アカネちゃんの涙の海 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062771580

感想・レビュー・書評

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  •  パパは歩く木というのは、とても納得できる喩えでしたが、子どもが本当に大切なら「歩かない」こともできるのではないか、それでも「歩く」を優先したのなら、子どもを捨てたということではないのか?と、私自身は正直思ってしまうのですが、ただ本書を読んで、子どもはパパを愛しているし、それを取り上げたり嫌いに思わせたりさせてしまうのは、やはり親のエゴなのだろうとも思ったり。思ってもママのようには、ふるまえませんが。愛の差なのだろうか。
     そして、だんだん死神のサインが心臓に増えたパパが、とうとう亡くなって、モモちゃんとアカネちゃんはお別れをするのでした。
     少しずつ大きくなったモモちゃんと、アカネちゃんが、別れや死について考えたり、核実験や戦争について、疑問に思ったり、怒ったり、考えたり、そんな成長の後の追えるお話でした。
     単行本「ちいさいモモちゃん」が出版されたのは1964年、最後の「アカネちゃんとなみだの海」が出版されたのは1992年と30年近くかかっての作品。文庫版3巻は2012年に発刊されており、文庫版あとがきには、松谷みよ子さんが2011年に起きた東日本大震災についてふれていらっしゃいます。そうして2015年に、松谷さんは亡くなられておられました。

  • 「ちいさいモモちゃん」のその後がとても気になっていたので、本屋さんで見つけたときは即買いましたが・・・
    とても読んでいて辛かった。

    親が離婚するという事を、子供はどのようにして理解して納得するのか・・・いつも気になっていました。

    それでも毎日は過ぎていくし、毎日メソメソしている訳にはいかないし。
    けなげに自分の身に起った事を、事実として受け止めるしか無いのだと感じた。

    これはお母さんが子供の視線になって書いているから、まだ母親である私も理解しやすいが
    実際のところ、子供はこんな風にすんなり受け止める事はできないのではないだろうか。

    ともあれ、何とか前に進もうとしている事がわかって、苦しいながらも安心しました。

  • 涙の海ができるとやってくる、クジラの赤ちゃんがなんとなく好き。
    死を書く事が辛かったとおっしゃる作者様。死が近しい世界をこれだけ自然に書くまでに、布目が見えるまでじっくり時をかけるというお姿を想像しまして、大切に毎日を生きぬいていらっしゃるんだろうなぁと憧れが浮かびました。

著者プロフィール

1926年、東京生まれ。1944年頃より童話を書きはじめ、1956年、信州へ民話の探訪に入り、『龍の子太郎』(講談社)に結実、国際アンデルセン賞優良賞を受ける。以来、民話に魅せられ創作と共に生涯の仕事となる。日本民話の会の設立にかかわり、松谷みよ子民話研究室を主宰。著書に『女川・雄勝の民話』(国土社)『日本の昔話』『日本の伝説』『昔話一二ヶ月』『民話の世界』(共に講談社)『現代民俗考』8巻(立風書房)など。

「1993年 『狐をめぐる世間話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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