彼女がエスパーだったころ (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 333
感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062938945

作品紹介・あらすじ

吉川英治文学新人賞受賞作。

進化を、科学を、未来を――人間を疑え!

百匹目の猿、エスパー、オーギトミー、代替医療……人類の叡智=科学では捉えきれない「超常現象」を通して、人間は「再発見」された――。
デビューから二作連続で直木賞候補に挙がった新進気鋭作家の、SFの枠を超えたエンターテイメント短編集。

感想・レビュー・書評

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  • あってもなくてもいいけれどもオカルトと医療に造詣がある方がすらすらと読める作品。

    信仰による奇蹟と科学の進歩、倫理と道徳の大きくふたつのテーマが禅問答や反証実験のように繰り返されながら進んでいくストーリーに感じた。
    読みながら思ったのが「信仰による奇蹟」はいくら科学が発展したところで無いものにはならない。現存する科学をもってしても、ましてや「科学の進歩」を底上げしても、信仰による奇蹟は完全にはうち消せない。
    ましてや天秤の両端に信仰と科学をのせたところでどちらとも言えない現象は存在するので、科学と信仰の中間を線引することもできない。

    この作品に関して著者は読み手に好きなように取ってもらえるように書いてあるものの、個人的には「好きなようにとってもらって構わないが僕自身のひとつの結論を隠しています」みたいな風であった方が読み返したい欲が高まったかなあと思う。

    SF成分は最低限で、あくまで近未来に起こりうることとして描こうとしていたのかなと思う。バチバチなSFが読みたい!っていう人には肩透かしを食らうだろうけどあくまで手法としてSFを使っているだけで無駄がないのでこれはこれで良いと思う。かといって事件が暴かれること自体が問題では無いようなウェイトで描かれていて、ミステリ色もそこまで強くない。
    哲学とか思想とかそういうのが好きな人はまあアリだと思う。

  • 火を覚えた猿を巡る人間社会、スプーンを曲げられる少女の存在、ホスピスや脳手術問題、信仰、等々、不可思議な社会的事件の顛末がとある記者のインタビューを通して語られる。嘘か真か、是か非かそれら事件の成り行きを客観的に読む読者が何を思うかを試されてるような作品。上手く言えないけど、その感覚はなんか今のSNS社会、現代人の有り様にも通じるところがある気がする。お話的には「水神計画」なんかが面白かったな~

  • 普通の情景を読んでいるつもりが、気がつけばビューンととんでもないところに連れていかれている感が。
    あいかわらずすごいな。

  • 気がつけばどんどん読み進めていた。
    不思議な話だった。

  • 疑似科学を扱ったルポ形式の短編集で連作っぽくなっています。スプーン曲げ、火を使う猿、ロボトミー手術、ホスピス、新興宗教といったテーマ。疑似科学そのものよりそれを取り巻く人々の考えや行動が物語られています。後半、重いテーマが続きますが、最後はすっきり終わった感じですね。

  • 論文見たいな語り口。最後に驚き

  • テーマははっきりしているのにどこかつかみどころのなさを感じました。
    「疑似科学シリーズ」と銘打ってしまえば簡単ですが、科学で解き明かすことが常に最良とは限らないのでしょうか。

  • 2021/10/23購入
    2023/4/15読了

  • 疑似科学がテーマの連作短編集。「彼女がエスパーだったころ」「ムイシュキンの脳髄」「薄ければ薄いほど」が好き。

  • 宮内悠介さん初読。
    SFの人というイメージだったけど、この短編集は、信仰と超現象と偶然の境界を巡る小説だった。

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著者プロフィール

1979年生まれ。小説家。著書に『盤上の夜』『ヨハネルブルグの天使たち』など多数。

「2020年 『最初のテロリスト カラコーゾフ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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