冷たい校舎の時は止まる(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • / ISBN・EAN: 9784062758239

感想・レビュー・書評

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  • 青春 ファンタジー すこしホラー
    このすこしホラーが思いの外ゾワっとし、夜、電気をつけるはめに。笑
    ファンタジーなのですが、登場人物たちの思春期の心理描写は重くリアル。菅原エピソード、充エピソード、景子エピソードが特に好きでした。
    ラスト、自殺したのは誰?のみに思考を使っていたので、唐突のもう一つの仕掛けには驚きでした。デビュー作、練りに練られたのだなー。はやく全ての作品を読みたい作家さんです★

    • マメムさん
      初コメです。
      私のお気に入りは菅原エピソードです♪
      初コメです。
      私のお気に入りは菅原エピソードです♪
      2023/08/22
  • 涙腺崩壊(༎ຶ⌑༎ຶ)

    だけどタダじゃあ終わらない華麗なるミステリ。

    これがデビュー作だなんて…レベル高すぎる…!



    私は『泣く話』が嫌いだ。
    小説も映画も、とにかく避けます!(-∀-`; )

    理由は単純。
    泣きたくないから笑

    泣きそうな小説を選ばなくても、意図せず泣いてしまう事も多々あるのだが、それは仕方ない。

    私を泣かすのは簡単で、歳取ってさらに涙腺が弱いのだ。

    なので避けに避けて来たのだが…笑

    辻村作品は私の中で最も警戒すべき作品が多い。

    『かがみの孤城』は、2018年本屋大賞で当時本屋に沢山並んで面白そうだったし、ミステリだから犯人当てるぞ〜と意気込んで読んで顔がぐちゃぐちゃになる程泣いた作品…( ̄▽ ̄;)やられた…

    特に人間の肚の内をずぶずぶと抉り出すのがうまい。
    それに加えて綾辻行人の第ファンだと言う辻村作品の手法は、Anotherのようなホラー感があり、ぞくっとさせる描写も完璧。
    しかもミステリ要素はかかせない。
    伏線回収は当たり前。

    非の打ちどころのない文句なしの傑作。

    ずるいよ〜。
    それはあかん。
    素晴らしすぎる。


    もうね、余韻がすごくて…。
    読了直後に感想書いているのですが、お手本のような作品で褒めたい所しか見つからない…。

    泣くの嫌いなのには(泣くほど)感動したから…
    と言う評価が好きじゃないのもある。

    泣いた=良い作品だった

    と言う事にしたくないからだ。

    なので、泣いたけど(その事が)良い作品だと思った理由じゃないという事を理解していただきたい。

    (え、なんか長くなったらごめん(^▽^;))


    まず素晴らしいのは、時が止まった校舎の中に、生徒会のメンバーが「閉じ込められる」という設定。

    これは言う事なく特殊設定であり、ミステリには欠かせない要素である。

    そこを踏まえて肉付けされていく8人の生徒達の過去。

    ここに閉じ込めた原因である自殺者は一体誰なのか。
    下巻には「挑戦状」とも取れる、自殺者の名前と、その理由を明記する「用紙」が用意されています。

    しばらく本を伏せ、考えました。
    …10分くらいかな。
    そして、頭の中で「この人!」と決め、続きを読みました。

    結果は、はずれ〜( ̄▽ ̄;)

    辻村深月は期待を裏切りませんでした。
    嬉しい♡

    とにかく手法の上手いこと!!!
    回想シーンでの物語のなかでも、2、3つ積み重ねられ層になった伏線が一段ずつ回収されていくのです。層になってるんです。ひとつの意味じゃないんです。
    ここが1番驚いた所で、うわ、辻村深月天才!って思いました。
    (上手く言えないけど、伝わってくれたら嬉しい。)
    他にも数えきれないくらい散りばめられた言葉のトリックがすっきりひとつに纏まっていきます。

    辻村作品の最大の痛い所(褒めてる)である涙を誘う描写も、苦手ながら感動しました。
    ミステリに直結するその内容は、否定したくてもできません…。
    むしろ、ムダなシーンなんてひとつもありませんでした(༎ຶ⌑༎ຶ)
    人の肚の内なんて、他者からの想像以上に酷くて、それを知りたくない!って否定してしまうのが心理でしょう。
    そこをえぐるんです!
    辻村深月は!!
    容赦ないです。
    ツライ…
    つらすぎる…!

    主人公の辻村深月ちゃん、大好きです。
    今思い出しただけで涙が出ます。

    人間とは、弱い生き物であり、逃げたくなる時も沢山あります。

    この作品は、できれば中高生に沢山読んでほしいと思いました。

    想像力を膨らませ、相手の気持ちを考えよう。
    怖いだけじゃなく、希望もあるって伝えたい。


    素晴らしい作品でした。

    おすすめします!

    皆さん、読みましょう(≧∀≦)笑!!




    • bmakiさん
      素晴らしい感想ですね。
      この感想を読んでしまったら、もうこの本を読まないなんてことはあり得ない!!と思ってしまいました。

      めちゃくちゃ読ん...
      素晴らしい感想ですね。
      この感想を読んでしまったら、もうこの本を読まないなんてことはあり得ない!!と思ってしまいました。

      めちゃくちゃ読んでみたくなりました(^^)

      私も映画で泣くのは苦手なのですが、本は家の中なので号泣しちゃいます(笑)

      歳と共に涙腺がゆるくなり(笑)
      先日も、「汝、星のごとく」で大号泣したところです(笑)
      2023/03/21
    • bmakiさん
      Amazonで上下巻ポチりました(^_^)
      届くのが楽しみです!
      Amazonで上下巻ポチりました(^_^)
      届くのが楽しみです!
      2023/03/21
    • Kaniさん
      bmakiさん、コメントありがとうございます❀.(*´▽`*)❀.

      素晴らしい感想…わぁ!ありがとうございます!
      めちゃくちゃ嬉しい‎߹ㅁ...
      bmakiさん、コメントありがとうございます❀.(*´▽`*)❀.

      素晴らしい感想…わぁ!ありがとうございます!
      めちゃくちゃ嬉しい‎߹ㅁ‎߹)♡

      しかも読んでみたいと思ってくださるなんて、感無量。(∩ᵒ̴̶̷͈᷄ωᵒ̴̶̷͈᷄∩ )ᰔᩚ

      いやぁ、泣きますよ〜
      例えば泣ける部分を全て排除したとしても、ミステリとしても傑作だと思います!

      「汝、星の如く」…
      未読ですが、タイトルから涙腺崩壊危険信号を発してますね(^▽^;)

      Amazon届くのが楽しみですね!
      楽しんでくださいヽ(´▽`)ノ
      2023/03/21
  • 冷たい校舎の中で、彼らと一緒に過ごしたことを、最後のページをめくったその後も、辻村深月さんの名前を見る度に思い出すだろうな、そんな風に強く感じたとても印象深い作品でした。

    降りやむことのない雪に包まれた無機質な学校に閉じ込められた8名。そして時が止まる瞬間が繰り返し訪れ、時間が経てばたつほどに不気味さが増してゆく校舎の中。下巻になっても上巻の世界感は変わらず凍え切った物語は続きます。上巻で繰り返し繰り返し語られる出来事について、下巻では、それぞれの人物にスポットライトが当てられていきました。彼らへの理解がどんどん深まっていきます。そんな中で一人のストーリーにだけ沸き起こる違和感。どう考えても全体のストーリーから浮いた世界感。一つの世界感を別にもったストーリーが展開されてしまう異物感。せっかくのこの凍え切った一種夢のような世界が、違う世界感に書き換えられてしまうんじゃないか。読んでいてとてもストレスを感じたその一人に関わるストーリー。まさか、それが終局を切り開く段への布石だったとは思いもよりませんでした。複層の異なる世界感が一つに繋がれる瞬間。読後に全てがわかった上で、それらを思い出すとそこには全く違うものが見えてくる気がしました。

    肌で感じる季節感、耳で感じる音の世界、そして目で見える光の明暗、そういったものを上手く対比させて現実世界と時が止まった世界を感覚的に理解できたのもこの物語の世界に心地よく浸っていける土台となっていたように思います。

    上下巻含めて1200ページの作品。時間をかけても読んでよかった、もっと浸っていたかった。そう感じさせてくれた作品でした。

  • 登場人物それぞれのエピソードをふんだんに盛り込んで、盛り込みすぎだな、ちょっとおなかいっぱいだなと思っていたけど、ラストにやっぱりやられたーってなった笑

  • 下巻からは、読むことを中断できず、おかげで睡眠不足になった。
    辻村さんの作品読むと、やっかいなことになる。ふだん接する人に、この人は実は何らかの背景があって、、と考えてしまうようになってしまった。

  • やあっと読み終えました。
    いやぁ、つくづく、これがデビュー作とは物凄い。

    去年かな、読もうとして挫折したのは登場人物が序盤から多すぎて理解しきれなかったからだったと途中で気づき、人物をメモに書き出しながら読み進めていったよ。
    こんなの白夜行ぶりだ。

    充のシーンとか鬼気迫っていてめちゃくちゃ恐ろしくて、ぞわぞわしながらも読む手が止まらず結局三晩ほどで読んでしまったのだろうか。

    名前探しの放課後とも似てるなって少し思ってしまったが、
    かがみの孤城もオーダーメイドも、
    中高生の友達との悩みというか
    いじめとか生きることへの悩みとか
    こういうのを描くのがすごく上手いし、
    やっぱりこの思春期っていうのは
    ものすごくあれこれ考えて辛い時期だよなあって
    改めて思った。

    女の子だと特に共感するかと思うけど、
    男の子だとどうなんだろう、と
    我が息子が中高生になった時を想像して
    辻村さんを勧めても読んでくれるかどうか
    なんてことを思ったりする。

    本作を読んでから、
    ロードムービー と 光待つ場所へ も
    読み返した。
    やっと話が繋がって、
    さすが辻村さんだと思った。
    エピローグ、そしてプロローグ、とかね。
    田辺と鷹野とかね。

  • 終わり方に脳汁が溢れ出てしまうほど面白さを感じた。

    まさかの展開に途中から時間を忘れて一気に読み進めてしまった。
    それぞれの経験、想いが錯綜した中に生まれてしまった悲劇。辛い時に相手に思いを馳せることは至難の業である。そんな状況が頻発する学校内の教室。学校に行きたくなくなるのも分かるし、そこでしか得られないものもある。そんな自分を探す物語だった。


  • 『かがみの孤城』などで知られる辻村深月のデビュー作!
    長編小説だけど面白すぎて文句なしの☆5!
    これがデビュー作はすごい。

    雪が降る朝いつも通り登校した8人は、自分たち以外誰も登校してこないことに気づく。
    玄関の扉はびくともせず、閉じ込められた8人は2ヶ月前に屋上から飛び降りた同級生のことを思い出すが、誰も顔と名前がわからなかった。
    そして物語は、8人の過去と冷たい校舎での奇怪を中心に衝撃の結末を迎える。

    予想しながら読んでるはずなのに、色々な伏線に気付けなかったのが悔しい!
    読了後は、再度上巻を読み直して2度美味しく読みました。

    • うたえながさん
      デビュー作でこのクオリティーはすごいですよね!!私も初めて読んだときはびびりました!
      デビュー作でこのクオリティーはすごいですよね!!私も初めて読んだときはびびりました!
      2024/04/16
  • 超長編、新コロナ自粛を利用して上巻途中から一気に読了しました。足掛け2年。辻村深月は『凍りのくじら』に続き2作品目の出会いとなりました。大好きな作家に確定です。 ジグゾーパズルの最後のピースがピタッとハマる音がします。余るピースも足りないピースもありません。最後の裏切りも気持ちよく、よく騙してくださいました! これがデビュー作とは脱帽です。

  • 上下合わせて1000ページ越えの超長編ミステリー。
    各キャラの掘り下げが長い長い。そこが魅力の作品なんだろうけど長すぎてマイナスになってしまった。

    女性陣は個性が差異化できていたけど男性陣は正直みんな同じに見えて、丁寧に描写してるのにわかりづらかった。

    作中に飛び込んで空気感をみんなと共有できる臨場感溢れる作品だった。

    ☆3.4

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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