千日のマリア (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.16
  • (2)
  • (8)
  • (16)
  • (3)
  • (2)
本棚登録 : 126
感想 : 13
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062937474

作品紹介・あらすじ

義母の葬式で男は思い出す。22年前に、義母の起こした事故のこと。義母を責めた自分のこと。そして--(「千日のマリア」)。
会社に長文の手紙を送りつけてくる女。意を決して女の家を訪ねた男が見たものは(「修羅のあとさき」)。
森に囲まれた土地で暮らして20年。引っ越しを間近に控えたその日、はじめて庭に現れた美しい琥珀色の生き物がいた(「テンと月」)。
ほか、生と死、愛と性、男と女を見つめた珠玉の8篇。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 今回の8つの短編ではまっとうではない歪んだ男女関係も登場しますが小池さんの美しい文章と淡々と静謐に流れる独特な空気感の中ではそれすらも自然に思えて来ます。

    表題作の「千日のマリア」では妻とその母との関係を持つ男、秀平が描かれていますが歪んだ関係の中にも人間の脆弱さや哀しみを感じ、切ない気持ちになりました。

    どの短編も決して派手ではないけれど趣があり会話1つ1つを取っても登場人物の表情が浮かび上がる様でした。

    装丁の美しさもいつも楽しみの一つとなっています。

  • 8話からなる短篇小説。
    どれも、少しいびつな夫婦関係。
    著者、小池真理子氏のいつも、主婦の感覚から、少し離れたような、料理、音楽、車、香水、ワインなど、・・・の文章が毎度出て来るのだが、・・・

    最初から、少しお洒落な食べ物をバスケットに詰め、何処へと、・・・読み出すのに、毎度のお洒落っぽさから、違和感なく目を通す。

    しかしながら、最後の結末は、どうしてか、トカゲのしっぽの如く、後は、自分の頭で、想像してね!!という感じの小説ばかり。

    「落花生を食べる女」にしても、このあかりという女性に対しても、魔性の女であり、妻の気持ちは無視されているように思われる。

    「修羅のあとさき」それほど迄の付き合いがあったわけでなく、一方的に、ふられた女性の精神が、崩れて行くのだが、この母親にしても、手を尽くすことが、これまでに出来なかったのか?と、・・・・読んでいても、失恋(?)から立ち上がることが出来ない環境だったのか?と、・・・この後どうなるのだろうか?
    疑問ばかり残る小説である。

    この題名の作品が、7話目で、出て来るのだが、歪んだ愛情と、愛した女性が、妻と義理の母。
    本の題名に迄しているこの小説が、素敵な題名にも関わらず、内容は、何か凄く穢く感じられる話を、作者が、精巧なオブラードで、包んで、美化しようとしているかに見える。

    文章は、風景についても、素敵な描写だけど、内容の最後は、どれも、それから、どうなって行くの???
    ???と、思う作品ばかりであった。

  • 解説が的を得てて、そうそれ!ってなった。
    自分にもあるような人には言えない小さな秘密を、覗いてしまったドキドキ感のある短編集だった。

  • 8話からなる恋愛小説の短編集。

    「過ぎし日の標」
    母親の再婚相手ー義理の父親の弟は人気の映画監督だった。
    彼に惹かれ、彼の別荘に通った日々の追憶。

    「つづれ織り」
    自分と兄を連れて離婚をした母親。
    女手一つでミシンの仕事で二人の子供を養っていた母親の恋愛模様を思い起こす話。

    「落花生を食べる女」
    父親の愛人に恋焦がれ、その思いをずっと抱いたまま歳をとった男性。

    「修羅のあとさき」
    元彼女とよりを戻して、その時つき合っていた女性をふった男性。
    その後、その女性は精神に異常をきたしてー。

    「常夜」
    小鳥をこよなく愛していた元夫が亡くなったと知り、その夫の姉の家を訪れる女性。

    「テンと月」
    夫を亡くし、夫の夢だったペンション経営の再開もやめて、東京で一人暮らししている高齢女性。

    「千日のマリア」
    義母が亡くなった。
    主人公の男性は彼女と男女の関係をもっていた事を思い起こしていく。

    「凪の光」
    介護施設で偶然再会した高齢者の男女。
    若い頃の追憶。

    恋愛話が好きじゃないのもあるけど、どの話もとりとめがなくて、読んだはしから忘れてしまった。
    レビューを書こうと思ったら1話目どんなんだっけ?と思い出せずざっと読み返さないといけなかったほど。
    だから、駄作だというのでなく、これはストーリーを追うというより雰囲気を味わう本のように感じた。
    読んでた時は嫌いな恋愛小説なのに、それなりに読めてたから。
    ただ、同じような設定が多くて、登場人物も中高年と似たような感じなので、読んでいる時、ごっちゃになってしまった。
    はっきり違いが分かったのは、「落花生を食べる女」と「修羅のあとさき」。
    2話共、状況描写が素晴らしく、落花生というアイテムがきいてたし、状況が鮮やかにイメージできた。
    反対に、最後の2話は読んでも読んでも頭に入ってこなかった。

  • 購入済み
    2022.11.29.読了
    小池真理子さんらしい短編集。
    どの作品も読み始めてしまえば、先が気になり読み進めてしまう。
    しかし結末も衝撃的なものではないし、どこか寂しげな温度も低めな作品集でどうしようもなく引き込まれたということもない。
    感慨深いものではあるものの激しさはない。
    時間潰しと言っては失礼か?。。。

  • 8編の短編集。主人公の年齢がどれも私と同じくらいの50代の人たちだったので、自分の人生とも重ね合わせながら読んでしまう部分もありました。心の中に誰にも言えない秘密を抱えている人たちの悔恨やほろ苦い思い出など、誰にも一つはあるのではないかと感じました。ただ、表題の千日のマリアはあまりにも秀平が身勝手過ぎて、ぶん殴りたくなりましたが。人の心って、そういつも思うようにはいかないよね、とこの年になると鷹揚に受け入れられるようになっていくのかも。

  • 2018 12/16

  • 「修羅のあとさき」が刺さった。

  • どの話も私には消化不良で、でも続きがあっても気にならないくらいのものでした。
    最後の話以外あまり救いがない感でした。

  • 8つの話からなる女性が主人公の短編集
    帯を読んで即買いしたが、どれも結末が不透明な話ばかりで消化不良だった

全13件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小池真理子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
恩田 陸
凪良 ゆう
米澤 穂信
村田 沙耶香
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×