白洲次郎 占領を背負った男(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
4.03
  • (92)
  • (113)
  • (71)
  • (6)
  • (0)
本棚登録 : 922
感想 : 90
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062762601

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 下巻は日本経済の復興と日本の独立国家、サンフランシスコ講和条約までの道のり、その後のカントリージェントルマンとしての
    白洲次郎の素顔の3部で成り立っている

    相変わらずGHQ民政局との熾烈な争いは続き占領下の内閣などもろく、GHQだけでなくGHQにおもねり、すりよる日本人政治家との争いも加わりながら、第1次、第2次吉田内閣は誕生する

    日本の奇跡の復興の謎を各国が解こうとすると必ずいきあたる
    省がある
    それは通商産業省だ
    通商産業省は国内の食料事情を鑑み、前身の商工省をすべて官僚の意識から壊し
    改革し白洲が創設した省だ
    白洲は創設し仕事が成就すると権勢を振るう事なくさっと身を引き
    後進に道を譲っている

    日本に供給電力をと電力会社を9分割し、東京電力から超法規的措置で只見川の水利権を取得し、ダムをつくり仕事が終わり電力が無事供給されたあとは会長職を辞している
    ここに白洲次郎の哲学がある

    そして下巻のクライマックスはサンフランシスコ講和条約だ
    白洲次郎は大臣でもなく役人でもなく吉田全権大使として供に
    渡米している
    アメリカ側の国務省の高官は日本の外相ではなく白洲と何度も会談しており、奄美、小笠原、沖縄返還については一切の妥協をしなかった
    ここでアメリカ側から唯一従順ならざらぬ日本人がいるといわしめる
    外務省が作った、GHQの気に障ったらいけないという英語の原稿を
    植民地根性が抜けないのかこれからは対等だと一喝し
    和紙を取り寄せ、毛筆で10メートルにもおよぶ書き直し
    領土返還についても言及している
    吉田のサンフランシスコ講和条約での20分に渡る演説
    世に言う吉田のトイレットペーパーだ
    講和条約は長い道のりをへて締結された

    占領は終わりGHQ本部に星条旗のかわりに日章旗があがるまで7年の
    年月がたった

    白洲の孤独は再び独立国家に復帰した意義を日本国民はもっと
    認識すべきだそれを国力につなげるとういう思いを吉田とも
    共有できなかったことだ

    その後も密使として海外に派遣されるも、しがらみのある
    会長職のほかはすべて辞している

    現在は政争政治にあけくれ、他国におもねる様に嫌というほど
    付き合い国民との間には奇妙な溝がある
    米中が接近していく中アジアの勢力図は変わろうとしている 白洲待望論が起きているのは明らかだ
    他の本評伝も読み
    たい

  • 下巻に突入し、白洲次郎の実力に圧倒される。白洲300人力。
    政治家だけでなく、様々な人に共通する理念を導いてくれる。
    日本一かっこいい男です。
    ぜひ自己啓発に興味がある人は読んでみて下さい。白洲次郎を知る事はよっぽど為になる。
    各自のプリンシプルがこの時代を生きた人へのお返しになる。
    感謝です。

  • 白州次郎の人生をダイジェストで綴った内容だった。白州次郎がどういう環境で何を行って来たのかが、一通り読める。駆け足で生涯を追った内容なので、白州次郎の人物を深く掘り下げるにはやや消化不足な気がした。

  • 白洲次郎氏の口癖の「人間は地位が上がれば上がるほど役得を捨て役損を考えろ」は、確かに志としては申し分ないが、今の世の中でこのような考えで行動できている人はどれ程いるだろうか。政治家、会社役員、役人など皆己の欲に目が眩んで国や社会や会社を誤った道に導いているのではないのだろうか。それにしても、いかに外交が大事かということが白洲次郎を通して分かるというものだ。教養や広い視野によって培われた信念とそれを貫く度胸と行動力。今の日本が待望するのはこのような人であろう。

  • この時代、こんないい男がいたなんて驚きですね。今の世こそ、白州次郎のような男の出現が切望されるのではないのかなぁと、思います。一度会ってみたかったですねぇ。

  • 戦後の混乱の中、本質を追求した男の生き様かわ綴られたおもろい本。

  • 9784062762601  252p 2008・12・12 1刷

  • 上の方に記載

  •  数年前にこの白洲次郎がブームになりましたが、ブームが嫌いなのでブームが落ち着いた今頃になって読んでみました。
     この著者の北康利が書いた『福沢諭吉 国を支えて国を頼らず(上下)』もそうだが、なぜ文庫本になると上下二冊に分けるのか?全部で高々500頁前後の本を二冊に分ける意味が解らない。出版社の意向なのかどうなのかわからないが、「200頁程度」なら読むだろう、と出版社が考えているのなら大きな間違えだ。出版社全体に言いたいが200~300頁前後の本を分冊にするのなら1冊600頁程度で出版して欲しい。興味あるなら人なら読むし、読まない人は読まない。本ってそういうものだと。
     閑話休題。人物評伝物としては読ませる部類の本だと思う。著者の北氏の意見があまり出ておらず、客観的な表現に終始している。それだけに読み手が考えさせられる部分が大きい。
     「プリンシパルを持って生きれば後悔などない」という白洲の生き方は大変参考になる。ただ後半(下巻)部分の大半は吉田(茂)が主人公になったかと見紛う展開になる。もう少し白洲に焦点を当てた書き方が良かったのではないか。
     戦後日本の行方を大きく左右するような立場に置かれ、プレッシャーも甚大だった思う。戦後日本が道を大きく誤らなかった彼の功績に感謝する。
     白洲家ほどの資産家に生まれなかった平凡な一市民の僕の感想は、①語学を学び②自分の頭で考えることが大切なのだと思った。そしてできれば若いうちに他国に行って、他国から自分の生まれた国を見てみるというのが大事なんだな、と思いました。

  • 憲法制定後のGHQとの戦い、サンフランシスコ講和条約の舞台裏などでの次郎の活躍を描く。彼なりの芯の通った言動には感動を覚える。
    一人一人のプリンシプルが今の日本には必要だ。

全90件中 51 - 60件を表示

著者プロフィール

昭和35年12月24日愛知県名古屋市生まれ。東京大学法学部卒業後、富士銀行入行。資産証券化の専門家として富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長等を歴任。平成20年6月末でみずほ証券退職。本格的に作家活動に入る。
著書に『白洲次郎 占領を背負った男』(第14回山本七平賞受賞)、『福沢諭吉 国を支えて国を頼らず』『吉田茂 ポピュリズムに背を向けて』『佐治敬三と開高健 最強のふたり』(以上、講談社)、『陰徳を積む―銀行王・安田善次郎伝』(新潮社)、『松下幸之助 経営の神様とよばれた男』(PHP研究所)、『西郷隆盛 命もいらず名もいらず』(WAC)、『胆斗の人 太田垣士郎―黒四(クロヨン)で龍になった男』(文藝春秋)、『乃公出でずんば 渋沢栄一伝』(KADOKAWA)、『本多静六―若者よ、人生に投資せよ』(実業之日本社)などがある。

「2022年 『稲盛和夫伝 利他の心を永久に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

北康利の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×