中原の虹 (3) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 96
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  • Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062767798

作品紹介・あらすじ

大いなる母・西太后を喪い、清王朝の混迷は極まる。国内の革命勢力の蜂起と諸外国の圧力に対処するため、一度は追放された袁世凱が北京に呼び戻される。一方、満洲を支配する張作霖は有能なブレーン・王永江を得て、名実ともに「東北王」となる。幼き皇帝溥儀に襲い掛かる革命の嵐の中、ついに清朝は滅亡する。

感想・レビュー・書評

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  • 歴史が大きく動いた本作。でも今まで出てこなかった登場人物がたくさん出てきて、しかも時代が違う。ひらがなだけ、漢字とカタカナだけの文章出てきて、また心挫けそうになる。吉永さんの手記出てくる時、恨めしくさえ思う。だから、結構物語大きな分岐点を迎えてるんだけど、内容あんまり覚えてない。笑
    とりあえず先に進んでみよう!

    この物語の西太后はほんとに素晴らしい人だった。いなくなってしまった今、歴史がどう動いていくのか。そして西太后がいなくなってしまって、誰が歴史の中心人物になっていくのかも見どころ。春児も頑張ってて、嬉しくなる。

    そして春雷と銀花夫婦を、ほんと心から祝福したい。幸せになって欲しい!春雷に、ちゃんと嫁さんの話に相槌うっといた方がいいよと助言したい。

  • 1908年(光緒34)、西太后と光緒帝(服毒)を喪い、宣統帝溥儀(ラストエンペラ-)が即位。 清王朝の混迷が深まるなか、国内の革命勢力の蜂起と諸外国の圧力に対処するため、一度は追放された袁世凱が北京に呼び戻される。 一方、満洲を支配する張作霖は、名実ともに「東北王」となる...幼き皇帝溥儀に襲い掛かる革命の嵐は、清王朝滅亡の歴史を刻むこととなる。・・・“東京の文秀を訪ねて来た蒋介石(1887-1975)との対話~「蒋介石君。 私は亡命者とはいえ、清朝の臣であることに違いはない。もし君が、孫文らとともに清朝を倒そうとするひとりであるなら、そうした話は聞かぬよ」「救国済民が私の目的です。必ずしも清朝を打倒しようとは考えておりません」「対(トエ)。いい答えだ」「だからこそ、おのれの天命を信じたのちは、迷わず保定軍官学堂に入校いたしました」”

  • 2023年2月17日読了
    民を安ずる者は、無私でなければならぬ。

    今までが「つらい……つらい……」だとしたらこの3巻からは「えっえっ!?えっっっ!?つ、つらい。つらい!?!?なにこれ!?なにこれつらいよ!!」のつらさ。

    沢殿下どんどん好きになっちゃうな。蒼穹の昴の頃はなんだこのミーハー?と思っててごめんなさい。頭の回転が早くて視野の広い方。白菊の上でもどこでも良いからどうかこの方にも安寧を。

    いよいよ吉永中尉と岡さんと文秀がつながってきた。吉永中尉は若いのに自分で世の中を見ようとしていて好きだなあ。

    菊人の慰庭を思う気持ちが苦しい。お前の役割は祖国を滅ぼすことだと伝えねばならない菊人と、自分で気がつけなかった慰庭。

    えっうそはい??えっどういうこと??って言ってるうちに革命が成立してしまった……

    掴めるはずのない中原の虹を追って、ここまできてしまったのですから。

    雷哥と銀花の赤ちゃんが無事に生まれてきますようにと願いながら、いよいよ時代は民国へと入ります。その民国と対立する張作霖たち。次で中原の虹は一旦終わります。

  • 清国が倒れて行く様子が混沌と描かれているのだけれど、歴史の基礎知識のない私は、広げられた大きな風呂敷の中で、増えてしまった登場人物とコロコロと変わる視点に度々迷子になりながら、何とか読みました。難しいので、せっかくの浅田節も見つけられないような、そんな感じ。最終巻、私はちゃんと理解しながら読み終えられるのかな?心配になってきました。

  • 清が滅んで人民共和国が成立。
    どこまでも西太后がこの人民国土をなくしてはならないと働いている。
    忠義の人が国を支えながら激動の地代を向かえてる。

  • 西太后は中国三大悪女と評される。しかし、『中原の虹』では西太后の悪辣なエピソードはロンドンの出版物によって作られたものとなっている。清朝の高官は出版関係者に怒りをぶつける。
    「わが国にはこんな嘘っぱちよりももっと興味深い、もっと面白おかしい事実がいくらでもあるではないか。君たちの国がわが国にいったい何をしたか」(『中原の虹 3』講談社文庫、2010年、89頁)。これは阿片戦争が念頭にあるだろう。依存性薬物を販売して、それを没収したら、戦争を始めることは、考えられる中で最も非道徳的な侵略戦争である。

    『蒼穹の昴』で毛沢東が登場したことに驚かされたが、『中原の虹 3』では蒋介石が登場する。それも『蒼穹の昴』で毛沢東と接点を持った人物が関係する。

  • もっと中国史を理解してから読みたい、と思った。
    ウィキペディアで検索した際、馬賊の登場人物の写真がある=実在する というのに驚き。
    もっと架空の人物が多いと思っていたので。


    玉を巡る過去の話
    日本に亡命した梁文秀の話も間に挟まり
    なかなか理解するのは大変。

    それでも張作霖の存在は圧倒的。

  • 清王朝の終わり。静かな混乱という感じ。西大后、死後も働き過ぎである。張作霖は出てくるたびに格好いい。春雷、相棒である馬を失って帰宅したら奥さんご懐妊のお知らせ。もっとわかりやすく喜ぼうぜ!と思いました(笑)。まぁ色々思うところはあるよね…。春児との再会がどうなるのか、楽しみなような怖いような。

  • 難しかったけど、おもしろかった。

    第1巻はまだしも、2巻、3巻、4巻と、とても感動。あついものがこみ上げてきました。
    「蒼穹の昴」の続編で、「珍妃の井戸」ではちょっといまいちでしたが、本作はすばらしい物語
    清の始まりと終わりが交錯しながら語られるストーリー展開です。

    --
    第3巻では西太后亡き後の物語となります。
    袁世凱が自ら皇帝となるべく、活動を進めます。
    そしてテロリストの姿も..
    ここでの袁世凱はかなりいやな人で描かれていると思います。

    一方で東北では王永江とともに張作霖がますます力をつけていきます。
    そして、その東北を監督する趙総督の引き際。かっこういい
    しかし、正直、3巻は展開がいまいち..

  • 西太后亡き後の清。
    大国が滅亡する際の世界観。幾つもの力が生まれては消える混沌とした政局。
    うん。ほんとに面白い。

    清王朝は、追放した袁世凱(ユアンシイカイ)を呼び戻すことで、一気に滅亡へと歩み始める。盟友徐世昌(シユシイチヤン)との友情。
    滅亡に向かう過程の物語に出てくる英雄達が、もう、なんとも熱くて恰好良い。

    清国が長城を超えた物語と、幼帝の第十二代宣統帝(愛新覚羅博儀)が廃帝を受け入れる様子が重なりながら語られる。

    博儀(プーイー)偉いぞ!頑張った!
    西太后、美しすぎる!
    って胸がじんじんする。

    一方、張作霖は、万民の王道楽土を実現するため、着々と満州で蓄えていく。東三省を平定し百万の兵力を従えるまでになる。

    二当家の八角台の張景恵(チャンチンホイ)。三当家の白猫、張作相(チャンヅオシャン)。四当家の麒麟攬把、湯玉麟(タンユエリン)。そして、五当家の不死身の李春雷(リイシュンレイ)。
    彼らの獣のような力強さは相変わらずで、清々しい。混沌とした世界の澱を吹き飛ばす力を感じる。満州の風である張作霖達が出てくると、物語は一気に進む。

    2012年1月22日読了 8冊目

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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