走れUMI (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062775663

作品紹介・あらすじ

内気な少年が明日に向かって疾走し始めた夏。ゲージツ家クマさんが永遠の少年の心で描いた、小学館児童出版文化賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • かつて捕鯨で栄えた港町に住む洋は両親の別居により、母親の実家のミカン山で暮らすことになる。そこでの生活に馴染めない洋は、1年後の夏に故郷の町を目指してマウンテンバイクUMIのペダルを漕ぎ出すのだった。
    少年の成長が実に真っ直ぐ真正面から書かれています。マウンテンバイクでの旅の話がメインかと思ったのですが、その部分はあっさりとしており、クライマックスも海の上で肩透かしをくらった感じもあります。しかし少年の心の象徴としてマウンテンバイクが素敵な役割を果たしています。
    また実に読後感が爽快なんですね。それはいわゆる「悪者」を出していないからかも知れません。何かが変わってしまった母親にも、転校先でちょっかいを出してくる上級生や馴染めないクラスメイトにも、故郷を離れることになった境遇にも、洋は敵意を示さないのです。自分の問題として自分が変わることを目指し、自らに宿題を課す。その姿がいじましくもかっこよく、目を細めてしまいます。きっと同年代の読者にとっては、背中を押してくれる姿となるでしょう。
    作者はあのゲージツ家のクマさんですね。このような物語も書かれているのだと驚きました。

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著者プロフィール

1942年札幌市生まれ。鉄の町、室蘭市で少年時代を過ごす。上京後、絵本、舞台美術、小説、エッセイなどで活躍し注目を集める。'86年から鉄を素材に作品を作り始め、以後モニュメントなどのダイナミックな造詣を全国各地に生み出している。著書に『カミサマ』『もちおもり』『A(アンペア)『蔓草のコクピット』などがある。

「2013年 『走れUMI』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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