本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
- Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062919173
感想・レビュー・書評
-
「通史」は、「国家レベルの政治史」を中軸でなければならないのだろうか、という提言。筆者は吉田伸之氏。本書は「政治史的通史」ではなく、「社会の全体史」を目指している。
これは、塚田孝「社会集団をめぐって」(「近世日本身分制の研究」所収)で提起された、社会構造分析の方法論であるとのこと。近世社会は、さまざまな身分によって形成された社会集団の重層と複合によって全体社会が構成されているという指摘。
とはいえ、ざっと中央の政治史にも紙面を割いてはいるのだが、それよりも、社会を構成している集団の解説の方が何十倍も濃厚で魅力的。
以下、気になったくだり。
・三井越後屋の、江戸での発展。
京都の井筒屋で、妖怪封じの儀式。享保17年(1732)6月4日から6日まで。依頼者は三井越後屋の当主八郎右衛門高房。祈祷者は、吉田神社の神官鈴鹿氏。
井筒屋は、もともと三井越後屋の地主だったが、のちに三井が土地も店舗も買い取った。
・乞食、願人坊主、乞胸、宮地芝居、香具師、寄席、女浄瑠璃(文化年間より。天保の改革で弾圧)。このへん超面白い。
・魚市場、野菜市場。行商人たち。詳細をみるコメント0件をすべて表示