分冊文庫版 鉄鼠の檻 4

著者 :
  • 講談社
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感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062752091

作品紹介・あらすじ

あるべきでないものは――矢張りない方がいい……発見なんかされなきゃ良かったんだ

「ああ云う場所はもう――これから先はなくなってしまうのだろうな」。京極堂は最後に独り言(ご)ちた。多くの仏弟子を次々に魔境へと拉(らっ)し去った妄念の寺が紅蓮の炎に包まれたとき、燃え落ちていく憑物の意外な正体が明らかになる。世界ミステリ史上もっとも驚くべき動機と犯人像を呈示した傑作、ここに完結。

感想・レビュー・書評

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  • 解決です!わからないことは考えない!
    関口を見習って笑
    不思議なことはそのままでいい…

    この鉄鼠の檻は再読に次ぐ再読…読むほどに面白くなってくると思う(*_*)
    きっと京極夏彦は噛めば噛むほど…なのではないでしょうか?一読では理解が追いつかない。犯人と事件の流れをつかんだ上での再読…超大作だけど笑
    さらに久遠寺と菅野が出て来るから「姑獲鳥」ももう一度読み直ししたくなる(꒦ິ⌑︎꒦ີ)

    まさに凶器本、レンガ本…スルメ本だな。゚(゚´ω`゚)゚。

    なんだかんだイジメながらも関口を担いで山を降りた榎木津が好き♡

    • おびのりさん
      私も榎木津推し。
      あと、300ページ。
      私も榎木津推し。
      あと、300ページ。
      2023/10/17
    • 土瓶さん
      そんな榎木津推しの女史たちに朗報。
      いや、悲報なのかな?

      最新作の一個前の「邪魅の雫」は、榎木津の見合い話から事件が始まります。
      ...
      そんな榎木津推しの女史たちに朗報。
      いや、悲報なのかな?

      最新作の一個前の「邪魅の雫」は、榎木津の見合い話から事件が始まります。

      ぜひ、そこまで頑張ってください^^
      2023/10/17
    • みんみんさん
      絡新婦が手に入らない。゚(゚´ω`゚)゚。
      絡新婦が手に入らない。゚(゚´ω`゚)゚。
      2023/10/18
  • 鵼の碑刊行記念に再読。
    個人的に、鉄鼠が1番難しい。禅の歴史を多少なりとも頭に入れておかないと、事件そのものが理解できない。
    「見事。見事な諒解である!」以降はそれまでの人物像から想像できない堂々とした犯人っぷり。かっこよくさえ見える。
    絶対に推理できない動機の本として有名だけど、それこそ京極堂の言った「解る動機だけを許容して、解らない動機は拒絶する」態度でしかない。そうやって自分から切り離し、穢れとして祓おうとするような真似はやめろと言う。京極堂は読者にも厳しい。

  • 一気に読める幸せ。このお盆休みに読めて良かったです。
    しかし、3巻と4巻は分ける必要があったのでしょうか。
    併せても1巻や2巻の厚さと変わらない気がするのですが(笑)。

    さて、犯人と動機ですが、犯人については意外性はなかったですが、動機については予想外でした。でも最初にヒントは出ていたのかもしれません。

    《成長しない迷子》は、辻褄の合わないこともありますが、まぁそういう不思議なこともあるということで納得しました。

    榎木津は天才ですね。彼には見えるのでしょう。
    彼が登場すると場が明るくなって救われるような気がします。
    読んでいて楽しいですし。

    そして山下警部補にとっても人生観が変わるほどの事件になりました。彼が今後登場するのかどうか分かりませんが変わることが出来るって素晴らしいです。
    一方、山下警部補を一括した貫主といえば ——。


    どっぷりと雪の明慧寺の世界につかることが出来ました。
    面白かったです。

  • 頻繁にミステリ読んでる割にまだ驚かされることがあるなんて、という最終巻。
    面白すぎて寝不足になりそうなので寝ます。
    知識のある人なら一巻で犯人を特定できそう。いや、無理かな?全部矛盾してないし、不思議なんてひとつもなかった。
    でも慈行さんの話わからなかったのでわかる人教えてください。実は盲目であり声で判断してた、とか?あと、袈裟を渡すのが間違いなら何が正解?
    当たり前ですがお坊さんでとても勉強していらっしゃるのですね、と思いました。

  • 1巻から4巻まで読了して。
    以前途中で挫折して積読になっていた本。
    最後まで読み切ったが、こんなおもしろい本をなんでもっと早く読まなかったのかと後悔した。

    物語は人に知られていない山奥の寺が舞台だけに、登場人物は坊さんばかり。そこにいつもの京極堂シリーズの皆様が巻き込まれる。
    座禅を組んだ坊さんの死体が突然雪の上現れるというインパクトのある第一の殺人。その後もトイレに突き立てられた坊さん等次々と坊さんが殺されていく。そこに謎に埋もれた本の詰まった蔵、歳を取らない振袖の少女、関係のないような過去の出来事も全て繋がっていく過程は流石だと思う。

    登場人物も次から次に出てくるし、小難しい禅の話しも盛りだくさんで途中で頭がパンクしそうだった。禅については理解できた気はしないが、少しわかった気がする(笑)
    クライマックスは水墨画のようなモノクロの異界の結界が破れて、一気に極彩色の俗世界に戻るようで圧巻だった。映画にしてもいいような収まりの良さだが、京極先生の本は映画では収まらないだろう。

  • 再読。
    十数年前に読んだ時は、何だか小難しくってシリーズの中でも余り面白みを感じていなかったと記憶している。

    私の理解力が上がったからなのか、再読してみた結果めちゃくちゃ楽しめた。

    ボーイズラブならぬボーズラブには衝撃を受けたけれど。

    初めからそちらの目線で読んでいけば、また違った楽しみ方が出来るかも。
    (私自身は余り興味はないが)

  • 再読。昔読んだ時は当時の自分では難しいと感じる話ばかりでそこらへんは殆どスルーして起こった事柄だけを捉えていたように思う。今読んでも難しい箇所のすべてが分かったわけではないのだろうが、それでも昔読んだ時より登場人物たちへの理解は深まったような気がする。起こった事は単純なのにここまで事件が複雑化したのはやはりあそこは異界だったんだろう。

  • 箱根山連続僧侶殺人事件シリーズの最終巻。

    幼女性愛趣味、男色趣味、そして近親相姦と、バリエーション豊かすぎる人物たちが登場し、それぞれ己が「アブノーマル」であると苦悩したあげく、悲劇が起こるお話でした。

    何がノーマルで何がアブノーマルかは、自分の頭でこれが正しいという基準・枠を決めてしまって、その「檻」のなかに己を置こうとするから人はあがくことになるんだろうけれど、まぁ確かにこれは仕方のないことだよね。

    人や知的な思考を持てる動物は皆、自分で自分を目に見えない檻に入れてしまっているんだろうな。
    逆に檻に入っていることで楽になることもあるんだと思いました。
    規律があったほうが、決断すべき選択肢は狭まるからね。
    それは思考の範囲に枠をはめることになるし、案外それによって楽になることもある…と。

    まぁ、ある意味狭い檻(お寺)のなかでの鬱屈した人間関係と近親相姦のなれのはてが、今回の事件の核だったみたいです。

    長いわりには、内容はそれほどでもない。
    京極さんが禅宗についての自分の研究を小説という形でまとめておきたかったのかな?
    ……なんて感想は厳しいでしょうか?(笑)

    でも、禅の歴史については詳しくなれたよ。
    日本に存在する禅はすべて南宗禅の流れで、北宗禅は早くに断絶して日本には入って来ていないとするのが通説だとか。

    道教色の強い南宗禅は「頓悟禅(とんごぜん)」と呼ばれ、人は本来鏡のような心を持っていて、それが何かをきっかけに表に出てくるのを悟りとする。

    それに対して儒教色が強い北宗禅は「漸悟禅(ぜんごぜん)」と呼ばれ、一生かけて少しずつ原石を磨くように悟りに近づいていこうとするもの。

    奥が深いねぇ!

  • 不立文字の4文字で言葉を撥ねる禅。
    闘わずにして敗北している京極堂。
    空と海の間に存在する朱雀以外の神獣の意味―

    面白い。
    面白いけど難しい。
    禅と憑物とそれに纏わる過去が錯綜する様はもう一度読まないと理解できない。

    「拙僧が殺めたのだ」
    この言葉から始まり、この言葉で終わる不思議な話だった。

  • 色彩感がない世界の中での物語で最後のインパクトは大きい。京極堂シリーズの中で一番好き。

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著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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