20年ほど前に世間を震撼させた北海道警「裏金」疑惑。
当時は仕事と育児に振り回される日々で、結局新聞の見出しくらいでしか知ることができませんでしたが、この本を読んで、今更ながら怒りがこみ上げてきます。
発端は、捜査協力者に支払われる謝礼のはずが、実際には捜査協力などしたこともない一般市民の名前を勝手に使用して書類が作られていたことが問題となったのでした。
実際に存在する人からの名義盗用だけではなく、当時旭川に住んではいなかった人、すでに亡くなっていた人なども謝礼を受け取ったことになっていました。
それらは警察の裏金になった、と言うのです。
ぶっちゃけ、その程度なら、普通にあるだろうなあと思います。
正式な会計手続きを待っていては間に合わない緊急の支出に備えるため、ある程度の現金保持は必要なことがあるからです。
もちろん名義を勝手に使用するのは言語道断ですが。
カラ出張・カラ超勤。
そんな言葉が普通にあるくらいですから、行為も普通にあったのでしょう。
でも許せないのが、それら捜査費を現金化して裏金にして、いざという時の捜査に使うのではなく、所長以下のお偉いさんの懐にそれらが入っていったということ。
管理職になると超勤手当が出ないから…といって、普通に残業している人の手当てをピンハネして私腹を肥やすのです。
残業手当、宿直手当、日額旅費など、実際に勤務した人の手に渡らずにピンハネって、正気ですか?
とくに、「日額旅費」っていうのは、日常的に行くことになっている出先への出張は、普通の旅費より低額で、「これでは出張できん!」当地の職場でも問題になっていたくらいのささやかな金額。
それをピンハネして、着服した署長さんたちは在任中に何百万も私腹を肥やしていたわけです。
えげつないなあ。
で、全国の都道府県警は、警察庁にその一部を上納してるらしいよ。認めてないけど。
こうなると、ヤクザと何が違うの?
内部調査の結果、問題はなかったと言い張る道警幹部。
証拠はないけど、心証は白だ…って、普通の容疑者にも言える?
裁判に持ち込まれ、これ以上長引いても勝ち目のないときは『認諾』して裁判を強制終了させる。
これ、最近も国がやってますね。
自分達に否はないが、これ以上世間を騒がせるわけにはいかないとか何とか、世間のせいにして逃げる。
肝心の部分の文書が、保存期間も待たずに、または保存期間終了と同時に廃棄される。
これから監査が始まるというタイミングでそれって、証拠隠滅と言うのではないの?
闇帳簿のコピーが出てきても、原本のコピーかどうかわからないので、コメントできない。
5年も前のことは、当時のことを知る人も少なく、事実の調査は難しい。
ねえ、そこって警察だよね?
こんなんで事件の捜査できるの?
20年も前の事件について読みながら、今更怒髪天で、スーパーサイヤ人になってしまう。
でも、今はどうなの?って言うと、あからさまに裏金を作ることはもうしていないかもしれないけれど、何度も何度も繰り返される組織的な不正とその隠ぺい。
やっぱり今も、ちゃんと怒らないとだめなんだと思う。
真面目な公務員ばかりがバカを見てる。
そして公文書偽造を強いられたあげくに自殺に追い込まれるんだ、と思った。