- Amazon.co.jp ・本 (640ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062766456
作品紹介・あらすじ
奥多摩の山村、媛首村。淡首様や首無の化物など、古くから怪異の伝承が色濃き地である。三つに分かれた旧家、秘守一族、その一守家の双児の十三夜参りの日から惨劇は始まった。戦中戦後に跨る首無し殺人の謎。驚愕のどんでん返し。本格ミステリとホラーの魅力が鮮やかに迫る。「刀城言耶」シリーズ傑作長編。
感想・レビュー・書評
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やばい…
背筋がゾワッとした…((((;゚;Д;゚;))))
ホラー好きの私としてはもう最高のラストです!
三津田信三天才!!
奥多摩にある媛首村では淡首様の祟りや首無の化物の言い伝えがある。
古くからある旧家、秘守家の一族では、男の子が育ちにくい。
双子の十三夜参りの日、恐れていた悲劇が起こる。
これは事故か、首無の呪いか…。
刀城言耶シリーズ第3弾です^ ^
帯に、
「本格ミステリ・ベスト・オブ・ベスト 1997-2016」「この20年間で最高傑作!」
とありました。
いやもう確かに。
私のど真ん中を貫いてきました。
前作、前々作とはまた違う、新たな驚きと面白さ!
『首無しの如き祟るもの』のタイトルから、首無しという事は、ミステリー好きにはやはり色々推理しちゃうわけですよ。
仮面的なマスク的なアレ系統かな〜とか。
そうやって構えていても相手は何枚もウワテw
1590年、豊臣氏により攻撃を受けた媛神城。
淡媛は隣国に逃げるが山中で首を斬られ殺される。
それ以来奇妙な出来事が相次ぐため、媛鞍山に石碑を建て祀られる。
この媛首塚は淡媛と御淡の二祀神であり、淡首様と呼ばれる。
以来、媛首一族・一守家の長男は成人する前に命を落とす事が多い。
このような言い伝えが閉鎖的な村には数多く残り、その性質を最大限に活かしたトリックを扱い、かつ怪談話で登場人物の精神状態が恐怖に偏ってしまうという心理的なトリックも操ってくる。
第二次世界大戦を跨がり事件が起こるのですが、徴兵制により出兵していく一族もおり、この戦前戦後の時代背景も重要な役割を担う。
作中作形式で、作家目線であるのと、駐在の警察官、一守家の使用人の3人の目線で物語が進行していくのだが、なるほど、そう言われればそうだと納得する罠が仕込まれていて驚愕です。
3作読んで思ったのが、山や村や一族の名称にとてもセンスが感じられ、由来の漢字に重要な意味が込められていたりする。
とても美しい.☆.。.:*・°
どの作品も素敵ですが、読むたびに面白さが上書きされていくので、この先どうなってしまうのか楽しみで仕方ない。
読み終わってしまうのが寂しい反面、早く読みたい欲が疼いてたまらない〜!!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
傑作。
媛首(ひめかみ)村では秘守(ひがみ)一族が村を束ねており、その一族は一守(ひとがみ)家、二守(ふたがみ)家、三守(みかみ)家と3つに分かれる。そして一守家がその中でも一番の権力を持っていた。
そしてこの土地には淡首(あおくび)様という存在が祀られており、秘守家を守ってもいるし、祟ってもいる。秘守家の後継は何も問題がなければ一守家の男が後を継ぐことになっている。しかし、淡首様の祟りにより、一守家の男子は代々病弱で若くして亡くなることも多かった。一守家の長男、長寿郎も一族が見守る中成長していく。
そして13歳の歳を迎えた時に行われる、十三夜参りという儀式の最中に長寿郎の双子の妹、妃女子(ひめこ)が死体となって発見される...。淡首様の祟りなのか、後継の長寿郎を狙った二守家か三守家の誰かが間違って襲ってしまったのか...。結局事件は未解決のまま時は流れる。
そして10年後...23歳になった長寿郎の花嫁を決める婚舎の集いに3人の花嫁候補が出席する、しかしそこで候補の一人が首無し死体で発見されたのを皮切りに次々と首無し死体が発見され、連続殺人事件へと発展してしまう...。今回の事件も未解決のまま過ぎ去ってしまうのか。
あらすじを簡潔にしてみたのだけど、実際は他の登場人物もいたり、事情は複雑。謎が謎を呼び、「もうわけがわからない...」という状態に。こんなに散らかってまとまるの!?と思うのだけど最後のまとめ上げは圧巻でした。ボリュームも多く、媛首村の歴史から秘守家の話、最初の事件から10年後の事件...そしてそれを振り返る語り手...とながーい時の流れがあるのだけど、このラストを作るためだったんだ!と納得の内容。ミステリーでもあり、ホラーでもあり1冊読んで2倍楽しめる。僕には刺さりまくりの作品でした。 -
三津田信三さんの作品を読んだのは、本書が初めてです。
ミステリーは昔から大好きで、特に学生時代はミステリーばかり読んでいましたが、ここ最近は他の分野の本に比べると少なくなっていました。
そこで、ここらで面白いミステリーを読んでみようと、私の好みを加味した次の要素を出来るだけ満足している作品を探しました。
・本格物である
・名探偵が登場する
・ホラーの要素がある
・どんでん返しがある
・人間愛や悲哀が感じられる
・評価が高い
その結果、良さそうだなと目星を付けたのが本書『首無の如き祟るもの』です。
本屋さんで見つけると、帯には
オールタイムランキング第1位!
この20年間で最高傑作!
と謳ってあるではないですか。
そのまま手に持ってレジに向かったのは言うまでもありません。
さて、読了後の評価ですが、(読み終えて直ぐに本文を書いています)100点満点とすれば90点ぐらいではと感じました。
先ず、何よりもミステリーとして面白く読め、とても楽しむことが出来ましたし、とりわけ、斬首トリックと作中の作者と登場人物(当然、真犯人含む)に関する構成の妙には驚かされました。
先ほど書いた帯の文面や、ブクログユーザーの皆さんの評価が高いことにも納得がいく、「傑作」だと思います。(私の選択が正しかったことも嬉しいですね)
最後に、満点にちょっとだけ不足していた点を書いておくと、残念ながら人間愛や悲哀をあまり感じることが出来なかったところですね。
勿論、本格ミステリーには寧ろない方が良いという意見があり、また、読む人によって感じ方は違うので、仕方がないことだとは承知していますが、私が過去に読んで大好きな作品
・『悪魔の手毬唄:横溝正史』
・『犬神家の一族:横溝正史』
*本書の構成は、この2作品を合わせたように
も感じました。
は、ミステリーとしても「名作」ですが、親子(犯人含む)の愛情や悲哀(悲劇)を感じさせてくれる読後感が良かったですね。 -
ラストのどんでん返しがすごいです。
最初から犯人探して下さい的なスタンスで、物語が始まります。
身構えて読み進めたが、犯人はわからず、騙された〜!
ただ、個人的には作中作の形式の物語なので、没入感が薄れてしまいました。。
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刀城言耶シリーズ第三長編。そして最高傑作。読む以前から評価は聞いていたが、ここまでとは。ページを捲るごとに現れる謎、謎、謎。どんでん返しに継ぐどんでん返し。全ての謎が解け、真相が明らかになったとき、最高にスカッとした。読んでいない人は絶対に読むべきである。
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とにかく凄い。ここ最近読んだ中ではNo. 1です。
謎が謎を呼びとにかく謎。
いやー全く気付けなかったです。
謎は最終的に刀城?がすっきり解決してくれます。
このシリーズ終わり方が本当に好き。
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確かに推理が二転三転し、最後にどんでん返しという形ではあるが、首なし死体が続くということでどうしても先が読めてしまった。
井戸や風呂場で首なしと遭遇する場面の描写はゾッとしたし、ホラーとしては良かった。
作中、事件を振り返ることが何度もあってなかなか話が先に進まず、読むのに時間がかかった。
各キャラクターは個性があり面白かった。