- Amazon.co.jp ・本 (1330ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062763714
作品紹介・あらすじ
江戸川、大磯で発見された毒殺死体。二つの事件に繋がりはないのか。小松川署に勤務する青木は、独自の調査を始めた。一方、元刑事の益田は、榎木津礼二郎と毒殺事件の被害者との関係を、榎木津の従兄弟・今出川から知らされる。警察の捜査が難航する中、ついにあの男が立ちあがる。百鬼夜行シリーズ第九弾。
感想・レビュー・書評
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ラストシーンが好きの一冊。
ややこしさからのシンプルさ、この一転が良かった。
連続殺人事件の展開は正直、ややこしい。頭の中でどんどん絡まり始め、榎木津さんの縁談もどう関係してくるのか先が見えない不安も拡がった所にしずくが落とされた。
その一滴が一気に絡まりをほぐし世界が一気にまとまった。
無色透明のそのしずくの色がいくつもの色味を帯びていくのが良い。
邪悪な黒、時には人を想うピンク、時には懐かしのセピア色に。
榎木津さんの意外な思い出、相手のための突き放しというラストシーンが「狂骨の夢」と並ぶほど美しくて好き過ぎる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今までと違い明確な妖怪イメージがなく,このシリーズには珍しい正統派の探偵小説の雰囲気。他者を操って殺人を犯すという構造は絡新婦と似ているがこちらは明確な殺意ではなく未必の故意に近い。世界と対等に渡り合いたいと願った人間の神のような実験が事件となる。まさに雫を一滴たらして後はどうなるかを見ているだけ。
神妙な榎木津がいいキャラをしている。 -
黒い雫に侵され、黒い雫に成り、そして……
な、長かった。
でも全部必要な描写だから読み飛ばすことも出来ず、じっくり読んだ。
1000ページ辺りからめちゃくちゃ面白くなって無心でページをめくった。
京極堂の憑き物落とし、お見事‼️ -
明後日の鵼の碑発売を前に、前作を読みました。
これで復習完了
一冊1311pは流石に極厚でしたが、700pあたりで榎木津さんがチラリと登場してからは話が加速。後は一気でした
大磯、平塚で次々に毒殺される事件の真相は?
個人的には最後のカタルシスが弱く感じましたが久々の京極節を楽しみました。
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えー切ない……切なすぎる……。
読了した時に何だか魍魎の匣のあのシーンを思い出してしまったのは私だけでしょうか。
前回の話と違って今回の話はまぁ登場人物が多い多い。
色んな人の色んな目線で色んな話が語られる。
正直前半は「話は動くし面白いんだけどこれちゃんと着地出来るの?どこに向かってるの?」なんて思っていたのですか、徐々に話が繋がり始めてからはもう一気読みでした。
あの人の行動に関しては多分世間一般では山下さんのような反応が正しいんでしょう。
でも私、今回の件に関してはちょっと感情移入してしまって……というか気持ちが分かりすぎてしまったのでもう独白のシーンは何とも言えない気持ちになりながら読みました。
分かる、分かるよ、そうだよね、始まりは純粋な気持ちだったんだよね。
まぁでも流石に許されることではないよなぁ……最後に罰は下るけども。
今回、榎木津の大人な面を見ることも出来て満足なのですが、やっばり榎木津はあのいつもの傍若無人な感じが一番似合うなー!もっともっと暴れて欲しいなー!暴れてこそ榎木津礼二郎だ!とも思ったわけです。
あとさ、榎木津。
名前ちゃんと分かるんじゃんね。
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中禅寺の物語のまとめ方とテーマ談義のために読んでると言っても良いくらい、やっぱりそこが面白い。
そこに向けて、物語が混乱して、自分でも登場人物や展開がよく分からなくなる感覚がある。 -
邪なことをすると━━━死ぬよ。
いつもと違った榎さんがとてもかっこよくそして哀しかったです。
途中「絡新婦」と似てるのかなぁと思ったけれど、結果は大きく違っていました。
謎の思考回路を持つ登場人物が何人も出て来て行動が読めず何度もええっ?てなりました。
百鬼の邪魅があまり蘊蓄にも登場せず物足りなく感じましたが、京極堂の憑き物落としはおもしろかったです。