燃える部屋(下) (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062938914

作品紹介・あらすじ

2014年、定年延長制度の最後の年をロス市警本部強盗殺人課未解決事件班で迎えようとしているボッシュは、あらたな相棒として、若き新米女性刑事ルシア・ソト(28歳)と組むことになった。ソトはメキシコ系アメリカ人で、四人の武装強盗と対峙して二人を撃ち倒した事件で有名になり(その際、相棒は殉職した)、刑事に昇進し、未解決事件班に配属されたのだった。
 意欲と向上心にあふれたソトを優秀な刑事になるとボッシュは見こんで、育てようとする。
 今回、ふたりが担当するのは、十年まえに銃撃され、体に残った銃弾による後遺症で亡くなったばかりの元マリアッチ・ギタリスト、オルランド・メルセドの事件。

感想・レビュー・書評

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  • ボッシュ・シリーズ17作目、後半。
    新人刑事ルシア・ソトと組んで、未解決事件の捜査に当たる。

    向上心のあるソトを見込んで指導するボッシュ。
    10年前に広場で狙撃され、その時の銃弾がもとで命を落とした男、という変わった事件でした。
    一方、1993年の放火事件が意外な関わりを見せ始める。
    ソトはその事件の生き残りだった…

    最後は思わぬ展開で…
    以下ネタバレです。

    ボッシュが停職になるが、強盗殺人課の面々が尊敬を込めて彼を見送る。
    ぐっとくるシーンでした。

  • シリーズ25周年だそうだ。もうそんなになるのか~。当初の暗い熱気や一時期の派手な展開はないが、警察小説として安定した面白さがある。新人の女性刑事が登場したせいもあってか、新鮮な気持ちで楽しめた。今回はボッシュのラブアフェアもなし(なくていいよといつも思う)。さて次作でのボッシュはまだバッジをつけているのか、気を持たせるラストだった。

  • アクションや激しいシーンはないけれどヒリヒリとした空気、展開がしっかりと用意されていて飽きさせない。相棒のソトともどんどん息が合っていくのもいい。事件を追い真実を見つけ出すこと、そこへのプライド。そういうものが強く感じられる今作。後半はボッシュと娘のシーンがないのが残念。だけど今作のラストはなかなかグッとくる場面があって、次作への期待も高まる。

  • 若手の相棒ソトとハードワーカーをこなして2つの大きな未解決事件を解決に導いたもののコンプライアンスの問題で最後に停職にされてしまうボッシュ。無念の退場に現場のデカ達の温かい拍手を贈られる。胸が熱くなる最終場面。

  • 「正義」という、人の生き方、見方、環境によっていとも簡単に変化してしまうものを現代の事件と未解決事件を通してあぶり出して行く。
    自分の正義を信じて疑わないボッシュ。子供時代の凄惨な体験から刑事になったソト。それぞれの立場で一つひとつ正義を確認しながらコーチングしていくボッシュに親近感を感じる。
    素晴らしいエンターテイメントでありながら、ボッシュの内面的葛藤が普通の人のような身近な存在としてあることがこのシリーズのひとつの良さだと思う。
    老いてかっこ悪いボッシュは見たくないのだが、コナリーはそういうところもしっかり描いていくことだろう。
    シリーズの最後が近づいているように思える。実社会との別れをどう迎えるのか、今から楽しみである。

  • (上巻より)

    作中に出てきた、
    刑事たちが出張先の食事や宿泊先を記してきたバイブルは実在するのだろうか。
    いかにもありそうな話だけど。

    そして、退職直前で停職処分になってしまったことも衝撃的だったけど
    (話の展開がうまいと言うべきか)、
    巻末特別エッセイで語られた、
    著者のミステリー作家になったきっかけの経験も衝撃的だった。

  • 新しいパートナー とり出された銃弾 過去の狙撃の真相 銃の発見 狙撃の依頼者は / 過去の放火事件 別の銀行強盗 互いの関連 真の犯人は 国境の街へ 犯人死亡 / 狙撃事件解決のための芝居 起訴せず/ 理不尽な解雇

  • ハリー・ボッシュ・シリーズ最新刊。相変わらず、とても現実味のあるLAPDを舞台とした話。このシリーズは全部面白いので全てお勧めだが、主人公がリアルタイムで年を取っていくため、できれば古い本から読むのをお勧めします。昔の話や昔の出来事がその後の話に出てきて、ハリー・ボッシュの警官人生をそのままなぞることになるので。どの話も非常にクォリティが高いので、満足するのは間違いありません。この最新作はこれまでのベストではないと思いますが、充分に楽しめます。どんなジャンルでも良いので、小説の世界にどっぷりと浸かりたい人にはこのシリーズは超おすすめ。

  • リアルな刑事小説って、こういう感じなんですかね?

    派手なアクションも無く、有能なベテランが、有能な若手と組んで事件を解決する。多くの、刑事小説の場合、破天荒な刑事が登場したりするものですが、この作品では、登場しません。そこが、興味深いです。

    さて、結末ですが、そう来たか・・・と。話は続くようですが、一体、どうなるのか?

  • ボッシュシリーズ17作目。定年間近のボッシュは女性刑事とコンビを組むことになる。脚光を浴びた相棒と注目される事件を担当し、例によって政治絡みの圧力に息苦しくなるボッシュ。そしてこれもお約束の、無関係に思えたふたつの事件が徐々にシンクロしてくる展開で読ませるが、なんだかなあ、謎解きよりも人間ドラマの方にウエイトが置かれているようで、ちょっと残念。

    もちろん人間ドラマも謎解きも面白く読めるので問題はないのだけれど、ほのかなマンネリの香りを悲しく嗅ぐのは私だけかしら。このマンネリはどこかで嗅いだと思ったら、『リンカーン・ライム』だった。

    そろそろ定年の潮時かもしれない。老成のボッシュも魅力的だが、毎回上層部の圧力を絡ませるくらいなら、いっそフリーになって捜査した方が自由度が上がってより面白いストーリーになると思うのだが。

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著者プロフィール

Michael Connelly:1956年生まれ。LAタイムズ元記者。代表作としてはボッシュ・シリーズ、リンカーン弁護士シリーズがあり、当代随一のストーリーテラー。

「2023年 『正義の弧(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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