- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062779760
作品紹介・あらすじ
少女殺害犯として24年間拘置されていた男がDNA判定の無効を申し立てた。あのリンカーン弁護士が、今度はなんと特別検察官に!
感想・レビュー・書評
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リンカーン弁護士シリーズ、3作目。
刑事ハリー・ボッシュのほうの近作を読む順番を間違えたようなので、リストをチェックしていたら、ここからもう読んでいなかったことに気づいて。
しかも、がっつりボッシュが出ているというじゃないの?
リンカーン弁護士と名乗って広告を打っているミッキー・ハラー。
高級車リンカーンの後部座席を事務所代わりに、広大な州を駆け巡ってこまめに仕事をこなしている男。
知的で人当たりはいいが、勝ちに行くためには手段を選ばないところもある。
弁護士というと、冤罪を晴らす正義の味方のイメージもあるけれど、彼の仕事はもっぱら常習犯罪者の刑をできるだけ軽くすること、というのが現実だった。
DNA鑑定の進歩により、24年前の少女殺害事件で新たな証拠が見つかり、服役していた囚人が釈放される。
検事局の面目は丸つぶれ。
再度、犯人を有罪に持ち込もうという裁判になるが、ハラーはこの裁判の特別検察官になるよう依頼される。
証拠は不利だが…?
元妻で凄腕の検察官とタッグを組み、調査員にはボッシュを指名して、難事件に立ち向かうことに。
軽快な出だしで、面白く読めます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
既に売っていない本のようなので中古を買って読了。本当に面白い。マイクルコナリーは何を読んでもハズレがない。個人的にはリンカーン弁護士よりも、ハリーボッシュシリーズの方が好きだが、本作では2人が主人公なので、満足感も高かった。オススメ。
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最初は不利な戦いだと思ってたけど、ボッシュの捜査で上巻から有利な展開になってるところが下巻で波乱が待ち受けてそうで気になる。
上巻終わりでやはりそう来たかという展開なので、このまま下巻へ。 -
リンカーン弁護士シリーズの三作目。上下巻にもかかわらず読みやすい上に面白く、今回は、ミッキー・ハラーとボッシュ刑事の競演とあってなじみもあり、すぐに読み終わった。
コナリーの大好評であるシリーズとして、それぞれが主人公で活躍している、その二人がタッグを組む事だけでもわくわくする。
ミッキー・ハラーよりもボッシュ刑事シリーズが多く書かれているそうだが、ハラーのほうから入ると、やはり法廷シーンの緊張感が嬉しかった。
24年前の少女強姦殺人事件の犯人は、無実を訴え続けている。DNA判定が進歩して、証拠になった妹のワンピースの裾についていた精液が犯人のものと違っていることが判明した。
「判決破棄」差し戻しの裁判が始まる。
不名誉な事件で、検察側はミッキー・ハラーに検事長から特別検察官の要請がある。ハラーは反対の席に座ることを受け入れて、証拠の確認と、当時の証人を探すことを調査員で招聘したボッシュに依頼する。ここで断ったら話にならない(笑)
無罪を訴える犯人は意気揚々、一時の釈放時間を満喫しながらスター気取りで、マスコミの前に姿を見せる。
犯人の意味の解らない行動に振り回されながら、当時事件を目撃した姉を探す調査員のボッシュ刑事。
その姉は、一時麻薬におぼれ住居も転々としていた。
裁判が開かれる、やり手だと評判の高い犯人側の弁護士は、24年前の証拠不十分を基にがっちりと論陣をはる。
ハリーは、ボッシュとともに元妻の検事と証拠崩しをはかる。
緊張感溢れる法廷場面は飛び切り面白い。
柔な推理小説の面白さにかまけて、こういうエンタメを忘れていた。マイケル・コナリーはこう来たか。
登場人物が絡みに絡んで、いやみな犯人側の弁護士、娘のいるハリーとボッシュの家を窺っているかのような犯人の行動、既に恋人がいる元妻。目撃者の姉の結婚相手が弁護士側の証人として出廷し姉の証言を否定する。姉と殺された妹の義父は二人に性的な暴行を加えていたらしい。
これらの話が縺れながら、最後の法廷に持ち込まれる。
ちょっとやりきれなさが残る場面で終わるが、これもいいとしよう。 -
リンカーン弁護士も第三作目。一作目が時を経ず映画化されたことで、ミッキー・ハラーについては、売れっ子男優マシュー・マコノヒーの顔がイメージされるようになってしまった。ちなみに、ハリー・ボッシュの方は今春ようやくドラマ化が決定とのことで、映画には一本もなっていないのが不思議であるが、ぼくはボッシュの顔は最初からマイケル・ダグラスでイメージしている。ボッシュ第一作『ナイトホークス』の刊行が1992年だったから、おそらく1989年の映画『ブラック・レイン』あたりの印象がぼくの中でマッチしたのである。
それにしてもリーガル・サスペンスは大変だというコナリーの一作目でのあとがきが嘘のように、次々とハラーものも、そしてこれまでで一番法廷シーンに主眼を置いた作品として本作を上梓しているのを見ると、やはりコナリーの努力プラス天性の才能に感嘆せざるを得ない。本書も間違いなく(もはや当たり前のことであるが)傑作である。
法廷をハラーが請負い、法定外の追跡や活劇はボッシュが請け負う本書の形は、前作でハラーとボッシュが腹違いの兄弟であることが判明してからのスタンダードになりそうな予感があるが、ボッシュの登場しない作品もこの後登場するということなので、いい意味で読者を裏切り続けてほしいとの期待が思わずコナリーに向けられる。
本書はハラーとボッシュの章が交代で叙述される。小説としては不自然ではあるが、ハラー部分は「わたし」の一人称で、ボッシュの部分は三人称で語られる。どちらも1/2ずつの描写なので何も副題で「リンカーン弁護士」と謳わなくてもよさそうであるが(原題では特に明記されていない)、法廷シーンが大半を占めるためリーガル・サスペンスとしての価値づけを出版社が明確にしたかったのだろう。
二十年前の判決で受刑中の容疑者が、ある証拠品のDNA検査不一致により判決破棄に至ったため、検察側が刑事弁護士のハラーに白羽の矢を立て再審に持ち込むというストーリーなのだが、検察側に初めて立つハラーと前妻のマギー(そもそも検察側)の共同戦線が読みどころ。弁護士と検事との川を渡って法廷に立つハラーが、かつて別れたマギーの立場にも立ってともに戦うというところに面白さがあるのだ。
なおハラーが調査官としてボッシュを指名したことにより、再捜査を行うボッシュの、狼のような捜査姿勢も改めて魅力あるものとして語られる。法廷の内と外で進められる物語は、誰もが思いも寄らぬ結末へ向けて波乱のうちに収束してゆくのだが……。
原題のReversalとは法律用語では「判決破棄」と訳されるらしいが、「逆転」「反転」などの意味もある。弁護側であるハラーが、本書に限っては、検察側のテーブルにつき、被告人を無罪にしようと努めるのではなく、原告側に立って有罪を立証してゆくのである。
またラストの二転三転する大逆転ストーリーもいつもながら天晴れ。こちらもReversalじゃないのかと疑ったが、考えてみれば逆転は毎作のことなので特に関連はなさそうだ。 -
無罪を訴える服役囚を、リンカーン弁護士が今回は検事として、ハリー刑事と協力しながら追い詰める。
少し前からリンカーン弁護士が好きになりシリーズを読み進めているが、この話はハリー・ボッシュ刑事色が非常に強い。
リンカーン弁護士とハリー刑事がここまで密接に関わりあってくるとは。
ハリーシリーズも最初から読むべきか。
冊数が多いだけに悩ましい。 -
刑事弁護士であったのに、独立検察官になるのね(笑)
ほとんどオールスターキャストと言っても過言では無いですね。あとは、ジャック・マカヴォイが足りない位?
上巻の最後の辺りで、物語が動き始めます。 -
リンカーン弁護士シリーズの第三作の上巻。嬉しいことに今回はミッキー・ハラーと異母兄弟のハリー・ボッシュの本当の共演が描かれる。
24年前の少女殺害事件の有罪判決破棄を巡り、刑事弁護士のミッキー・ハラーが特別検察官として、全く勝ち目は無いのに絶対に負けられない再審を引き受ける。ハリー・ボッシュは窮地に立たされるミッキー・ハラーのパートナーとして、地道な捜査を進める。
ミッキー・ハラーを主人公にした法廷劇とハリー・ボッシュを主人公にした警察小説の二つが同時が楽しめる贅沢な作品。しかも、さらにFBI特別捜査官、レイチェル・ウォリングも登場するのだからファンには堪らない。
果たして、ミッキー・ハラーはハリー・ボッシュの協力により、窮地を脱出出来るのか。再審の行方は…テンポ良く展開するストーリーに目が離せない。また、上巻は何とも意味有り気な描写で終わり、続きが非常に気になるニクい演出。 -
面白い。
ただしいつもの通りボッシュが出て来て女性が絡むと一挙に引くね。
作品は24年前の少女誘拐殺人の犯人に対する判決破棄から発するサスペンスだ。
下巻も当然読むし楽しみだけど少なくとも僕の印象ではハードボイルドではない。
テレビのシナリオと考えれば最高のストーリーだがそんな物を読みたい訳じゃない。