まどろむ夜のUFO (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 72
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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062739283

作品紹介・あらすじ

私のほんとうの居場所はどこにあるのだろう

私の知らない「彼女」にジャムを作り、いそいそ出かけていく高校生の弟・タカシ。魂の前世を信じる、弟の怪しげな友人・恭一。5日おきにデートする几帳面な同級生・サダカくん。3人の奇妙な男に囲まれ、過ぎていく夏――。心の底のリアルな感覚を描き共感を呼ぶ、角田光代の作品集。野間文芸新人賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 1993〜95年に発表された3作品を収録。最近の角田光代作品より純文学寄り。それはそれで楽しめた。

  • 標題作含む中短編3編。フワフワした危うさを醸し出しながらも、そのままトンネルを抜けたり、次の扉を開けるような感覚...。斎藤美奈子さんの解説が秀逸なのですが、読めた気になってしまうので、必ず読後に読まれることをオススメします。

  • なーんか覚えのあるストーリー
    と思ったら以前に読んでいた。文庫で読んだのではなかったので気付かなかったみたい……。アホ。
    UFO好きな弟や奇妙な弟の友人、彼氏といえるのか微妙なサダカくん。周りの個性が強烈過ぎてクラクラしそう。
    実際、こんな感じの人が周囲にいたら普通ではいられなくなりそう。

  • まどろむ夜のUFO
    自分の信じたいものを信じれば良いと思います。
    他人に迷惑をかけない範囲で。

  • なんだろうな、このモヤモヤ感。

    読み終わった後の気持ちの整理のつかなさ。


    主人公たちは
    社会やモラルや周りの人間関係といった
    しがらみもおかまいなし。
    先の未来さえ関係ないくらい自由に生きている。

    一体どこに向かうつもりなのか
    あぶなっかしい女の子たち。

    ポッカリと空いたブラックホールに
    今にも吸い込まれそうにして危うい所を漂っている。

    刹那的に生きる彼女たちに感じたのは
    意外にもうすら寒い不気味さだった。

  • 角田さんの最初の頃の小説集。野間文芸新人賞の受賞作で、どちらかというと芥川賞とかをとる方の人(?)と思われていた頃の作品ということになるのだろうか。

    読む方の不安を掻き立てるような小説だと思う。扱っている内容の重さ(怪しげな新興宗教にのめり込んでいく弟の様子とか)もあるけれど、語り手の感覚もどこか微妙な狂いを含んでいる。ところどころ「これホラーか?」と思うくらい怖い。

    ひょっとすると多少気負って書いている部分もあるのだろうかと邪推しながら読んでいたのだが、他の作品につながるような角田さんらしい比喩などは随所にあって、やはり何がしかの「角田さんらしさ」の原型がある気がする。「弟のようなもの」に対する感覚は、ところどころ『夜をゆく飛行機』の里々子とぴょん吉がなんとなく思い出されるところもあった。

    あと、角田さんは「男」というよりも「男の子」を書いている印象である。

    • takanatsuさん
      そんなに怖い本なんですか‥。
      タイトルでちょっと気になっていたのですが、ホラーが苦手な人間は近付かない方がいいでしょうか。

      「角田さ...
      そんなに怖い本なんですか‥。
      タイトルでちょっと気になっていたのですが、ホラーが苦手な人間は近付かない方がいいでしょうか。

      「角田さんは「男」というよりも「男の子」を書いている印象である」
      それは年齢の話ではなく、ですか?
      2012/07/15
    • 花鳥風月さん
      出てくる人が(主人公含め)少しずつあやしげな世界へのめり込んでいってしまう話なのですが、のめり込むに至るところが説明されなかったりするので(...
      出てくる人が(主人公含め)少しずつあやしげな世界へのめり込んでいってしまう話なのですが、のめり込むに至るところが説明されなかったりするので(たぶんあえてだと思いますが)なかなかこわい仕上がりになっています(ホラーは言いすぎかもしれません(笑))。けっこう印象に残りましたけどね。

      takanatsuさんはぐっと入り込んで本読まれる方(スイマセン推測です)だと思うので、ちょっと憂鬱になってしまうかも?と思いました。


      >それは年齢の話ではなく、ですか?

      そうですね。まだ4冊しか読んでないのでちょっと思いつきみたいなところもあるんですが… わりと出てくる登場人物がそれなりの年齢であってもどこか少年っぽいところを残している気がするんですよ。角田さんが児童文学みたいなものに関心があったり書かれたりしているのもそんな風に思わせる原因なのかも?

      角田さん自身が少年ぽい感じもしますよね(こんなこと言ったら失礼なのか(笑))。『幾千の夜、昨日の月』のレビューでtakanatsuさんが「角田さんは勇者のよう」って書いてるのを思い出しました。

      次は『さがしもの』にしようかなー、と思ってます。
      2012/07/16
    • takanatsuさん
      「少しずつあやしげな世界へのめり込んでいってしまう話」
      なるほど…。

      「どこか少年っぽいところを残している気がするんですよ」
      意識...
      「少しずつあやしげな世界へのめり込んでいってしまう話」
      なるほど…。

      「どこか少年っぽいところを残している気がするんですよ」
      意識したことはありませんでしたが、言われてみるとそんな気も…。
      でもそういう部分ていくつになってもあるものとも思っていたから、気にならなかったのかもしれません。
      女性も少女っぽい部分を色濃く残している人が多いような…。(私の周りにも)
      「角田さん自身が少年ぽい感じもしますよね」
      少年ぽいと思ったことはありませんが、凛々しい方だなとは思います。
      「角田さんは勇者のよう」
      そうですね。本当にそう思っています(笑)

      「次は『さがしもの』にしようかなー」
      そうなんですか。『さがしもの』とても好きです。
      2012/07/16
  • ・まどろむ夜のUFO
    ・もう一つの扉
    ・ギャングの夜

    最後の考察を読んで、
    角田作品の「アパート文学」「フリーター文学」感が自分の趣向に合ってるんだと思った。
    都市を浮遊する若者たちの日常。本当に斎藤美奈子さんのこの考察がすごくよくわかる。

  • 中篇小説集。
    表題作の
    「まどろむ夜のUFO」
    「もう1つの扉」
    「ギャングの夜」

    3篇ともとても奇妙な話でした。
    奇妙だけど日常とべったり張り付いててなんとも不思議な感じがする。

    「まどろむ夜のUFO」は一人暮らしの主人公のもとに弟がやってきて、奇妙な友人となんだか嘘っぽい彼女の話が出てきて、だけど、その主人公もなんだか変な彼氏みたいな友人みたいなサダカくんとキチキキと会っててっていう、変な話。
    だけどとても面白い。

    あたしはとにかくサダカくんのことがツボにはまってしまって
    もう、おまえこそおかしいやん!って叫びたくなった。
    ねったりとした夏のお話で、暑い夏に桃を食べながら読みたかったな。
    他の話も変なんだけど表題作が一番好き。

    「ギャング…」はちょっと「対岸の彼女」と被るシーンがあった。
    全然違う話だけど。

  • 作者の感性が個性的過ぎるのか、自分の想像力が乏しすぎるのか分からんが、最後まで理解できない作品でした。三つのお話があるけど、全部良く分からん。

    解説には人と人の距離感の保ち方が絶妙だの何だの色々書いてあったけど、やっぱり分からん。

  • 【腹減り度】
    なし
    【食べ物の割合】

    【1番美味しそうだったもの】


    *感想*
    うーん、私の大好きな『レプリカたちの夜』を彷彿とさせるようなさせないような奇妙なお話たち。あそこまで狂気じみてないのが残念。作中にあった「穏やかに狂っている」という表現がぴったりくる。穏やか〜に、狂ってる〜う。ゆるい!

    作中むしろ食べ物は唾棄すべきものの如く不味そうに描かれていてがっかり。デブ死亡ですよ。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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