おそれミミズク あるいは彼岸の渡し綱 (講談社タイガ)

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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062940603

作品紹介・あらすじ

いびつで、怖く、そして切ない座敷牢のボーイ・ミーツ・ガール!
――宮内悠介

前人未踏の実話怪談ホラー。傑作!
――大森望

天才が紡ぎ出す黄泉の視界(ビジョン)に恐れ、畏れよ――。

「ひさしや、ミミズク」今日も座敷牢の暗がりでツナは微笑む。山中の屋敷に住まう下半身不随の女の子が、ぼくの秘密の友達だ。彼女と会うには奇妙な条件があった。「怖い話」を聞かせるというその求めに応じるため、ぼくはもう十年、怪談蒐集に励んでいるのだが……。ツナとぼく(ミミズク)、夢と現(うつつ)、彼岸と此岸が恐怖によって繋がるとき、驚天動地のビジョンが"せかい"を変容させる――。

感想・レビュー・書評

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  •  山の中にある屋敷。そこの座敷牢に幽閉されている下半身不随の美少女ツナ。この設定だけで、もう妖しすぎる。土の匂い、まとわりつく空気感、座敷牢の薄暗さ、そこで暮らすツナの正体とは?

     ミミズクこと逸見瑞樹は両親を亡くし、田舎に住む叔母夫婦の元へ身を寄せている。そして10年間毎週欠かさず、座敷牢のツナに怖い話を聞かせてきたのだ。
     とにもかくにも彼女のために怖い話を集めていた瑞樹だったが、彼の前に自称「拝み屋」という怪しい男が現れる。そこから物語は新たな展開へと動き出す。

     ホラーであり、ファンタジーテイストの伝奇物でもあり、さらにSFテイストもあるというお得な物語(?)となっている。
     物語の中に雑誌の記事の形をとりながら、実話系のホラーもはさみ込まれる。これが、また怖かったりする。ここにもお得感が。

  • 初めましての作家さん。
    読み友さんからの紹介だんですが、文章が好みじゃなくて
    断念しようかと思っていたのですが、評価が高かったので
    我慢して読んで正解でした。
    東京から来たという拝み屋や霊媒師を
    探している男と偶然会ってから様相が変わる。
    虫の知らせのような情報伝達の仕組みや
    人の特定の感情や知識を喰らう輩。
    思っていたことを図解化してくれているような
    なんとも分かり易い説明がいっぱぁ~い!!
    あの世系の話が好きな人には、もってこいの作品かもです。

  • 面白かったような、イマイチ入り込めなかったような、なんとも評価しにくい読後感。
    怪談話が続くのかと思えばそうでもない。けれど「ギチギチした赤いの」がすごい印象に残って怖いw
    エレベーターって結構恐怖の対象だと思う。
    幼いころは良く、箱が来てないのに扉が空いて落ちる夢とか見たなぁ……

  • 彼女が座敷牢にて暮らす理由。
    元々怪談が苦手な人物からしたら、怖い話を読むだけで同じ事が起きるのではと恐ろしくなるだろう。
    意識していなかっただけで、彼は夢の中で彼女に憑いた者と同調していたのかもしれないな。
    怖いという感情は、分からないからそう思うのかもしれないと読み終わる頃には思い始めた。

  • 例の『鬼談百景』と同じく、いつの間にか机の上に置いてあった本。
    というか、この表紙にはぶっ飛びました。「な、なんじゃこりゃ!?」ってw
    中身は異界が出てくる話なんですけど、この表紙の世界観はそれなんかはるかに凌駕する異界さだったもんで(泣)

    もう読み始めから「こりゃ(ある意味)異界だわw」だったわけですけど、後半の展開が本当に(まさに)異界になるとは思いませんでした。
    ものすごく乱暴な解釈するならば、『牡丹灯篭』の新三郎とお露を碇シンジと綾波レイ(エヴァンゲリオンの)に置き換えて。
    本家の新三郎とお露の性愛で結ばれた関係を、碇シンジと綾波レイのほのかな恋愛の混じる友愛の関係(清い関係とでも言ったらいい?)に変え、さらにそれらの底にある世界観(異界)を加えた……、みたいな感じ?w
    いや、わかりませんよ。
    そもそも『エヴァンゲリオン』も『牡丹灯籠』もテレビで放送していた映画を見たくらいですから。

    ただ、読んでいると「縁」という言葉が出てくるように。既存の色々な物語の世界観をつなぎ合わせ、(言い方は悪いですけど)もっともらしい「一つの物語世界」を構築しているという意味で、当たらずともいえども遠からずなんじゃないかなーと(笑)
    ただ、後半(まさに)異界だった展開が、最後の最後、(ある意味)異界な展開に戻るとは思いませんでしたよ。

    とはいうものの。確かに『牡丹灯籠』的な甘美な悲劇は今の時代、まずウケないでしょうからね。
    ちょっと生温さのある日常という現実に戻る――というよりはこの主人公たちの場合は“たどり着く”――ハッピーエンドで締めないと今はダメなんでしょう。
    ていうか、私も「甘美な悲劇」よりは、「ちょっと生温い日常」の方が絶対いいんですけど(笑)

    あくまで特定の世代に向けて書かれている小説なので面白かったとは言い難いですが、こういう物語の書き方もあるんだなーと、そこは面白かったし。また、感心しました。

    気になったのは、作者の文章。
    実は出だし、舞台となる土地の風景を描写した、寄せては返すような反復のリズムの心地よさに「やけに上手い文章を書く人だなー」と感心して読んでいたんです。
    ところが、ストーリーに入ったら、妙に普通の文章なんですよね。
    それどころか、「そこでその言葉(単語)なの?」と感じる、微妙にズレた(ように感じる)言葉を使う文章が多々あったんですけど、あれは何なんだろう?
    作者のプロフィールを見ると、ゲームプランナーやシナリオライターとあるので、あの舞台となる土地の描写力は、ゲームでその世界観を構築してきた賜物ということなんでしょうか?
    作家のインタビュー本とかを読むの結構好きなんですけど、ゲームを作る人のインタビュー本も読んでみたいなーと思いました(あるのかな?)。

  • 山奥の屋敷の座敷牢で微笑む白装束の少女ツナ。
    ミミズクこと逸見瑞樹は両親を失い田舎に越してきた十年前からずっと週に一度その座敷牢に通い、彼女の望むままに蒐集してきた怪談を語って聞かせる。
    胃潰瘍になろうともおかしな夢ばかり見ようとも、ただひたすら彼女の為に恐ろしい話を求めていた瑞樹の前に、ある時拝み屋を名乗る不思議な男が現れる…。
    ホラーで伝奇ファンタジーでほんの少しSF風味なボーイミーツガールストーリー。

    雑誌の記事の体で挟まれる実話系ホラー小話が結構怖い。
    舞台設定もあって怯えながら読んでいたら、後半の展開で良い意味で意表を突かれ、けれど無理なく伏線も回収されて読後はスッキリ。
    瑞樹に負けないレベルで怖がり故、都会の明るい夜がありがたい私にはどっちが憑いているんだろう…。

  • 「ひさしや、ミミズク」
    今日も座敷牢の暗がりでツナは微笑む。山中の屋敷に住まう下半身不随の女の子が、ぼくの秘密の友達だ。彼女と会うには奇妙な条件があった。「怖い話」を聞かせるというその求めに応じるため、ぼくはもう十年、怪談蒐集に励んでいるのだが……。ツナとぼく(ミミズク)、夢と現(うつつ)、彼岸と此岸が恐怖によって繋がるとき、驚天動地のビジョンが“せかい”を変容させる――。

    ほのかなホラー小説的な感じ。個人的には本筋よりも、作中作品の怖い話の方がよほどじわじわきた。
    ミミズクことミズキと、座敷牢に閉じこめられている謎の少女ツナのやりとりがメインなんだけど、これが最初はよく分からず、あまり共感も出来ないので読み進めるのがちょっと辛かった。
    多津さんが出てきて、話が動き出してからは結構引き込まれたけど。合間の好恐の話とかも最初は何のことやら状態なのでキツかったが、後半繋がってからはなるほどねと思った。
    最終的にはハッピーエンドで安心した。

  • 牢に閉じ込められた少女に請われて怪談を語る少年。投稿の実話系怪談の設定なので予想より怖かった。後半はよくわからなかったので途中でやめたくなったけど、最後は明るく終わったので良かった。

  • 面白い!という以上にすごくよくできてるなあという感想。
    ボーイミーツガールの物語を主軸に、ホラーテイストを保ちながら、怪談・ミステリ・SF・伝奇的要素を絶妙に盛り込み、バランスを崩すことなく物語を成立させている。
    田舎で少年(という年齢でもないが)が座敷牢の少女に何年も怖い話を聞かせに行くという特殊な状況から始まるのですが、座敷牢の少女が怪異を解決するのかなとか少年が因習に立ち向かうのかなど考えるも、予想は裏切られ、常に意外な事実と予想しない展開が待ち受け、どこに向かうかわからないが確かに物語は進む。明かされる事実は物語の見え方を何度も変えていき、そしてそれらが収束し、最終的に見事な広がりと独自性のある世界観を見せてくれる。ああ、これってこういう話だったのかーと気づかされるのは快感。そして、風呂敷は広がっても最後はやはり少年と少女の絆の話なんですよね。読後感が爽やかで心地よい。
    作中にある怪談はけっこう怖くて、両親がいつも外を見ている話が特に印象的でした。
    おすすめ。

  • いびつで、怖く、そして切ない座敷牢のボーイ・ミーツ・ガール!
    ――宮内悠介
    前人未踏の実話怪談ホラー。傑作!――大森望
    天才が紡ぎ出す黄泉の視界(ビジョン)に恐れ、畏れよ――。

    「ひさしや、ミミズク」今日も座敷牢の暗がりでツナは微笑む。山中の屋敷に住まう下半身不随の女の子が、ぼくの秘密の友達だ。彼女と会うには奇妙な条件があった。「怖い話」を聞かせるというその求めに応じるため、ぼくはもう十年、怪談蒐集に励んでいるのだが……。ツナとぼく(ミミズク)、夢と現(うつつ)、彼岸と此岸が恐怖によって繋がるとき、驚天動地のビジョンが"せかい"を変容させる――。

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著者プロフィール

1973年徳島県生まれ。ゲームプランナー、シナリオライターとして、「トリノホシ ~Aerial Planet~」(日本一ソフトウェア)などのコンピュータゲームの開発に携わる。2012年「プロメテウスの晩餐」で第3回創元SF短編賞優秀賞を受賞。「筺底のエルピス」シリーズ(ガガガ文庫)、『波の手紙が響くとき』(早川書房)など、緻密に練り込まれた世界観とサプライズ溢れる展開で常に読者の度肝を抜く。「このライトノベルがすごい」や「SFが読みたい!」などに作品をランクインさせるなど、ジャンルを横断してその去就が注目されている。

「2017年 『おそれミミズク あるいは彼岸の渡し綱』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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