上陸 (講談社文庫)

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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062760331

感想・レビュー・書評

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  • 五條作品にしてはライトで読みやすかった。
    密入国、外国人労働者など今読んでも新しく感じる話題。
    お金のない訳ありの3人が喧嘩もしながら互いを重んじて共同生活をしているわけだけど、物語を読み進めるうちに終わりを感じてしまって切なくなってきた。
    最後の書き下ろし掌編のアキムの言葉に救われた。

  • 密入国者などいつもの『らしい』感じだけど、こういう作品にありがちな説教臭さが五條さんは元々少なく、この作品においては更に薄くなっている。
    書き下ろしがついて青春小説?の様な爽やかな読後感。
    内容が薄いといったら嘘になるが、別作品の様に胸に残ったり考えさせられるテイストではないけれど、気軽に何度も読み返したくなる小説だった。

  • 長いこと積ん読だったけど読み出すとすぐでした。
    もとは連載だったのかな?連作短編みたいな感じ。
    底辺で生きている男たちのお話。三兄弟のラストが、悲劇的な終わり方でなくて後味も良し。
    日本人の知らないところで、どんどん変わっていく東京という街ーというのは、革命シリーズにも通じるところがありますね。
    もっとこういうことも意識したいものだと思いました。

  • 書き下ろしにすべてをもっていかれてしまった。なんだかんだあろうといわせようと、あの書き下ろしに著者の情というか、良い意味での甘さがにじんでいたような気がする。
    そう情感たっぷりに語られるわけでもないのに妙に切なさが伴っていて苦しくなった。きっと彼らの行く先を何度も暗示されて、物悲しい気分を抱かずにいられなかったからだとおもう。けれども先に書いたように、書き下ろされた物語で今と地続きであろう未来を想像することができて救われた。彼らにとってもそう悪くないいま、そして未来であればいいな。

  • 面白かったです。
    蝶狩りで痛い目にあったので、また短編かーと思ったんですが、いい意味で裏切られた感じ。
    でも、五條さんはやっぱり短編はあまり向いていないような気が。
    テーマがテーマだけに色々似てきちゃうし。長編でどかんと楽しませてくれた方が読者としてはいいです。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    頭を使えば欲しいものが手に入る。次々押し寄せる外国人労働者にとって、日本は依然黄金の国だ。勤め人をやめた金満、若い前科者の安二、本国にせっせと送金する不法滞在者アキム。働いてもさっぱり金がない三人組は、同じ部屋で肩寄せ合って暮らす。密入国の手引きをやってのけた大きな秘密を抱えながら。

    (借)

  • リストラが発端で勤め人をやめた金満、若いのに前科持ちで借金持ちの安二、一族の為に母国への送金に励む不法滞在者アキム。
    お互いの生活利益のため、チームを組んで建設現場で働く3人は秘密を抱えていた―過去に3人で密入国の手引きをしたのだ。
    しかし時効も間近になったとき、その時の密入国者のひとりに事件が…
    国籍と金に翻弄される者たちと関わる3人にも転機の時が訪れようとしていた―

    ある日突然、一家揃って姿を消した安二の同級生
    その太陽と喩えられる微笑みで金満をも騙した青年
    日本によって変わってしまった同郷の者たち
    珍しく“裏で画策してるヤツ、それに使われる人、それに敵対する者”でなく、ちょっと離れたトコロにいて、よろしくない影響をうけてる所謂弱者の話でした。
    この方の作品にしては緊迫感はなかったかも。
    さくさく読めましたが!
    ユリカは本当に…近頃のガソリン狂騒やら年金問題でも感じるケド…日本の政治って★
    アキムのその後が知れて、その内容に
    好意が地球規模で巡っているのが嬉しいと思ったョ♪
    ほぼ偶然、成り行きで一緒にいた3人の、いつの間にか強く結ばれていた絆に

    20080501

  • 大変おもしろく読みました。
    好きな作家の一人です。

    ただ…。

    どなたか、表題作の中の、密入国のカラクリを私に解説してくださいませんか?

    2000年問題、というのも今となってはよくわからないんだけど、ツアーガイドだけが日本人(という風に読んだ)というあのツアーが、すんなり入管を通れたのはなぜなんでしょう?
    日本人があのツアーを企画した意味というか…。

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著者プロフィール

大学時代は安全保障問題を専攻。大学卒業後、防衛庁に就職し、調査専門職として勤務。退職後、フリーライターを経て1999年に北朝鮮問題を題材とした『プラチナ・ビーズ』で作家デビュー。2001年『スリー・アゲーツ』で第3回大藪春彦賞を受賞。

「2018年 『焦土の鷲 イエロー・イーグル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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