- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062937474
作品紹介・あらすじ
義母の葬式で男は思い出す。22年前に、義母の起こした事故のこと。義母を責めた自分のこと。そして--(「千日のマリア」)。
会社に長文の手紙を送りつけてくる女。意を決して女の家を訪ねた男が見たものは(「修羅のあとさき」)。
森に囲まれた土地で暮らして20年。引っ越しを間近に控えたその日、はじめて庭に現れた美しい琥珀色の生き物がいた(「テンと月」)。
ほか、生と死、愛と性、男と女を見つめた珠玉の8篇。
感想・レビュー・書評
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今回の8つの短編ではまっとうではない歪んだ男女関係も登場しますが小池さんの美しい文章と淡々と静謐に流れる独特な空気感の中ではそれすらも自然に思えて来ます。
表題作の「千日のマリア」では妻とその母との関係を持つ男、秀平が描かれていますが歪んだ関係の中にも人間の脆弱さや哀しみを感じ、切ない気持ちになりました。
どの短編も決して派手ではないけれど趣があり会話1つ1つを取っても登場人物の表情が浮かび上がる様でした。
装丁の美しさもいつも楽しみの一つとなっています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
8話からなる短篇小説。
どれも、少しいびつな夫婦関係。
著者、小池真理子氏のいつも、主婦の感覚から、少し離れたような、料理、音楽、車、香水、ワインなど、・・・の文章が毎度出て来るのだが、・・・
最初から、少しお洒落な食べ物をバスケットに詰め、何処へと、・・・読み出すのに、毎度のお洒落っぽさから、違和感なく目を通す。
しかしながら、最後の結末は、どうしてか、トカゲのしっぽの如く、後は、自分の頭で、想像してね!!という感じの小説ばかり。
「落花生を食べる女」にしても、このあかりという女性に対しても、魔性の女であり、妻の気持ちは無視されているように思われる。
「修羅のあとさき」それほど迄の付き合いがあったわけでなく、一方的に、ふられた女性の精神が、崩れて行くのだが、この母親にしても、手を尽くすことが、これまでに出来なかったのか?と、・・・・読んでいても、失恋(?)から立ち上がることが出来ない環境だったのか?と、・・・この後どうなるのだろうか?
疑問ばかり残る小説である。
この題名の作品が、7話目で、出て来るのだが、歪んだ愛情と、愛した女性が、妻と義理の母。
本の題名に迄しているこの小説が、素敵な題名にも関わらず、内容は、何か凄く穢く感じられる話を、作者が、精巧なオブラードで、包んで、美化しようとしているかに見える。
文章は、風景についても、素敵な描写だけど、内容の最後は、どれも、それから、どうなって行くの???
???と、思う作品ばかりであった。 -
解説が的を得てて、そうそれ!ってなった。
自分にもあるような人には言えない小さな秘密を、覗いてしまったドキドキ感のある短編集だった。 -
購入済み
2022.11.29.読了
小池真理子さんらしい短編集。
どの作品も読み始めてしまえば、先が気になり読み進めてしまう。
しかし結末も衝撃的なものではないし、どこか寂しげな温度も低めな作品集でどうしようもなく引き込まれたということもない。
感慨深いものではあるものの激しさはない。
時間潰しと言っては失礼か?。。。 -
8編の短編集。主人公の年齢がどれも私と同じくらいの50代の人たちだったので、自分の人生とも重ね合わせながら読んでしまう部分もありました。心の中に誰にも言えない秘密を抱えている人たちの悔恨やほろ苦い思い出など、誰にも一つはあるのではないかと感じました。ただ、表題の千日のマリアはあまりにも秀平が身勝手過ぎて、ぶん殴りたくなりましたが。人の心って、そういつも思うようにはいかないよね、とこの年になると鷹揚に受け入れられるようになっていくのかも。
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2018 12/16
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「修羅のあとさき」が刺さった。
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8つの話からなる女性が主人公の短編集
帯を読んで即買いしたが、どれも結末が不透明な話ばかりで消化不良だった