銀行員はどう生きるか (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062884747

作品紹介・あらすじ

■ 銀行の支店はシャッターを開けるたびに赤字!?
■ 三井住友がライバルに先んじるためにとった隠密行動とは!?
■ 証券ビジネスのほうが有望!?
■ 改革の面で大きく出遅れているメガバンクはどこ!?
■ 地方銀行の過半数が赤字!?
■ 銀行員の一生と再就職先とは!?
■ アメリカの銀行では支店長の年収は600万~700万円!?
■ 日本でも支店長の年収は激減し、“一国一城の主”からフロアマネジャーへ!?
■ 若手世代はもう銀行から逃げ出そうとしている!?
■ 銀行はどうやって人員を削減するのか!?
■ 今後、銀行の人事制度は変わり、配置転換が続出!?

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マイクロソフトの創業者、ビル・ゲイツが
「銀行機能は必要だが、今のかたちの銀行は消えてなくなる」
と唱えたのは、1994年のことだった。

それから20年以上経過した現在、予言は現実化しつつあるともいえる。
進化論的に生き残ったものは、
新たな環境に適合するためにその姿をガラリと変えてきた。
まさにいま、銀行はそのような時代に足を踏み入れつつあるのだ。

銀行は未だに学生の就職志望ランキングの上位にある。
「安定している」ことを理由に、志望する(入行した)人も多いだろう。

しかし、銀行員に安定した人生を期待できる時代は終わった。

本書ではその具体的な光景を、
先行する欧米の銀行の事例を取り上げながら描いてみた。

いま、金融業界では何が起きているのか。
今後生き残るのはどのような銀行なのか。
そして、銀行員はこれからどう生きていけばいいのか。

そのヒントを提供できれば幸いである。

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【本書のおもな内容】

第1章 メガバンク「大量人員削減」の衝撃――瓦解した銀行神話
第2章 激変する銀行員人生――人員削減・配置転換の深層
第3章 米銀の現状に見る邦銀の未来――支店長の年収は激減
第4章 フィンテック時代の銀行――金融業の本質とは何か

感想・レビュー・書評

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  • びっくりするほどの内容があるわけではありませんが、やはり銀行員は変わらざるを得ない、それも相当なスピードで、ということを丁寧に説明している。とりあえず三井住友銀行アゲなのは、それだけ革新的だからにせよちょっと興味深い。

  • 文章は平易ながら中身としては薄い。
    銀行の先行き暗さを説いてはいるもののその中の未来像があまりに抽象的
    あるべき理想像が昭和的

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/729401

  • 旧来型の店舗はすでに必要ないだろう。世の中の潮流にも合わせ、今後は事務手続きや、投資相談でも紙を必要としないペーパレスな銀行が増えてくるだろう。しかし、フィンテック企業のほうが、ペーパレス進捗が早いし、システム変更も柔軟に対応できるため厳しい戦いになるのが容易に想像できる。
    そこで、大事になってくるのは銀行員の「感じの良さ・人当たりの良さ」だろう。参考となるのは、利益度外視のこともあるが街のサポートに全力を尽くす信金のような存在。上場会社として、目先の収益が必要となるがどのように折り合いをつけていくのかが問われている。

  • 2018年、日本のメガバンクグループ3社は合計で3万人の人員削減計画を相次いで発表した。金利はマイナスとなり、人々は現金を持たなくなり、融資をネット発信で募集する。銀行の必要性は将来、さらに減少することを見越した結果だろう。そんな銀行で働く銀行員はどう変わり、どう生きるべきなのか。

    その参考例として、著者は激的に変化する米国銀行を取り上げる。多くのサービスをセルフ型端末に任せて、店舗規模を縮小。1店舗に従業員1人という運営形態もあれば、退職した銀行員がITによる銀行業務の効率化をサポートするベンチャー企業を立ち上げることもある。支店長室なんてものはなくなり、支店長はサービスマンとして店頭で顧客対応を担当する。

    と、海外の銀行業界をほめ上げる著者だが、こうした変化へのスピード感の乏しさは日本の銀行業界の問題というより、解雇や転職が難しい日本型雇用の問題のような気がする。とはいえ、銀行員が変わらなければならないのは事実だ。

  • 銀行と銀行員に起こっている現実、これから起こりうるであろう将来について再考させられた。
    変わらない事で市場から退場させられると言うのであれば、否が応でも考え方や働き方を変化させざる得ないだろうと思う。
    銀行員だからというわけではなく、それを購入する人と利用する人の視点に立って物事を考えるのは新たな時代における必要不可欠なスキルであると思う。
    結果的に銀行において最も必要な信頼、信用を得られるだろう。看板=信用の時代はとっくの昔に終わりを告げている。

  • 引越しに伴い入手。米銀から見て邦銀のあり方を見直す内容。海外では新規参入してきたデジタル金融に対抗すべくIT化を図ってきた。メガもならって、IT化、人員削減を強烈に推奨。メガは店舗縮小、支店長室もなくなり年収も下がる。一方で本部の職員は高年収を維持。アメリカで銀行に代わり勢力を拡大しているのはファインシャルプランナー。1人1事務所で店舗数は米銀メガの倍。日本の野村證券が半分以下であることと比較し、その差は歴然。これからのあるべき姿は感じの良さや親切さである。
    この本を読んで、IT化は便利を求める人がいけばいいが一定数は相談したい、あなたから買いたいと言った何を買うかより誰から買うかが重要になってくる。その上で個のコミュニケーションを高め地域密着、相手を知る、名前を覚えることが重要。ぜひ真心言葉の有効活用を進言したい。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/729401

  • 銀行業は、過去の貸出資産から利息収入を基盤とするストック商売だが、さらに、最近景気が少し上がり積み立てていた貸倒引当金を取り崩して利益が積み増しされているので実力以上の利益水準で計上されている。

    黒田バズーカとは、2013年に国債の大量購入による量的緩和で市場金利を歴史的な水準に引き下げたこと。その後2016年にマイナス金利政策を導入。これで銀行の貸出金利も住宅ローンもゼロ水準になった。預金金利と貸出金利の差が預貸金利鞘は銀行業の源泉だが、利鞘が減少し、逆ザヤになり始めた。

    国内リテール業務では、人件費を賄う収益を得られていない。メガバンクの収益源は、海外進出による外貨建て資産の積み上げだったが、ドル資金調達コストがあがっている。マイナス金利で海外投資を拡大せざるを得ないと見通しが浮上し、ドル需要が増加し、邦銀のスワップレートにプレミアムが上乗せさらるようになった。さらに、長期資産を購入しようとする場合、短期のつなぎ融資を邦銀は強いられるので、返済期限を迎えたドルを調達しなおすロールオーバーを繰り返すと調達コストが上がり、利鞘が悪化している。
    株価の低迷→格付低下→ドル調達コスト跳ね上がり→収益悪化→、、、

    MUFGの業務粗利益の中で国際部門は40%、SMBCとみずほが30%台後半。

    リーマンショック以降、オバマがドットフランク法などで金融規制を設ける流れがあり、欧米の金融機関は自己資本比率規制に対応するため子会社や業務部門をメガバンクに売却したり邦銀に客が流れて日本有利だったが、トランプが逆に緩和を打ち出した。景気回復し金利引き上げすると、米国の銀行の利鞘が拡大し、収益力が回復した。

  • 【目次】(「BOOK」データベースより)
    第1章 メガバンク「大量人員削減」の衝撃ー瓦解した銀行神話(逃げ切り世代のはずが/お先真っ暗 ほか)/第2章 激変する銀行員人生ー人員削減・配置転換の深層(地方銀行の憂鬱/地銀の過半数が本業で赤字 ほか)/第3章 米銀の現状に見る邦銀の未来ー支店長の年収は激減(銀行業界を脅かすフィンテック・プレーヤー/銀行が焦る理由 ほか)/第4章 フィンテック時代の銀行ー金融業の本質を問う(アリババ集団に関する非公式勉強会/顧客本位ではなく銀行本位 ほか)

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著者プロフィール

金融ジャーナリスト。1955年東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカー勤務を経て記者となる。金融専門紙、証券業界紙を経験し、1987年株式会社きんざいに入社。『週刊金融財政事情』編集部でデスクを務める。1996年退社し、ペンネームで金融分野を中心に取材・執筆。月刊誌『Voice』の編集・記者、1998年に東洋経済新報社と記者契約を結び、2016年フリーとなって現在に至る。著書に『銀行員はどう生きるか』『証券会社がなくなる日』(以上、講談社現代新書)、『地銀衰退の真実 未来に選ばれし金融機関』(PHPビジネス新書)、『金融自壊 歴史は繰り返すのか』『前川春雄 「奴雁」の哲学』(以上、東洋経済新報社)などがある。

「2021年 『「型破り」な銀行の新ビジネス戦略』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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