不祥事 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062758031

感想・レビュー・書評

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  • 今度ドラマ化されるようですが、非常に面白い銀行小説です!女版半沢直樹のようなスーパー事務員の花咲舞が社内人事優先の銀行内部悪しき体質に風穴をあけていく爽快ストーリーです。どの短編も実際にありえそうな話だけに話に引きこまれます。
    さすがに池井戸潤の銀行絡みの小説は面白いですね!
    ドラマのほうも楽しみです!

  • 銀行を舞台に美人のヒロインが上司や役員にも怯まずに物言いを付けて、様々な問題や事件を解決していくエンターテイメント作品。ただ、エンターテイメント重視の単なるヒロイン活劇に留まらず、物語の背景には銀行内に於ける派閥間紛争や出世競争、そして顧客や取引先との人間模様がしっかりと描かれていて、銀行の内部事情と共に説得力のある内容となっている。

    自分とは縁遠い銀行内のバックステージが題材となっていたが、小難しい金融用語等の煩わしさもなく、しかしながら組織内に蔓延する古くからの銀行体質などが分かりやすく描写されていて興味深く読み進められた。ま、あくまでエンターテイメント小説なのだから事件や悪役側には誇張表現が多大に含まれているだろうが、銀行内の人間関係を垣間見れた気がする。。。
    元行員の著者だからこその作品でもあるだろうが、銀行というリアルな世界で発生する日々の問題を花咲舞というキャラクターを用いてテンポの良いストーリーに仕上げ、最後には爽快さすら感じさせながらリアリティを損なわないバランスは秀逸!
    …ある意味、時代劇に於ける悪人退治のフォーマット的な構成と企業小説とが見事に融合した作品かと。

    とまぁ、一介のビジネスマンにとってはスカッとするストーリーなのに文庫本の表紙は何故こんなにダークなイメージなんだろ。。。
    タイトルは『不祥事』のままでいいと思うのだが、このタイトルにしてこの表紙じゃ本作の正しいイメージを伝えきってない気がする…

  • 花咲舞が黙ってない!でした。
    銀行の内情を知り尽くす池井戸さんの痛快な小説。。一気読み、とてもスッキリした。

  • この人が書いた本を読むと、組織っていくつものこういう裏事情があるんだと知って、少し恐ろしくなる。本の中の話とは思いつつもその事情が説明されるところにはとてもリアルで納得できる理由が添えられていたりする。ただし、理不尽な。

    短編がいくつも合わさっている。一貫した共通の主人公は花崎と相馬。

    激戦区と、彼岸花という話が個人的に印象に残っている。

    女子行員はコストだという支店長。読み進める中で花崎は「いじめの目的が彼女たちを辞めさせることだったとしたら、やり方が汚すぎます。五年以上も勤続した女子行員にとって、こんな形で銀行を去らなきゃならないなんて、どれだけ悲しいことだったかわかります?」相馬にそう言う。

    銀行でなくとも、この言葉をしかるべき場所や人に言ってもらえるだけで、恨みの苦しみをほんの少しだけ軽くできる人がきっと何人も何人も世の中には居るように思えてならない。

    彼岸花。これもある意味、恨みと悲しみの感情が感じられる話。夫を狂わせた銀行が憎い。けれども生きていかなければいけないという現実がある。その憎悪と現実とのせめぎあいの中で銀行で働く女性の。

    人を狂わせていくものは環境と人なのだと。潰れていった人ばかりが悪く言われてしまうのは何か違うと。ふたを開けてみれば、様々に絡み合った事情というものがその中に存在しているものですね。

    彼岸花の季節である。

  • 読売新聞連載の「花咲舞が黙ってない」が面白く、シリーズ第1巻となる本書購入。池井戸潤はデビュー作から「シャイロックの子供たち」あたりまでは読んだけど、直木賞受賞し著作が立て続けにドラマ化した頃には離れていたため読むのは久しぶり。

    花咲舞というヒロインを中心にテンポよく読みやすい勧善懲悪ものに仕立て上げられている。デビュー作からしばらくはハードボイルドな銀行ミステリが多かったが、大分エンターテイメント寄りになっていて読みやすい。出世に目をぎらぎらさせ、そのためには部下に責任を押し付けいじめライバルを蹴落とし病んで辞めさせるまで……とものすごい弱肉強食の世界。生き馬の目を抜く世界でまっとうな意志を貫こうとする花咲舞が気持ちいい。短編集で読みやすかった。

  • ドラマ「花咲舞が黙ってない」の原作かな。ドラマは全く見ていなかったんですが、杏ちゃんを想像しながら読みました。一話完結型で、すらすら読めてなおかつ痛快で面白かったです。しかし、池井戸さんの作品を読むと、銀行って恐ろしいところだなって思います(毎回)金と人間の欲望が蠢いている場所なんだなと。パートでも働くの大変そう…。

  • 連作短編集。ドラマの杏ちゃんや上川さんのイメージが離れなくて困った(苦笑)。
     池井戸さんの痛快な“正義は勝つ”という展開に慣れてきているので、少し物足りない結末の話もありました。

  • 2015/10/10【古】200円

  • プッツリ終わってしまう感じはするが、さっぱりしていて面白かった。

  • トラブルを抱える支店を指導する部署に異動になった花咲舞。
    支店で起こる問題を次々に解決していく。
    その裏にある銀行の闇、派閥、出世争い等々…上司にも構わず立ち向かう姿には、何かすっきりさせられる。
    銀行に限らず、企業内に渦巻く負の部分を重ね、それらに切りつけていく花咲舞に頼もしさを感じたのかも。

    2012.5.10

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著者プロフィール

1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒。98年『果つる底なき』で第44回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。2010年『鉄の骨』で第31回吉川英治文学新人賞を、11年『下町ロケット』で第145回直木賞を、’20年に第2回野間出版文化賞を受賞。主な作品に、「半沢直樹」シリーズ(『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』『アルルカンと道化師』)、「下町ロケット」シリーズ(『下町ロケット』『ガウディ計画』『ゴースト』『ヤタガラス』)、『空飛ぶタイヤ』『七つの会議』『陸王』『アキラとあきら』『民王』『民王 シベリアの陰謀』『不祥事』『花咲舞が黙ってない』『ルーズヴェルト・ゲーム』『シャイロックの子供たち』『ノーサイド・ゲーム』『ハヤブサ消防団』などがある。

「2023年 『新装版 BT’63(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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