情に胸を痛める姿は、まだ少年と呼んでいいほどの21歳の若者でしかない。
「任務だからやる」という行に、「生きたり働いたりするってのは、そう単純に割りきれるものじゃない」と答える仙石。
近づいたと思うと遠のく二人の距離。
行の姿に息子を重ね、孤独な背中に何かしらを感じる宮津。
各々が抱える葛藤や弱さ、優しさ、憎しみなど人間だからこその感情が、彼らを中途半端にさせる。すべきことに躊躇してしまう。相手を信じきることができない。
機械が思いの舵をとるわけではない。人間が思いの舵をとるからこそ、そこに苦悩が生まれ、胸が痛むし信念が揺らぐ。だからこそ、そこを越えた先へと自らを引き返せないところまで追いつめるのもまた人間なのだろう。
「人の心は、とても弱いから」行の言葉が下巻へと尾をひいていく。
守るべき国の形を見失った《楯》。
亡国のイージスは彼らを何処へと向かわせるのだろうか。
海上自衛隊ミサイル護衛艦《いそかぜ》が戦争をはじめる。
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はぁ……。かれこれ1カ月弱、某ドラマの底なし沼にハマりこんで浮上できず。
毎日ふと思い出しては胸がキューと締め付けられ、涙腺は緩む。ヤバい、何にも手につかない。かなりの重症。
ふだんラブストーリー系は、映像、書籍、実生活問わずほとんどノータッチなので免疫が出来てないのかもしれない。なんてったって20数年前から映像系では、ラブストーリーの1番は『タイタニック』、初恋ストーリーの1番は『白線流し』で時がとまってますから。
今回沼にハマったドラマは、もちろん主役の俳優さんがすっごく素敵なことは大前提として、ストーリーがね、もう最高だったのですよ。
はぁ……(ため息2回目)、本も読めない。
体調が悪かったり、悩み事があると本を読めないタイプなんだけど、切なくても本って読めなくなるのね。そうか、これが恋なのね。わたし恋しちゃったのね(←自分に酔って暴走中)
はぁ……(ため息3回目)、ブク友さんも「沼はすなわちトキメキでできているから、同等以上の熱量でのトキメキがないと沼から脱出できない。そして脱出したときは別の沼に嵌まるだけ」とおっしゃってるもの。
もう抜け出せない。
こんな状態だから、読書も今はドキドキするのも、ドロドロするのも、ナルホド!と感心するのも、気持ちがいっぱいすぎて入り込む余地がない。
だけど、うん。唯一(とは言い過ぎだけど)わたしがこういうとき対抗できるジャンルは、骨太な冒険小説なのね。トキメキにはハラハラで。
ということで、選んだのが『亡国のイージス』でした(何のこっちゃ) -
海上自衛隊、護衛艦が舞台となり、国防がテーマの軍事小説。その中にもいろんな要素が含まれ、大長編だが飽きずに読める。18年も前の作品なのにも関わらず、日本の国防の問題は現在でも通ずる点が多い。この作品を当時30歳ぐらいで書いてる著者はすごいと感じた。
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映画を見て面白そう。
けどなんか分かりにくい。
原作を読んでみたら、
登場人物の背景がきっちり書き込まれている。
映画だとなんでここまでと思う事も納得できる。
映画だと尺の長さの制限があると改めて思わされる作品。 -
おかしいよね。なんてワンパターンなんだろう。直情径行で人情派でちょっと世の主流からははずれていながらなおも心に熱いものを抱いた中年男と、片やクールで妥協を知らずただただ真っ直ぐに突き進むことしかできない鋭い切っ先のような若い男。そう、「川の深さは」の桃山剛と増村保、「Twelve Y.O.」の平貫太郎と辻井護、そしてこの作品でいえば仙石恒史と如月行だ。汚濁の世に絶望し自分の信念に向かって脇目もふらず命すら投げ出して半ば盲目的に突っ走るしか知らない若い魂に、人が生きることの尊さ、人生を賭けるに値するもっと熱いものの価値をアウトサイダー中年が語りかける。そしていつしか氷が解けるようにお互いの間に人と人とのかけがえのない絆が生まれて行く。すべてそんな物語なのだ。
如月の言葉、「生き甲斐だ。生きててよかったって思えるなにかだ。それがあるから、人は生きていけるんだって……そう教えてくれた人の言葉を、おれは信じる」。仙石でなくたって、泣けるだろうさ。これだけ信頼されて奮いたたなけりゃ男じゃない、いや人間じゃない。このずっと後で、仙石を解放する手立てを整えておいて最後の最後の手段で如月がスクリューに爆薬をしかけに行くシーン。「戻った時、もしあんたがまだいたら、その時は殺す……!」。そこへジョンヒが現われて思わぬ死闘になる。諦めの悪い仙石が背後から加勢して辛くも窮地を脱することができた。このあたりがこの物語の白眉だろう。人と人が信頼できるとは何か。人は何のために生きるのか。理屈でも計算でもなくもっともっと大きなもののためだ。それを痛切に訴えかける。
艦長の動機が卑小だ、前半部が冗長すぎる、展開がご都合主義だ、などなど多く語られる書評はその通りだと思う。だけどそんな欠点を超えてなおこの物語は感動的に屹立する。裏切られても、撃たれても、絶望のさなかでも、また立ち上る人生の熱さがひしひしと伝わってくるからだ。 -
9年前に映画は見た(映画自体は05年の作品)けど、ほとんど覚えてないので、新鮮な気持ちで読んでいる。中盤まで来て、ようやく真田広之の姿が浮かんできた。前半だけでも十分に厚い本だが、まだ導入部。ようやく真の展開に至ったところなので、後半が楽しみ。
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在日米軍基地で発生した未曾有の惨事。最新のシステム護衛艦“いそかぜ”は、真相をめぐる国家間の策謀にまきこまれ暴走を始める。交わるはずのない男たちの人生が交錯し、ついに守るべき国の形を見失った“楯”が、日本にもたらす恐怖とは。
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守るべき国の形が無いというフレーズが何度も出てくる。また、登場する人物達の多くが自分の守るべきものが崩壊し自らが生きる目的が見えなくなっている。その様子がベースになっている。
価値観が損得的金銭的な軸でしかなくなった今の日本への作者の怒りかもしれない。
日本にとって「守るべき国の形」とはなにか?続きを読みながら自分なりの答えを考えていきたい。 -
初めて同じ本を2冊買った。(普及用と自分用)
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再読記録をつけようと思ったらそもそも登録されてなくて驚いた。そんなに昔に読んでいたんだ。よく考えたら少なくともこの下宿で読んだ記憶はない。
ちょっと思うところがあって、久々のガンダム以外の福井晴敏。何か改めての所感があったら下巻の項に書くことにする。 -
福井晴敏さん、日本冒険小説協会大賞受賞作「亡国のイージス」上巻、読了。最新システム護衛艦「いそかぜ」の乗組員を主人公にした長編海洋冒険小説。在日米軍基地で発生した大惨事。その真相をめぐる国家間の陰謀に巻き込まれた「いそかぜ」艦長の宮津は、大きな岐路に立たされる。交わることのない男たちの人生が交差し、ついに守るべき国の形を見失った楯(イージス)が日本にもたらす恐怖とは。。上巻は主要登場人物の説明が描かれる。軍事艦隊ものでシロートには、敷居が高い?と思ったが「いそかぜ」乗組員の個性的で魅力的なキャラのおかげで、すぐに引き込まれた。中盤からラストの展開はスピーディーで本当に面白い。ハラハラしながら下巻へ。
いつでもハマりに来てくださいね(*>∀<*)ノ
マリモさんとは好みが似てるので、「お、これ...
いつでもハマりに来てくださいね(*>∀<*)ノ
マリモさんとは好みが似てるので、「お、これはキラリン♡」とくるレビューには、つい暴走コメントしちゃうんですよ♪
そんなわたしを、マリモさんは温かく迎えてくださるので甘えてしまい、暴走しつづけるのです……
全然関係ないところで思い出してキュン、めっちゃわかりますー!日常でも、子供が、「〇〇君が転校して、もう会えないかも...
全然関係ないところで思い出してキュン、めっちゃわかりますー!日常でも、子供が、「〇〇君が転校して、もう会えないかも…」と言うのを慰めながら、「もう、会えない…?そんなのいや!」と脳内は全く違う方向に暴走始める具合です。
百人一首、一条天皇の句も入れておいて欲しかったですねー。解釈も含めて、とてもドラマチックですし。百人一首は、並べ方にも定家の意図が組み込まれているらしいのですが、定子と一条天皇は並べて欲しいですね。
北の軍人と南の令嬢って、国をあげてのロミオとジュリエットのような関係ですね!恋の障害は大きい方が燃えますからねー!あぁぁー、絶対はまりますって。『脱出しても別の沼にはまるだけ』を自ら実証することになりそうです。
16話まであるようですが最後までエンドレス再生にしてしまいそうですし、普段、Eテレかポケモンかドラえもんかみたいな子供路線のテレビしかついていない我が家のテレビも混乱しそう…、とか書いているだけですでに興奮気味です(笑)
今まだ観る勇気が持てませんが、満を持して観た暁には、地球っこさんに突撃しますので、どうぞそのまま沼でごゆっくりしていてください♡
nejidonさんこんばんは!
私の方こそ、毎度の暴走に、地球っこさんに付き合っていただいている者です。
nejidonさんも沼にはまったときにはご一報ください。よき沼友になりましょう(о´∀`о)←ぇ
うふふ。子どもさんの転校のお話からそこまでドラマチックに暴走しちゃうとは、さすがマリモさんです♪
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うふふ。子どもさんの転校のお話からそこまでドラマチックに暴走しちゃうとは、さすがマリモさんです♪
マリモさんも悪女沼からまだまだ抜け出せないようで、なにより。よかったです(←なにが)
定子と一条天皇をくっつけちゃうと、彰子のことを思って胸がチクリとしちゃいますが、きっと彰子なら歌だけでも添い遂げさせてあげたいと分かってくれるんじゃないかなぁと思います(ほらほら、また妄想が暴走する予感……)
はぁ、こうして脳内を暴走させると、世の中、ドラマチックなことはあるものですね 笑
マリモさん宅のテレビ、きっと混乱しますよ。
わたしもテレビで観てるのですが、もう停止させるタイミングがない!
なんか作りもうまくて、1話1話、ここで終わりというとこから伏線が回収されたりして、結局続けて観ちゃうのですよ。
きっと、うちのテレビも、今まで「え、こんな時間今までテレビつけてなかったやん。ちょっと働かせすぎちゃうん」と戸惑ってると思います。
はい、ゆっくりとまだまだ沼に浸かってまーす。
マリモさんのタイミングが来たときに、楽しんでくださったら、わたしも嬉しいですヽ(*´∀`)ノ