- Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062754149
作品紹介・あらすじ
つまった感動大作 the 1963
母から娘へ 絶望から希望へ
覚醒する自我 恐怖と勇気 追憶の謎
呪われたトラックBT21号の運転手4人が次々と殺され、史郎が精魂を注いだ新事業も立ち行かない。すべては闇の住人、成沢が仕掛けたことだった。愛する鏡子まで成沢の罠に陥り、史郎は苦悩の選択をする――。一方の琢磨は、現代に残っていたBT21号を手に入れる。「物語」のすべてがつまった圧倒的大作。
感想・レビュー・書評
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ヤバい一冊。
上巻からさらにドキドキ、ヤバいが止まらない。
このBT21は何故琢磨を呼ぶのか…過去に触れることで父の心の奥に触れていくような時間。
想像以上の苦しさと過酷さが増す。
とにかく闇の世界、これがヤバ過ぎる。
ただ普通に愛する人と人生を歩みたいだけなのにこんなにも苦しんで歩むのが人生なのか…父の心を思えば思うほど苦しい。
他人に邪魔される理不尽さが悔しい。
そして終盤は緊迫感と涙が止まらない。
言葉にならない尊敬の念が溢れた。
過去の弔いのような時間旅行。ドキドキの面白さとヤバさと涙で堪能した。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
面白かった
ファンタジックなタイムトラベルもの
池井戸さんのビジネスミステリーとは一線を画す物語
そして、下巻です。
BT21の運転手4人は次々に闇の住人によって殺されてしまいます。
さらに、史郎の立ち上げた新規事業も行き詰まり、鏡子も闇の住人たちから追い詰められることに
鏡子を救うために下した史郎の決断
結果、史郎も追い詰めらることに
一方、琢磨は廃車されたと思われていたBT21を探し当て、手に入れます。さらに、当時の人物たちを訪ねます。
そして、明らかになるすべての真相
という展開
下巻の、さらに後半はぐっとくるシーンの連続!
父親の生き様を通して琢磨が再生されるのを感じます。
そのためのBT21号だったのだと思います。
お勧めです。 -
池井戸 潤さんの作品、いよいよ下巻です。
悪意の渦巻く相馬運送。
果たして、亡き父・大間木 史郎は、如何にそれらに立ち向かうのか?
そして、最愛の鏡子との関係は?一人娘の可奈子はどうなるのか?
それにしても、成沢や猫寅は不気味ですね。闇そのものといった感じです。
ややグロテスクなシーンもありますが、そこもかつての昭和の闇なのでしょうか?
後半、場面が急展開しますが、鏡子さんの最後にウルウルします。
それにしても、二つの時代を生き抜いたBT21は、何を思っているのか、感慨深いものがあります。
【追記】
表題のBTとは、ボンネットトラックではなく、バックトウ1963なんですね。
BTと63の間のカンマが重要とか、ずっと不思議でした(笑)
ダブルミーニングですね。 -
Audible読了
1963年、時代はまだ宅配便黎明期─
の話が完結に向かうのかと思いきや、ビジネス要素は10時のおやつ位にトーンダウン。なんならメインディッシュのどんでん返しすらない。これは人情ドラマだったのだ。『ハヤブサ消防団』で感じた作風転換を予兆させるような、父子の心温まるストーリーだった。
そう、父と子。いや母も入れて親子の感動話。上巻にて大涙する準備をしたものだが、案の定、しっかりハンカチをびしょびしょにした。
この手の話に、いつも思ってしまうことがある。ドラマや映画ではさも当たり前のように描かれる、死に際に人が残す言葉。そんなものに出くわす人間は、一体この世に何人いるだろうか。
私は父も母も、今際の際に立ち会えなかった。唯一、父の兄にあたる叔父の最期に、私と私の弟の手を握らせて「分かり合えよ」と目で伝えられたことがある。その後、弟となんとかやっていけている私はとてつもなくラッキーだ。きっと。
こうして先人が残してゆく思い。家族だけでなく、シャチョウでもパイセンでも、町内会長でもセンセイでもいい。死人のメッセージを背負って生きることの、なんとか細いことか。自分ならどうするだろう。やはり日記を書きためておくべきか。これだけIT機器に囲まれた生活を送っていても、本当に伝えたいことは何なのか迷っている。
うん、やはり本作のように亡霊になるしかない。
まあ、そもそも伝えるべきことがあるのかは別問題。
おこがましい考えを一瞬でも思い浮かべた自分に、思わず赤面。
さ、明日もぼちぼち目線でがんばるぞい。 -
後編を一気に読み終えました。 結末としては良かったのですが、やはり全てがつながり過ぎているのはいささか無理があるのかなと。 ただ、女性が立場が悪くなる環境って今も昔も変わらないかなと。。新聞でよく聞く問題なんかも実はこういった絡みがあるのかなとも思えてしまう。
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下巻最初のうちは我慢しながら呼んでいたが、途中から一気に読み終えていた。上巻より下巻のほうがおもしろかった
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下巻は一気読みに近かった。
昭和戦後の描写、自分が生きた時代じゃないんだけど、想像できる時代。物語にひきこまれた。
最後母親の懐の深さにじんときた。 -
全ての謎が解き明かされた後に残ったのは、希望、勇気、愛。読み終えて、ほっこりした気持ちになれた。
殺人、倒産、事故、病気、・・・疫病神のようなBT21。暗闇に向かって転がり落ちていく中で、振り絞った勇気や、守り抜いた愛を、支えてくれたのは意外にも。 -
Amazonオーディブルで聴いた。
モラハラDVヒモ夫が胸糞悪かった。
主人公父はなんにも悪くないのに、周りの人のせいで窮地に追い込まれて気の毒すぎた。 -
上下巻読み終えてのレビューです。
現代2000年時に1966年生まれの大間木琢磨34歳と1963年時琢磨が生まれる前の父親大間木史郎の二人が主人公。史郎は5年前1995年に亡くなっているのだが、現代の琢磨が1963年の史郎の目を通してタイムスリップして、昔の史郎の関わった事件を知る。現代と1963年が並行して描かれていく。同時に1963年に史郎が関わって人物の現代を琢磨が追い求め、真実を探し続ける。池井戸潤の小説は5作目だが、今までの企業の不正と闘う話や銀行の内実の話と違って、この小説は社会の闇の世界が暴かれていく様を人の運命と共に描かれた物語である。自分が生まれる前の父親の姿、生き様を見るという設定に新鮮さを感じ高揚した。過去の父親の足跡を現代に探していき、その過程と結果に感動した。