注文の多い料理店-宮沢賢治童話集1-(新装版) (講談社青い鳥文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062850490

作品紹介・あらすじ

ふたりのわかい紳士が猟にでて、山おくの西洋料理店にはいったところ、かえって自分たちが料理されそうになってしまうという、宮沢賢治の代表作『注文の多い料理店』をはじめ、『鳥箱先生とフウねずみ』『ツェねずみ』『クンねずみ』『ありときのこ』『やまなし』『雪渡り』『シグナルとシグナレス』『狼森と笊森、盗森』ほか、詩と名作童話15編を収録。

感想・レビュー・書評

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  • H31.4.11 読了。

     イーハトーヴ、今よりも山河や星空がきれいに見えた頃に思いを馳せながら読めた作品。やっぱり賢治の世界は深い。

  • 宮沢賢治童話集をちゃんと読んでみました。
    子供の頃は「自然そのものを身近に感じ、高潔な精神を求め」みたいなどうも説法臭い、浮世離れした印象を持ってしまっていました…。
    ちゃんと読んでみると柔らかな語り口で、優しいお話、シビアで寓話的なお話、昔語り、何かを見て頭に浮かんだ幻想など、見たこと感じたこと、良いこと悪いことを言葉として表現することができる人であり、理想だけ論じているのではなくて現実的にも割と力強く生きているとも感じました。


    『詩・星めぐりの歌』
     あかい めだまの さそり
     ひろげた わしの つばさ
    NHKにほんごであそぼ で曲が付けられて歌われています。宮沢賢治だと知らなくても歌える人は多いのではないでしょうか。

    『注文の多い料理店』
    「どうぞごえんりょはいりません。 靴の泥を落とし、髪を整え、カナモノは外して、クリームと塩を体に塗って、さあ、奥へいらしてください」

    『鳥箱先生とフウねずみ』
    鳥箱はひよどりのこどもを生徒にして威張っています。しかしひよどりたちは、餓死したり、病死したり、猫に狩られたりしてしまいます。納屋に入れられた鳥箱先生は、鼠相手に先生ぶりますが…。

    『ツェねずみ』
    自分のような弱いものをいじめるなんて!償ってください!償ってください!償ってください!ツェねずみはみんなから嫌がられて…

    『クンねずみ』
    エヘンエヘン インテリぶったクン鼠はみんなから鬱陶しがられて…
    ==このねずみ三編は、ぐだぐだ言ってるだけで現実がわかってないじゃないか!というような、困ったやつが困ったことになるが、まあ周りが見えてないしこうなるよね、という流れは皮肉的なんだが童話調なので柔らかいんだか怖いんだか。

    『ありときのこ』
    隊列の蟻は、急に丘ができていることに気が付きます。しかも大きくなっているんです。あれはきのこというものだよ。
    ==なんだか可愛らしいメルヘン。

    『やまなし』
    宮沢賢治が、水の底の小さな生き物はどんなお話してるのかな…と浮かんだ青い幻灯二篇。
    「五月」
     クラムボンはわらったよ。 
     クラムボンはかぷかぷわらったよ。
    小さなかにの兄弟が、川底から水面を見ながらおしゃべりを交わします。
    登っていくあぶく、頭の上を泳ぐお魚、そして水の天井から飛び込んできて魚をどこかへ連れ去るかわせみ。
    「十二月」
    だいぶ大きくなったかにの兄弟は、吐き出すあぶくの大きさ比べをします。
    ドボン。川の天井から黒くて円くて大きいものが沈んできます。
    怖いかわせみ?いや、あれはやまなしだよ。いい匂いがするだろう。

    『めくらぶどうと虹』
    めくらぶどうは空にかかる虹を素晴らしいものだと思います。虹は、すべての輝きは同じように美しいんですよ、って言います。

    『いちょうの実』
    秋。いちょうの実のこどもたちは、お母さんのいちょうの木から旅立つ日がきました。
    なにをもっていけばいいんだろう?お母さんから離れるのは寂しいな。でも大丈夫、大きくなってお母さんにお土産を送るんだ。どこかに行くなら鳥さんに運んでもらってうんと遠くに行きたいな。
    わいわい賑やかに、寂しさと楽しさを感じながら、子供たちは旅立ちます。

    『まなづるとダァリア』
    高慢な赤いダァリアは自分こそが花の女王にふさわしいと思っていました。
    しかし空を飛ぶまなづるは、密かに微笑む白いダァリアにそっと声をかけるのでした。

    『月夜のけだもの』
    宮沢賢治が、夕方の動物園の檻の前で思い浮かべた幻想。
    立派なスーツを着たしし大王の前に次々現れる動物たち。
    しろくま、たぬき、きつね、さる。みんないろんな事を言います。ししは話を聞いたり仲裁したりします。

    『おきなぐさ』
    うずのしゅげとか、おきなぐさと呼ばれる植物があります。白くてふさふさしたひげを生やし、風が吹くと実を飛ばします。どこまでも、きっと空までも飛んでいきます。

    『雪渡り』
    「かた雪かんこ、しみ雪しんこ」
    幼い兄妹は、きつねの幻灯会にお呼ばれしました。
    呼ばれるのは小さな子供だけですよ。
    幼い兄妹は、幻灯会で出し物を見たり、きつねの作ったものを食べたりしました。
    きつねは、人間の子供たちがきつねのものを食べてくれたのでとっても喜びました。
    幻灯会が終わってほら、お兄さんたちが迎えに来たよ。
    ==これまた可愛らしい。動物と人間との自然のふれあい。

    『シグナルとシグナレス』
    軽便鉄道の、本線に立つシグナル柱と、信号遮断器のシグナルスは恋をしていました。
    結婚しましょう。
    動けない二人だけど、草原や星空で寄り添っている気持ちになります。
    ==おお、宮沢賢治童話集でほぼ唯一のラブストーリーだあ。

    『狼(オイノ)森と笊森、盗人森』
    岩手県にある四つの森、狼森と笊森、盗人森。
    どうしてこんな名前がついたのでしょう?という昔話。
    自然そのものを身近に感じて、自然とご近所付き合いしている感じのお話です。

  • ・話に出てくる2人がだんだん料理になっていくのが楽しいし、自分たちが食べられるときづいた時のあわてるようすが心に残っています。
    ・おなかをすかせた兵隊の2人が、おいしいものを食べられると思ったら、自分たちが食べられるというところがおすすめのポイントです。
    ・昔、吉田先生に読み聞かせをしてもらって、とてもおもしろかった。
    ・僕がこの本を選んだ理由は、人が大きい店に行って食べようとしたら逆に人が大きい化け猫に食べられそうになるところです。
    ・最初はお客さんからの注文が多い人気の店の話だと思っていたけど、お客さんに対しての注文が多い店で、最終的には山猫に食べられそうになってびっくりしたからです。

  • お母さんに勧められて読んだ本。
    「注文の多い料理店」の話の中にある、「雪渡り」は小学校の時に教科書で載っていたので読んだ事はありました。
    注文の多い料理店を読んでいた時に、終盤で色んなことが起き過ぎてパニックになってしまった。

  • 私はこの本を人気があったので、読んでみました。
    猫山さんが紳士たちを食べようとしている時に、ドキ!っとしました。
    食べられそうになるときに、死んでしまったはずの犬が帰ってきて、びっくりりました。けど、ホッとしました W

    面白かったです!!

  • 私は宮沢賢治の作品を全く知りませんでした。「注文の多い料理店」、「銀河鉄道の夜」、「やまなし」しか知らなかったので今回もっと多くの作品を見てみたいと思い購入しました。
    面白すぎる…!宮沢賢治の独特の世界観やあらすじに引き込まれてあっというまに読み終わっちゃいました笑
    好きな話が増えました✨

  • 62注文の多い料理店 宮沢賢治
    ・自分の都合の良いように情報を解釈して、災難な目に遭う話。
    →なんとも言えない感じがして好き。

  • 息子の読書感想文(親子読書)

  • 風が異世界と現実世界を繋いでいるということに気づいた。山の生き物の命を平気で奪う紳士たちを懲らしめるために、山猫は人間を食べようとしたのだと思う。

  • こどものときに読んだものを再読。
    相変わらず思うのはこれ童話?ってぐらいユーモラスでツッコミどころがあるところ。いい意味で。
    宮沢賢治氏の作品は大人が読んでも楽しく読めるところがすごい。

    主人公2人に言いたくなったこと。
    いや食べ放題ってそんな都合の良い解釈すんなよ、お客様面しすぎだろ、と。

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著者プロフィール

1896年(明治29年)岩手県生まれの詩人、童話作家。花巻農学校の教師をするかたわら、1924年(大正13年)詩集『春と修羅』、童話集『注文の多い料理店』を出版するが、生前は理解されることがなかった。また、生涯を通して熱心な仏教の信者でもあった。他に『オツベルと象』『グスグープドリの伝記』『風の又三郎』『銀河鉄道の夜』『セロ弾きのゴーシュ』など、たくさんの童話を書いた。

「2021年 『版画絵本 宮沢賢治 全6巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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