毒になる母 自己愛マザーに苦しむ子供 (講談社+α文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062816229

作品紹介・あらすじ

母親はどうして、こうもあなたをくるしめるのか? 永久不幸連鎖から逃れるすべはあるのか?

感想・レビュー・書評

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  • ブクログの献本キャンペーンで頂いた本。
    自己愛性パーソナリティ障害の母親(この本の中では“自己愛マザー”と表現されている)を持つ著者が、自己愛マザーの特徴や自己愛マザーの元で育てられた娘に及ぶ影響、そしてそのトラウマから立ち直る方法を丁寧に綴っている。

    私自身はそういうトラウマに悩んでいるわけではないので心理学書を読むような気分で読んだのだけど、読んでみて改めて、私の母親も多少愛情が強すぎるところはあるものの、まともな範囲内で子どもを愛する母親なのだということが分かった。少なくとも話せば理解してくれるし、悪い点は反省することも出来る人だから。
    ただ、もしかしたら、その母を育てた私の祖母が自己愛マザーの傾向があるかもしれない、と気づいた。そうなのだとしたら、母に強い連鎖がなかったのは奇跡なのか、それとも母の資質によるものなのか、そういう点で色々と考えさせられた。

    母親の過干渉、もしくは放置に悩んで大人になってからもそのトラウマから抜け出せない人はけっこういるのだと思う。
    この本に書かれているのはあくまで自己愛マザーとその娘に限った話で、男の子どもの場合はまた違った対応や影響があるらしい。同性同士の親子だからこその締め付けや嫉妬に苦しむ娘も多いとのこと。
    まず説明があって、その後サンプルになっている人々の言葉が例として随所に出てくるからとても分かりやすい。

    三章からなる本の最終章、このトラウマから立ち直る方法が書かれた章は、悩んでいるわけではない人間にも参考になると思う。
    ありのままを出すことをためらう必要はないということ、自分を駄目な人間だと思い込むのはやめること、自分を他人とは違う一個の存在だということを認識して適切な距離で人と関わること。
    そして自己愛マザーに苦しめられた人は、無理をして赦す必要はないということも書かれていた。その上で立ち直るのは大変なことだけど、根気強く無理なく、ということを経験者である著者が愛情深く綴っている。
    子どもを育てる立場の人の参考にもなる本だと思う。

    何よりも自分が一番大事で、人の気持ちを自分の身に置き換えて考える、ということを自己愛マザーは出来ない。本人に自覚がなく治す気もないなら一生治らないことが多い障害。
    そういう母親の元に産まれた娘は不運だけど、そこでその連鎖を断ち切って母親とはまったく別の人格を持つ素敵な人間になることは、可能なのだと思う。

  • 1回読むだけでは、頭が整理しきれず、2回目。

    欠落感。
    共感の欠如。
    愛されているという実感のなさ。

    自己愛マザーに育てられた娘の特徴
    過敏に反応する
    ものが決められない
    人目がひどく気になる
    対人関係が苦手だ
    自信がもてない

    自己愛マザーは、息子より娘を、自分を映し出す姿、自己の延長ととらえやすい。娘を自分と別個の存在とは考えず、娘に自分と同じように行動し、反応するよう求める。
    母の愛と承認を得るために、娘は母に対する正しい反応方法を常に見極めなければならない。ところが、母を喜ばせるふるまいが、その時々の母の身勝手な関心に左右されることが娘にはわからない。ありのままの自分でいて、母に認められない娘は、大人になっても自信が持てない。


    自己愛マザーの特徴の内、うちの母に当てはまること。
    9つ中3つ。
    過剰な賞賛を求める。(褒め言葉や感謝を要求)
    娘の試合を見にいくと、自分の時間を犠牲にしたと恩着せがましく感謝の言葉を要求。

    特権意識、特別な取り計らいや、相手が自分の望みに当然のごとく従うことを理由なく期待する。

    共感の欠如。他人の気持ちや欲求を認めようとしない。気付こうとしない。


    深い感情をもたない母は、娘との間に絆を結べない。母が子供に愛情を与えるのは、自分の利益にかなうときだけ。

    母親の自己愛度を知るチェックリスト
    18/33項目自分の母にあてはまる。

    あなたの感情について話してるとき、母親が自分の感情を優先しようとする。

    母親があなたに共感を示さない。

    母親との心のつながりを感じたことがない。

    母親が娘のあなたを愛してくれてるか、何度も疑問に思ったことがある。

    母親が人目をひどく気にする。

    不都合なことが起きると、母は自分の感情や行動の責任をとろうとせず、あなたや誰かのせいにする。

    母はすぐ傷つく。問題を解決しようとせず、長い間恨み続ける。

    母親に受け入れられてないと感じる。

    母親があなたに対して批判的だ。

    母親といると無力感を覚える。

    母親を恥ずかしく思うことがある

    母親は本当のあなたを知らないと思う。

    母親は世界が自分を中心に回るべきだと思っているように振る舞う。

    自己中心から抑うつまで母親の気分の振れ幅が大き。

    小さい頃から母親の情緒的な欲求を満たさなければならないと感じてきた。

    母親があなたの気持ちを無視してあなたの行動を決める。

    母親があなたと張り合う。

    母親は何でも自分の思い通りでないと気がすまない。



    自己愛マザーの娘が口を揃えていうのは、自己愛の強い母親が娘よりも息子を大切にするという事実だ。息子は娘ほど自分の延長ではないからだ。

    自己愛マザーに2人の娘がいるとき、ふたりは大抵正反対の役割を担う。どちらも、同じメッセージ「人間の価値は、あなたがだれかではなく、何をしたかで決まる」を自分の中にとりこむが、2人は両極端に振る舞う。例えば、姉は同じメッセージを内面化した後、「よーし、見てろ。私に何ができ、どんな価値があるのか」と決意し、常に成功を追求する頑張り屋の完璧主義者になる。一方の妹は同じメッセージから劣等感を取り込み、自分きはとても母の求める基準は満たせないと諦めてしまう。どちらになるかを決めるのは何だろうか?成功追求型になる娘は無条件の愛を注いでくれる誰か、例えば父や伯母、祖母、教師などいたケースが多い。自己破壊型になる娘は子供時代に慈しんでくれる人がいなかったか、いたとしてもあまり長く接触できなかった。

    自己愛マザーの娘は様々な面で両極端な体験をし、相手の常識外れの言動にも過度に寛容になりやすい。

    健全な家庭では、親が子供の欲求に応えるが、自己愛の強い家庭では子供が親の欲求に応えなければならない。

    親に見捨てられるのを恐れ、本当の気持ちを押し隠して問題ないように装う。やがて子供は自分の感情を表したり本当の気持ちを感じたりできなくなる。成人後は対人関係の悩みを抱えやすい。

    親に自分の欲求を満たしてもらえない子供は、安心感や信頼感がもてず、自信ともてない。

    自己愛マザーは、乳児の世話はできる。乳児はコントロールしやすく、自分ののぞむ型にはめやすいから。ところが、成長とともに子供の心が発達するにつれ、母は娘を支配する力を失う。母は影響力を取り戻そうとして、娘をけなし、批判的な態度をとる。子供が年齢に応じた自然な要求をしても、母はそれに応えられず、娘に腹を立て、自分の存在が脅かされたように感じる。自分が不十分な人間だという気持ちを娘に投影し、母である自分の未熟さではなく、娘の欠点をあげつらう。

    子供が自分で自分の面倒を見て歩んで行くためには、自己と他者との境界がしっかり築かれてなければならない。また自分の欲求を声に出して伝えなければならない。けれど自己愛マザーの娘にはそれができない。娘は、自分の気持ちを行を押し殺し、自分を指定し、偽ることを学ぶ。

  • "親を恨んではいけない"という倫理的なルールを踏みにじる本が大衆的になっていったのは、まさしくこの本があったからこそだと思います。

    個人的にはこの系統のシリーズならこちらよりも『毒になる親』(別作者)の方がおススメです。

  • 家族

  • 父がアルコール依存症で昨年亡くなったのですが、そんな親元で育った私にどんな影響があったのか。そして夫のお母様も同じくアルコール依存症で若くして亡くなっており、家庭環境が不安定だったこともあり、とても興味深く読めた。私の父が、押し付けがましい祖母の元で長男としていかに窮屈な人生を送ったのかも考えさせられ、家族というものの難しさを改めて実感。

  • わたしにはあまり当てはまらないかも?子供への接し方の部分は参考になるかも

  • あるきっかけで読んだ本ですが、そのきっかけがなければ決して手に取らなかったと思います。
    2012年に発刊された本の文庫化。文庫にすることで、私の様なものにとっては、非常に手に取りやすくなりますね。
    対象が、「自己愛の強い母に育てられ、悩んでいる女性」ということもあり、男性の私が読むには正直、パワーが必要でした。が、全体のトーンから伝わってくる、セラピストである著者の「愛」と、自らの経験から困っている方をなんとかしたいという「想い」が伝わってくる本でした。
    私の周りには、このような症状で悩んでいる人はいない(だろう)し、今後気づくこともなさそうな気がしますが、このような形で、悩んでいる人の目に留まり、よい結果に結びつくことを私も心から望みます。
    男性としては、この本で描かれている男性像のくだりを本の少しだけ意識し、同じような症状の方を見かけたときに表面的にはわからない「事情」を察知できれば何かの役に立てるように思いました。
    人の心の話は、奥深く、永遠のテーマでもありますね。

    PS ブクログさん、この本を読む機会をくださり、感謝申し上げます。

  • 自分が一番、世間体が何より大事で娘の気持ちはおかまいなし。 そんな自己愛の強い母親から上手に離れる方法を教える貴重な書!

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