- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062922852
作品紹介・あらすじ
聖徳太子、南都六宗、最澄・空海、鎌倉新仏教……。歴史的に仏教の展開の最終段階に位置し、高度な思想を展開した日本仏教。唯識や華厳の世界観、最澄や空海の即身成仏の思想、法然、親鸞、一遍らの念仏、道元の坐禅観、日蓮の唱題──。各宗派祖師の思想の概略をわかりやすく明らかにしながら、日本人のものの見方及び考え方の特質を描き出す一冊。
感想・レビュー・書評
-
南都六宗は実質4宗で、三論・法相・華厳・律からなる。成実は三論の中で、倶舎は法相の中で研究された。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「はじめに」では、「日本仏教の主要な思想史のほぼ全体を見るに便利な一緒かと思います」とありますが、本書であつかっているのは聖徳太子から鎌倉新仏教までとなっており、江戸時代や近世以降の仏教思想の展開はとりあげられていません。また「特に教理の要点を詳しく平易に解説したつもりです」と書かれていますが、じっさいのテクストをなるべく紹介しようという方針が採用されているようで、末木文美士の『日本仏教史』(新潮文庫)などの入門書にくらべると、若干敷居が高いのではないかと思います。
けっして悪い本ではないと思うのですが、日本仏教の全体像を一通り知りたいという読者のニーズからはすこしずれている内容だと感じました。著者自身、日本の仏教が日本文化の背景をなしており、さらに現代の諸問題について「他からの借り物でない、自らの伝統に根ざした立場から考察していく基盤を形成することができる」と主張していることをかんがみると、個々の思想の紹介についてはもうすこし簡略にして、日本思想史のなかに日本の仏教全体を位置づけるような議論を展開してほしかったという気がします。