市民の科学 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
3.80
  • (1)
  • (2)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 45
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062922289

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 原子力発電所という、多分にして専門的かつ閉鎖的な巨大システムは、得てして市民とは程遠いところで勝手に管理運用されています。それを担うのは政府と官僚機構、そして国家の忠実なる下僕と化した一部の科学者たち。この事実を正確に認識している市民は多くはないでしょう。科学者の中には原発の恐るべき実態を知りながらも反抗することが出来ない者もいると本書では述べられていますが、このような現状の社会は、非常に怖いなと感じました。
    しかし、本書の著者は「専門的批判の組織化」という、専門的な原発システムに対抗し得る唯一の手段を確立し、あるべき社会へ向けて着実にその歩みを続けています。著者ご自身は現在はお亡くなりになってしまいましたが、そのご遺志は確実に原子力資料情報室や高木学校のメンバーに受け継がれていると思われます。
    私たち自身も3.11を経験したことで、原発の在り方を考える「よすが」があります。本書を読むことで、人間と自然の関係などをもう一度考えるきっかけになることは間違いないでしょう。

著者プロフィール

理学博士。核科学専攻。原子力の研究所、東京大学原子核研究所助手、東京都立大学理学部助教授、マックス・プランク研究所研究員等を経て、1975年「原子力資料情報室」の設立に参加。1997年には、もうひとつのノーベル賞と呼ばれる「ライト・ライブリフッド賞」を受賞。原子力時代の末期症状による大事故の危険性と、放射性廃棄物がたれ流しになっていくことに対する危惧の念を最後のメッセージを記し、2000年10月8日に死去。

「2004年 『高木仁三郎著作集 全12巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

高木仁三郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×