- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062748155
感想・レビュー・書評
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ー患者本人の中、地域社会、医療者と様々な視点を通して、水俣病を内から外から描く。そのあまりの美しさと悲しさに、圧倒される。
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916-I
文庫 -
2020I030 916/I
配架場所:A4(立志プロジェクト-人間) -
水俣病。不知火海沿岸の貧村に突然あらわれた奇病。ネコが狂い死にひとびとは悲惨な症状に陥る。
奇病にかかった被害者や家族の悲痛な声を言葉にした石牟礼道子さんの記録。巻末の原田正純氏の解説「水俣病の五十年」は企業・国・行政・水俣市民の向き合い方を知る上で必読。本作品は、聞き書きでは無く、作者石牟礼氏が水俣の人々に寄り添い、自由にしゃべれない被害者に成り代わってその声を文学にしたものとのこと。 -
今を生きる我々がすべきは、チッソによる大量殺人と続く不誠実にただ怒ることではなく、ひたすらに患者•患者家族の魂の叫びに耳を傾けることしかない。
それしかできない。
水俣病はまだ終わっていない。
彼らの魂が投げかける問いに、我々は答えを出せているのだろうか -
最初の数ページで濃い内容。図書館で借りたのでこの版ではない。
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熊本県水俣市で起きた史上最悪の公害水俣病。有機水銀によって命を奪われる苦しみと、かつての豊かな海への思いが、漁民たちの語りを通して描かれる。語りは新聞記事や学術論文の抜粋と交錯し、事件の広がりと深さを明らかにしてゆく。創作の舞台裏を明かした元編集者による「解説」も必読。
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文学のあらゆるジャンルを総括してもなお、現代日本屈指の作品である。水俣病に苦しむ人々の姿を描き出したこの作品を、どんなおもいで書き続けたのか、と石牟礼さんに聞いたことがある。詩のつもりで書いたと語ったあと、彼女はこう言った。「闘いのつもり。一人で闘うつもりでした。」人は、独りでも大きな何かを戦い得ることを示した人生の書。
(選定年度:2019~) -
熊本弁に馴染みがあって良かった。人々の語りが染み入ってくる。
巻末の解説も良い。この作品が聞き書きではないことや、患者が語る海の情景が幻想的であること。