30代作家が選ぶ太宰治 (講談社文芸文庫)

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本棚登録 : 74
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062903066

作品紹介・あらすじ

「ときどき何だか恋しくなって、うっかりページをひらいてしまう」(朝吹真理子選「親友交歓」)、
「悲嘆にくれながら笑い、怒りながらおどける。背反を抱え、そのまま抱きしめ続ける人」(滝口悠生選「葉」)、
「儚くて、かわいくて、切実で」(西加奈子選「皮膚と心」)――
三十八歳で歿した太宰の短篇を、七人の現代作家が同世代の眼で選んだ作品選。

感想・レビュー・書評

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  • 実は、かの転生してすいませんの影響で手に取ってみた。

    つくづく、私は太宰治と不幸な出会いをしたのだと思う。
    夏休みの宿題で、強制的に人間失格など読ませてはいけない。

    悲しみのどん底にあっても、ふと、昨日食べたおかずのことが心に浮かんだりする人の心の不思議。絶対に一つの色に染まらない心をそのままに描き出す。太宰の描く、心の動きは、とてつもなく立体的で、魅入られる。

  • 『駆込み訴え』以外は初読。
    『親友交歓』が1番好き。ダメ人間が別ベクトルのダメ人間のもとにやってきた時。
    『トカトントン』で、はじめて『女生徒』を読んだ時を思い出す。100%”女子”の独り言の中にダザイの語り口や自意識がふと(しかし強烈に)顔を出すあの感じ。
    『おさん』は、これを書いた作家が、なぜ自身も心中できたのか。そう思わずにはいられなかった。

  • 今まで積極的に太宰治を読んでこなかったことを後悔。
    相反する思いが常に共存する小説たち。
    私の中にある今まで言葉にできなかった自意識が表現されている感覚。
    燃え上がる気持ちが一瞬で冷めて客観的になるあの瞬間は「トカトントン」という音を思い出さざるを得ない。
    佐藤友哉の文章のリズムも相変わらず心地よい。
    悲しい時に笑って、怒りながらおどけて、安楽なくらしでは絶望の詩、ひしぐれたくらしでは生の喜び、気持ち悪い気持ちよさ。
    村田沙耶香、滝口悠生がいう相反する言葉たちこそが太宰治の魅力なのかもしれない。
    自意識に溺れている太宰治も妻目線である意味客観的に白けた目線で心中した夫と愛人を呆れてはためいわくだと言っている。
    自意識だからこそ客観的で、客観的だからこそ自意識が爆発しているのかもしれない。
    西加奈子が撰んでいた『皮膚と心』が意外なほど可愛い話だった。
    ほかの小説も読んでみたいと思った。

  • 短編集は、好きな作品を何度も読みなおせてすき。太宰のユーモアとかわいらしさに溢れる作品が多かったかな。トカトントン。皮膚と心。

  • 16/06

  • 7人の30代の作家が選んだ太宰治の短編集。
    30代がどうなのかはよくわからないけれど、
    かなり良いチョイスで良かったです。

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著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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